birdspam フィルタ

spam フィルタ

僕はこれまで、Thunderbird の spam フィルタ1を使ってきたんですが、最近、検出率が下がり気味で、spam の処理に苦労する日々が続いていました。

いい加減嫌になってきたので、最近外部 POP サーバのメールが取り込めるようになった Gmail の spam フィルタを自宅メール用としても使ってみることにしました。

方法としては次のような感じです。なお、対外的に利用している自宅メールアドレスの他に、Gmail からフィルタ後のメールを外部へ転送したい場合は、それを受け取るためのアドレスがもう一つ必要です。

  1. Gmail の「アカウントの設定」「別のアカウントからメールを受信」で、「別のメールアカウントを追加」する。その際注意すべきは、「受信したメッセージにラベルを付ける」を設定しておくと便利、また「受信したメッセージを受信トレイに保存せずアーカイブする」のチェックは外しておきます。
  2. 次に、「メール転送と POP 設定」の「転送」で、「受信メールを次のアドレスへ転送」へ転送先アドレス (対外的な自宅メールアドレスとは別のアドレスを指定します。僕の場合、自宅の SMTP サーバが直接受けられるアドレスを指定してみました) をセットし、「Gmail のコピーをアーカイブ」を選択しておきます。

以上で、自宅アドレス宛に届いた全てのメールがいったん Gmail を経由しそこで spam がより分けられ、spam でないものだけが別の自宅アドレスへ転送されてくるようになります。すでに 30 通あまりの spam メールがフィルタに引っかかっていますが、そのうち誤検知は今のところ 0 で、やはり Thunderbird のローカルのフィルタに比べると、かなり精度が良いようです。

しばらくこの構成で利用してみる予定。

birdSCE 久夛良木グループ CEO、退任

SCE 久夛良木グループ CEO、退任

すでに旧聞、という感じですが、先月終わりに、これまでずっと SCE、ひいては PlayStation プラットフォームの顔でもあった久夛良木グループ CEO が6月の任期満了をもって退任され、名誉会長となることが発表されました。
世間的には、PlayStation といえば久夛良木さん、ちょっと前にはその成功を持って Sony 本社に凱旋し、副社長まで上り詰めた豪腕経営者、というイメージが強いのでしょうが、僕の中の久夛良木さんの最良のイメージは、実は PS1 発売前の、まだ PSX とそれが呼ばれていたことを語っていた久夛良木さんかもしれません。実は前の前の会社にいるときに、偶然にもかつて久夛良木さんの下で働いた事がある、と言う人と一緒に仕事をする機会に恵まれ、彼からそのアクの強いキャラクターについてはいやというほど聞かされていたので、社長、という会社の顔としての久夛良木さんにはそもそも少し不安があったせいだから、かもしれませんが。
正直、彼が社長という会社の顔になり、ヴィジョナリーとしての責務をその一身に背負いだしてからの SCE の打ち出してきたヴィジョンには、僕としては素直に納得できるものはほとんどありませんでした1。PlayStation BB しかり、e-Distribution しかり2、CELL 構想しかり3。ちなみに PS2 というマシンのアーキテクチャについては僕は世間で言われているほど批判的ではありません。トレンドを外してしまったことは確かだけれど、ああいうトンがったマシンも面白かったと思う。しかも、曲がりなりにも今まで生き残っている、ということは、それなりに懐も深かった、ってことの証左だと思いますし。
久夛良木さんの話に戻すと、つまり僕は、彼は会社の顔として「一人ヴィジョナリー」となるよりも、優秀なトップの元で暴れまくっていた方が良かったのではないかと思っているわけです。
とはいえ、SCE という会社にとっては、久夛良木さんがトップだったこれまでの期間は、間違いなく会社の黄金期だったのでしょう。これからはまさに正念場、これまでの成功体験をある意味覆して4、コンピュータエンタテインメントの世界を更に広げていくためにはどうすればよいのか5、地に足をつけて知恵を絞っていかなければならないだろうと思いました。

bird「マシアス・ギリの失脚」

「マシアス・ギリの失脚」

マシアス・ギリの失脚 池澤夏樹著。ねおんさんお薦めの本。ものすごく中身の濃いお話、という印象でした。面白かった。

マシアス・ギリというのはミクロネシアにあるという3つの島からなるナビダード民主共和国の大統領。南海の島国、とはいえ、近代化の波にもまれ、アメリカや日本という「大国」に翻弄されつつ、しかしまだまだ伝統的な暮らしを失っていない、そんな国が舞台のお話です。バス・リポートがとても可愛くて、少し「南の島のティオ」を思い出したり。

