出張映画評
最近はエコノミーでも機内ストリーミングによる映画が楽しめ、退屈しません。そんなわけでここのところ出張のたびに、自分では映画館に見に行くことは絶対にないであろう映画を何本か見ていたりします。映画館には見に行かないけど、飛行機の中で見るとなかなか楽しめる作品も多いんですよね。今回も往復で5本見たので、その感想をば。(見た順に書きます。)
キャメロン・ディアス、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、ジャック・ブラック出演のラブ・コメディ。お互い失恋したてで孤独なクリスマス (=「ホリディ」シーズン) を過ごすべく、「ホーム・エクスチェンジ」という驚愕のシステムによってお互いの家を交換した女性二人が、それぞれ未知の土地で素敵な出会いをする、という話。まぁなんというか、ろくでなし男は出てくるけど、全般的には全編これ予定調和、期待通りのラッキーの連続、シュガー・コーティッド・ストーリー、という感じではありますが、ほのぼのほんわかしたい向きには良く出来たラブストーリーなのではないかしら。ケイトがちょっと冴えないイギリス娘を演じているのですが、それが超ハマッてた。あれが地なのかなぁ。ジャック・ブラックは、紹介文での絶賛ほど存在感があったとは思わないけど、なかなかいい味出してる。キャメロン姉さんは相変わらず (<それだけかよ・笑)、それにしてもジュード・ロウは色男だ。「リプリー」や「A.I.」でもすごく印象的だったけど、この映画でも超かっこよかった。ちょっとズルい役(笑。
PS3 向け HD トレイラーを配っている P-TV で、この映画のスペシャルコンテンツを沢山配信していて、ちょっと前にそれらを見、周防監督って面白い人だなーと思っていたところだったので、2番目はこれを。
いやー恐いですね。誰かが、「現代の日本で痴漢に間違えられそうになった時、とるべき行動は脱兎のごとく逃げ出す事」と書いていましたが、まさにそんな気持ちにさせる映画でした。
143分と実は長い映画なんですけど、見ている間それを全く感じさせないのはさすが。面白おかしい演出も中にはありますが、全体に抑えたトーンで、どちらかに肩入れしすぎることも、感情的になりすぎることなく、現代日本の司法、警察の現場を見つめています。しかし、僕ならいくら一日1万円以上もらえるといっても、あの拘留期間中の扱いには耐えられないかもしれないなぁ。しかも公判が始まって証拠提出が終わるまで保釈不可能だなんて。
タイトルからしてオチのネタばれになってたりしますが、そういう後味の映画であることを含めても、興味深い映画でした。万人向けではないかもしれないけどね。
ここまでが行きの飛行機で見た映画。これ以降が帰りの飛行機で見た映画です。
60 歳になったロッキーがなぜか世界チャンピオンとエキシビジョンマッチをすることになり…というその顛末を描いた作品。
いちおーこの作品は「1」にささげるオマージュ、ということになってるみたいで、1で出てきたいろんなものがそのまま、あるいは形を変えて沢山出てきます。熱烈なロッキーファンには結構楽しめるのかも。俺はイマイチだったなぁ。100 分ちょっと、と短めで、ストーリーもどんでん返しはなくストレートなものだからこそ何とか見れた、って感じ。あ、でも、ロッキーが息子を叱り飛ばすジジイの説教シーンはなかなか良かったかも(笑。
この映画で何がひどかったって、僕は日本語吹替版で見たのですが、その日本人声優のクオリティがとんでもなく低かった事が一番ひどかった。誰の声が、というのでなく、全般的にひどかった。上で書いた「ホリディ」もそういう意味では結構ひどかったんですが、飛行機の映画の吹替え、って、何かイイカゲンに作られていたりするのでしょうかね…?
しかし、国内では「ザ・ファイナル」なんて名前ですが、英語の原題は単に「ROCKY BALBOA」なんですよね。これが“ファイナル”とは限らない予感…((((;゜Д゜)))))ガクガクブルブル。
デンゼル・ワシントンがまたしても切れモノ捜査官役で出演してて、またかよ、とちょっと言いたくなりましたが、この映画はいわゆるサイコミステリーもの、テロものではなく、実はコテコテの SF なのです。