それにしても、このお話も「花を運ぶ妹」でも「すばらしい新世界」でも、池澤さんのお話は究極的なところで「女性」に救われているように感じます。共感するところもとても大きいのですが、そんなところがちょっと気になったりもしました。

birdUbuntu edgy (amd64) で ATOK for Linux を使う方法

Ubuntu edgy (amd64) で ATOK for Linux を使う方法

64bit (amd64、x86_86) 環境の Ubuntu edgy に、32bit バイナリ形態で販売されている ATOK for Linux をインストールする方法をまとめます。まだ一部完璧でない部分があるのですが、とりあえず日常生活には困らない程度にはなったのでここらで報告してしまいます。なお、ここに書かれたことは基本的にはすでにいろいろな人が通ってきた道ではあるようなのですが (Thanks all!)、まとまった情報はまだないようでしたので、少しはお役に立てるかと。

chroot を用いて i386 環境を amd64 環境の下に作る

まず最初に行わなければいけないのが、chroot を用いて本体のサブセットとなる i386 環境を作成することです。i386 環境丸ごとを用意する必要はないのかもしれないけれど、今のところこの手段以外ではまだ成功していません。

amd64 環境下に i386 環境を作る方法については、すでに武藤さんがこちらにまとめられています。基本的にこちらに書かれた「chroot」の項目の手順の通りに行います。

まず、あらかじめ必要なパッケージをインストールしておきます。

$ sudo apt-get install debootstrap dchroot

次に chroot 環境を作りたいパスを決め、そこにディレクトリを作成します。今回は「/var/chroot/i386」としました。

$ sudo mkdir -p /var/chroot/i386

debootstrap コマンドを使って、i386 環境を作ります。武藤さんのページは Debian での例として書かれていますので、Ubuntu の場合は適宜変更します (sid→edgy へ)。

$ sudo debootstrap --arch i386 edgy /var/chroot/i386

上記コマンドが完了したら、dchroot コマンド用の設定ファイルを作ります。/etc/dchroot.conf ファイルに下記一行を追加してください (ファイルがなければ新規に作成してください)。

i386    /var/chroot/i386

次に、今作ったばかりの i386 環境はまだ何の設定もされていない状態ですので、まず /etc から必要そうなファイルをコピーしておきます。

$ sudo cp /etc/passwd /etc/group /etc/shadow /etc/hosts /etc/sudoers /var/chroot/i386/etc/

chroot 環境内の apt の sources.list をとりあえず下記の通りに変更します。

deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy main restricted universe multiverse
deb-src http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy main restricted universe multiverse  
  
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy-proposed main restricted universe multiverse  
  
## MAJOR BUG FIX UPDATES produced after the final release  
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy-updates main restricted universe multiverse  
deb-src http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy-updates main restricted universe multiverse  
  
## UBUNTU SECURITY UPDATES  
deb http://security.ubuntu.com/ubuntu edgy-security main restricted universe multiverse  
deb-src http://security.ubuntu.com/ubuntu edgy-security main restricted universe multiverse  
  
## Japanese pack  
deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja edgy/  
deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja edgy-ja/

i386 環境の /home や /tmp は本体と共用することとし、/proc なども準備するために、本体側の /etc/fstab に下記3行を追記します。

/home           /var/chroot/i386/home   none    bind    0       0
/tmp            /var/chroot/i386/tmp    none    bind    0       0  
proc            /var/chroot/i386/proc   proc    defaults        0       0

上の3カ所をあらかじめ mount しておきます。

$ sudo mount /var/chroot/i386/home
$ sudo mount /var/chroot/i386/tmp  
$ sudo mount /var/chroot/i386/proc

また、本体側の /etc/ld.so.conf に chroot 内のライブラリも解決できるよう、以下のパスを追加します。

/var/chroot/i386/lib
/var/chroot/i386/usr/lib  
/var/chroot/i386/usr/X11R6/lib  
/var/chroot/i386/usr/local/lib

武藤さんの手順では、chroot 側から本体側の X サーバに接続するためには、あらかじめ TCP による接続を許可しておかなければならない、とあります。今回これが必要かどうかはよくわからないのですが、とりあえず設定しておくことにします。Ubuntu の場合、X サーバに TCP による接続も許可させるためには、/etc/X11/gdm/gdm.conf の「DisallowTCP」を「false」にします。

# If true this will basically append -nolisten tcp to every X command line, a
# good default to have (why is this a "negative" setting? because if it is  
# false, you could still not allow it by setting command line of any particular  
# server).  It's probably better to ship with this on since most users will not  
# need this and it's more of a security risk then anything else.  
# Note: Anytime we find a -query or -indirect on the command line we do not add  
# a "-nolisten tcp", as then the query just wouldn't work, so this setting only  
# affects truly local sessions.  
#DisallowTCP=true  
DisallowTCP=false

さて、ここまでの手順を行うと、一般ユーザ権限で chroot 下の i386 環境の Ubuntu edgy へ入ることが可能になっています。以下のコマンドで chroot 環境へ入ります。

$ dchroot -c i386 -d

chroot 環境のパッケージの更新、必要なパッケージをインストールしておきます。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get upgrade  
$ sudo apt-get install ubuntu-ja-keyring  
$ sudo apt-get install language-pack-ja

ATOK for Linux のインストール

引き続き、chroot 環境内への ATOK for Linux のインストールを行います。今回、ATOK のインストールには Debian sid に存在するインストーラパッケージを用いました。ここなどよりあらかじめ deb ファイルをダウンロードしておいてください。このインストーラパッケージを用いて Ubuntu へ ATOK をインストールする手段は、こちらなどに書いてあります。ちょっと古くなってしまっている部分もありますが、基本的にはこちらの手順の通り行います。

以下、すべて chroot 環境内で作業します。

まず、上記インストーラパッケージをインストールしようとします。この時点では依存性の問題から必ずインストールに失敗しますが、気にしないでください。

$ sudo dpkg -i atokx2_17.0-2.1-4_i386.deb

次に、必要なパッケージをインストールしようとします。同じく依存性エラーで終了してしまいますが気にしないように。

$ sudo apt-get install iiimf-htt-server iiimf-htt-xbe iiimgcf

最後に次のコマンドを実行します。これで、すべての依存性情報が解決され、必要なパッケージがすべてインストールされます。

$ sudo apt-get -f install

上記で atokx2 インストーラパッケージも含めインストールされると、途中で ATOK の CD-ROM の場所、より正確には ATOK の CD-ROM 内の atokx-17.0-2.0.i386.tar.gz というファイルのある場所を尋ねられますので適宜答えます。現在のバージョンのパッケージではアップデータも自動的に取得して適用してくれるため、上記手順のページにあるアップデータを適用するステップは行う必要はありません。

これで chroot 側の作業はほぼ完了です。インストール後、すでに htt_server と atokx2mngdaemon という二つのプロセスが立ち上がっているものと思います。

そこで、OS 起動後にも自動的にそれら chroot 内環境のデーモンが立ち上がるように、amd64 側に起動用スクリプトを準備することにします。

まずは iiimf-htt-server 用として下記内容のスクリプトを「/etc/init.d/iiimf-htt-server」として作成します。(このスクリプトもどこかのサイトに書いてあったものを参考にさせてもらったのですが、オリジナルサイトを失念してしまいました。すみません&ありがとうございます>オリジナルの方)

#!/bin/sh
# iiimf-htt-server i386 kicker  
/usr/bin/dchroot -c i386 -d /etc/init.d/iiimf-htt-server $*

同様に、atokx2 用として下記内容のスクリプトを「/etc/init.d/atokx2」として作成します。

#!/bin/sh
# atokx2 server i386 kicker  
/usr/bin/dchroot -c i386 -d /etc/init.d/atokx2 $*</pre>  

それぞれの起動用スクリプトをシステムに登録します。

$ sudo update-rc.d atokx2 defaults 80 20
$ sudo update-rc.d iiimf-htt-server defaults 20 20</pre>  

amd64 環境側の設定

さて最後に、amd64 側 (クライアント側) の設定をします。

必要なパッケージをインストールします。

$ sudo apt-get install iiimf-htt-xbe iiimgcf

ホームディレクトリ下の、「.xinput.d/ja_JP」として下記内容のファイルを作成します。

# ATOK for Linux
XIM=htt  
XIM_PROGRAM=/usr/bin/httx  
XIM_ARGS="/usr/bin/httx -if atokx2 -lc_basiclocale ja_JP -xim htt_xbe"  
GTK_IM_MODULE=iiim  
QT_IM_MODULE=xim  
DEPENDS=atokx2  
  
export USE_XOPENIM=t  
export HTT_DISABLE_STATUS_WINDOW=t  
export HTT_GENERATES_KANAKEY=t  
export HTT_USES_LINUX_XKEYSYM=t

以上で、OS を再起動しログインしなおしてみると、基本的に ATOK での入力が可能になっているのではないかと思います (変換開始は Ctrl+Space です)。

ただ、この状態では「amd64 環境内の 32bit アプリケーション」(ヤヤコシイ) ではまだ ATOK による変換ができないのではないかと思います。ちょっと調べてみたところ、これは amd64 環境側に、32bit アプリケーション用の GTK immodule、im-iiim.so ライブラリがないことが原因のようでした。そこでちょっと強引ですが、chroot 内の i386 環境からそのライブラリを amd64 環境へコピーして使うことにしました。

chroot 側の im-iiim.so ファイルを amd64 環境側のそれなりの場所へコピーします。

$ sudo cp -p /var/chroot/i386/usr/lib/gtk-2.0/2.10.0/immodules/im-iiim.so /usr/lib32/gtk-2.0/2.10.0/immodules/

(32bit アプリケーション側のものは gtk-query-immodules-2.0 が使えないようなので) /etc/gtk-2.0/gtk.immodules.32 の末尾に下記を追記します。

"/usr/lib32/gtk-2.0/2.10.0/immodules/im-iiim.so" 
"iiim" "Internet/Intranet Input Method" "iiimgcf" "/usr/share/locale" ""

念のため ldconfig を実行しておきます。

$ sudo ldconfig

以上で、amd64 環境側の 32bit アプリケーションでも ATOK が使えるようになると思います。

制限事項

上記手順によってとりあえず ATOK が使えるようになると思いますが、現在のところまだ、ATOK パレットが使えない、という制約があります。そのため GUI からの単語登録等ができません。

その原因をいろいろ調べてみた結果、1) httx を chroot 環境内で立ち上げる、2) /usr/lib/im/locale/ja/atokx2/atokx2aux.so へのアクセスを確保する (amd64 環境側の上記場所にコピーする、リンクを張るなどする) ことで ATOK パレットそのものを出すところまではできたのですが、今のところ結局パレット上の各機能がきちんと動作するところまでは持っていけませんでした。残念!

(2007/04/19 追記) 携帯のブラウザから不用意に更新しようとしたために、一度書いた内容のほとんどが消えてしまいました…。今日になって気がついて、前に書いた内容を記憶から復活させたため、いくつか重要な情報の欠落があるかもしれません。何かお気づきの点ありましたらご指摘ください。

以上です。

birdセクシーボイスアンドロボ

セクシーボイスアンドロボ

番宣1を見たときには、「ずいぶん地味な役者の多いドラマだなー」とか「今の時期に中村獅童を持ってくるとはチャレンジャーだなー」とかあまり期待していなかったこのドラマ、第一回を見てみましたがキョーレツに面白かった。個人的にツボだったポイントは多々あったけれど、一番はなんだろう、ニコがロボのうちでおもむろにカレーを作り始めて、その感想を三日坊主に語るところかしら。それとも、最後にニコがロボの部屋へ一海ちゃんをこっそり差し向けるところかな。
主役の松山ケンイチ、って誰だろう?と思ったら、映画「デスノート」の L 役で脚光を浴びた人なのだそうな。道理で知らないわけだ。ともかく、今後にも期待大。
ちなみに、そこ!「ロリ」って言わないっ!(笑

birdAMD64 環境

AMD64 環境

会社の新しいマシンは、以前書いたとおり AMD64 版の Ubuntu edgy を入れたわけですが、予想よりも 64bit 環境で動かないソフト、というのは多いのですね。32bit 互換ライブラリがあるから大丈夫だと高をくくっていたら、バイナリで配布されているようなツールはほとんど軒並みダメ。せっかく ATOK for Linux の正規ユーザなのに使えませんよ…(;_;1

birdルイス・ハミルトン

ルイス・ハミルトン

今年のマクラーレンの新人、ルイス・ハミルトンはチョーかっこいい。開幕二戦連続表彰台 (初戦3位、第二戦2位) もすごいし、マレーシアでマッサをバッサリ倒したその腕もスゴイ。早くアロンソなんかブチ抜いてがんがん勝ち始めてくれないかなー。
マレーシアではフェリペを倒したハミルトンとキミとの一騎打ちをワクワクしながら見ていたのですが、結局キミは最後まで攻めきれず、らしくないおとなしい結果でした。キミといえば「アイスマン」という愛称に似合わないアグレッシブな攻めっぷりが魅力だと僕は思っているので、ちょっと残念でした。

bird「クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い」, LUMIX の怪奇現象

「クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い」

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い 西尾維新著。以前からそのベタなタイトルセンスとペンネームセンス1でちょっと気になっていたこの本を読んでみました。タイトルや装丁、挿絵があることから僕はすっかりラノベ (ライトノベル) だと思って読んでいたんですが、実はシリーズとしては講談社ノベルズだし、メフィスト賞を受賞していたりと、結構由緒正しいミステリーなのね<?。

読後の感想を一言で言うなら、「くどい」。文章もくどいしキャラクターもくどい。トリックから全体の構成まで、何から何までくどい。こおゆう「くどさ」が苦手な人にはお薦めできませんなぁ。だってヒロインちゃんの一人称が「僕様ちゃん」なんですよ?主人公は独り言に自分で「所詮戯言」と突っ込んで卑屈に徹しているし2、美女天才わんさか、美人三つ子メイド (しかも一人は萌え系で一人は格闘系)、てな感じで、もーおなかいっぱいっす、という感じの読後感でした。(最後の最後でエキセントリックな超絶美人万能天才が真っ赤なスポーツカーで登場するし・笑)

またもう一つ気になったのは、やたら続巻への伏線が多いこと。「5年前」への思わせぶりな記述が山ほどあるわりにこの本では一切触れられないし、今回の登場人物たちもいかにも「あとでまた登場しますよ〜」的なせりふを吐いて退場していく。続きを読めばカタルシスを得られるのかもしれんが、なんだか作者の術中にはまったように感じてあんまり気持ちよくないのではなかろーか (この辺のさじ加減は難しいけどね)。

あと、ヒロイン玖渚友3が、劣性遺伝の青い髪を持つ、サヴァン症の天才少女エンジニア、という設定なのにもちと引っかかった。サヴァンは一般的には自閉症の一種を指すのではなかろうか。Wikipedia によれば4、サヴァンだからといって必ずしも自閉症とは限らないそうだが…。何となく「天才」をリアライズするための道具としてのみ「サヴァン」というものが使われているように思え5、あんまり気持ちよくなかった。

青い髪、というのも現実にはありえなさそう<当たり前だ(笑。ちなみに青い目というのは現実にあるけれど、あれは別に目に青い色素があるわけではなくって、空の青さと同じ理由 (青の波長の光が瞳で拡散) で青く見えているんだそうです (by 「宇宙のたくらみ」)。そう考えると、青い髪の方はちょっと難しそうだよね。

というわけで、万人にお薦めできる本ではないけれど、ミステリーとしては及第点なんじゃないでしょーか。トリックに関する「感想」はこれ以上書くとネタばれになってしまうので書けない…<これもネタばれ?

LUMIX の怪奇現象

我が家にはお手軽デジカメとして LUMIX DMC-FX1 があるのですが、最近ちょっと気持ち悪い怪奇現象が発生していてちと困り中。
というのも、ある程度電池が減った状態で放置しておくと、夜中にいきなり電源の on/off を繰り返すのです。当然スイッチが off になっていることは確認済み、誰も触ったり揺らしたりしたわけではないのに、急にレンズを繰り出し、仕舞い、をひたすら繰り返して、しばらくするとパタリ、と止まります。そしてまたしばらくするとそれを繰り返す…。
最初いきなり動き始めたときには、何の音だか分からずいろいろ探してしまいました。夜中に勝手に急に動き出すので、ちょっと気持ち悪いです。そろそろ寿命なのかしら。

bird「天の向こう側」

「天の向こう側」

天の向こう側 アーサー・C・クラークの短編集です。表題作「天の向こう側」は、スペースコロニーでの日常を描いた連作短編、他に似たような構成の「月に賭ける」、ラストが衝撃的な「90億の神の御名」、後の同名の長編の元となった「遥かなる地球の歌」など、14作を収録しています。一冊の文庫に14作、という量からも分かるように、僕は短編、というよりもショート・ショートに近いような印象を受けました (ただし「天の向こう側」と「月に賭ける」は別です。それらはそれぞれが更に6編の小編からなります)。

それにしても、やっぱりクラークは良いですね。この短編集に収録された作品は 1950 年代前後に書かれたものだそうですが、驚くほど古びていないです。「宇宙のランデヴー」でも感じたことですが、SF 的世界の中での日常、を描くのがとてもうまいと思います。それも、変に下世話になったりなれなれしかったりするのではなしに、なんだか格調高い感じ。そもそも半世紀以上も前に書かれた小説だからなのかもしれないけれど…。

クラークの4冊の短編集のうち、「明日にとどく1は読んだけれど、「前哨」と「白鹿亭奇譚」はまだ読んでないなぁ。これらもいつか読みたいものです。

birdUbuntu Edgy Eft, 最近読んだ本

Ubuntu Edgy Eft

会社の Desktop PC がそろそろリースアップになるため (といってもまだ半年ほどあるのですが^^;)、新しい PC を買ってもらったついでに、その OS もこれまでの Debian sarge から Ubuntu へと切り替えてみました。なお、自宅ではフツーに Windows を使っていたり Mac もどうだ?と思っていたりするワタクシですが、会社では Linux でないと仕事にならんのです (もちろん Windows も必須ではありますが)。
Ubuntu は Debian ベースのディストリビューションで、最近特に人気が高まっているものの一つです。インストール CD が、Knoppix1 のようにブート後そのまま利用可能となるライブ CD 構成になっていたり (HDD にインストールしたい場合はそこからインストーラを起動します)、元が Debian だけに異常な数のパッケージ数を誇っていたりと、なかなかユニークな Distro です。僕が特に魅力を感じたのが、Ubuntu Japanese team によって作成された標準的な Desktop の設定に、IPA フォントが用いられていること。システムフォントや Firefox のフォント設定は、かつての Linux の状況を知るものからすると嘘みたいに「マトモ」です。
現在の Ubuntu のバージョンは 6.10、通称 Edgy Eft と呼ばれるものです。パッケージ構成は結構オーソドックスで、標準デスクトップは GNOME (KDE が標準となる Kubuntu、XFce の Xubuntu というものもあります・笑)、その他 Firefox や OpenOffice などメジャーどころは大抵入っていますが、最近流行りの 3D デスクトップ、Compiz や Beryl は標準では入っていません。今回の PC は Radeon X1300 というグラフィックスボードを積んでいることもあるし、どうせなら、と思ってその手の 3D デスクトップ系にも少し挑戦してみたんですが、ATI から配られている最新の kernel module がどうにもうまく動作せず2、今のところちょっとあきらめ中。もう少しドライバがバージョンアップしたらまた試してみよう。なお今回いろいろやって一つ分かったことは、Linux で 3D デスクトップするなら絶対にビデオカードは nVIDIA 系にしておけ、ということ。ネットには ATI で苦労してる海外の人の悲鳴であふれていますよ(笑。
うまく動かなかった原因はたぶん、その新しい PC の CPU が Athlon64x2 だったので、思わず AMD64 版の Ubuntu を入れてしまったせいもあるのかな。64bit Linux、といっても 32bit のアプリケーションも普通に動かせるので、そんなに苦労しないかな、と思ってたんですが、いやはやどうして。64bit アプリからは 32bit の so は使えない、という点や、ライブラリの場所が違うこと、などが意外にネックで、バイナリ配布しかされていない Flash プレイヤーや Acrobat Reader などを動かすにはちょっと一工夫いる模様。ただ Ubuntu の場合、今そのコミュニティが異常に活発なおかげか、このあたりの問題もほとんどは解決済み→Automatix2 というユーティリティにまとまっている様子なので、他の Distro に比べれば楽なのかも。
というわけで、晴れて僕も「switch to Ubuntu」しちゃいました<ミーハー(笑。

最近読んだ本

この間久しぶりに「アイの物語」の感想を書きましたが、その前後に読んだ本についてもとりあえず記録しておきます。イマイチ印象が薄くて単独のトピックにし忘れちゃったんですよね。

「80 年代 SF 傑作選(上下巻)」

80年代SF傑作選〈上〉 80年代SF傑作選〈下〉 先日読んだコニー・ウィリスの「最後のウィネベーゴ」に、彼女の「わが愛しき娘たちよ」のことが書いてあって、それがこの選集に収録されている、というので図書館で借りて読みました。

お目当てだったコニー・ウィリスの作品も面白かったですが3、その他の作品もとてもバリエーションに富んでいて楽しめました。以前読んだ「90年代SF傑作選」と比べると、こちらの方が骨太な印象。もう一つ印象的だったのは、最近読んだ似たような選集と比べると、選者のコメントの質が段違いに良かったこと。読者と作品と選者という三者の距離を鑑みつつ、しかしその作品への思いいれはしっかり伝える、理想的なコメントだと思いました。

「99%の誘拐」

99%の誘拐 岡島二人著。近所の本屋でなぜか平積みになっていたのでふと手に取りました。誘拐物のミステリーとしては、その誘拐の手口やらその後のトリックやらはナカナカ斬新だったのだと思いますが、やっぱり斬新過ぎるとその手法自体が結局犯人をあぶりだしてしまう事になっちゃいますよねぇ。まぁそこそこ面白かった。

「宇宙のたくらみ」

宇宙のたくらみ J・D・バロー著。自由に思える芸術の世界も、実のところ宇宙の摂理に縛られている。そのことを絵画、音楽などいろいろな面から語った本。

彼の言う「宇宙の摂理」とは、まぁ人間の身体的限界のことだったりサイズに関する物理的制約のことだったりもしますが、一番中心を占めていたのが進化論的必然、つまり適応的であるかどうかということです。人間の快不快には進化論的必然性があり、その事が芸術表現をも規定している、というのがこの本を通して僕が一番強く感じた彼の主張なんですが、僕はどうもこの、進化論に関する結果から原因を論じるタイプの議論が苦手です。「今我々がこれこれこういうことをこう感じるのは、その方が適応的だったからに相違ない」という調子を万事繰り返されると、スティーブン・ジェイ・グールド先生じゃないですが「いや、進化なんてほとんど偶然ですから」と言いたくなってしまいます(笑。ダーウィンの本場、イギリスにはこの手の強い進化論者が多いんでしょうかね…。

ただ、彼の本はもう少し読んでみたくなりました。「天空のパイ」とか面白そうです。

「まだ見ぬ冬の悲しみも」

まだ見ぬ冬の悲しみも これまた山本弘著。こちらは「奥歯のスイッチを入れろ」(タイトルから想像されるとおりの内容です・笑)、「バイオシップ・ハンター」(これ、タイトルが良くない気がするなぁ。内容的には一番好きかも)、「メデューサの呪文」(すごいテクノロジーを、それそのものをはっきり書かないことで想像させるタイプの SF。ただオチがイマイチ)、「まだ見ぬ冬の悲しみも」(理屈が破綻してる気がするのは俺だけ?)、「シュレディンガーのチョコパフェ」(アキバ系科学幻想譚…だそうですが、ちとついていけませんでした。いやネタ的にではなく内容的に)、「闇からの衝動」(敬愛する作家へのオマージュだそう) の5編を収めた短編集です。彼の前の短編集、「審判の日」も読みましたが、あっちがホラー小説風だったのに対して、こちらはちゃんと SF してます。

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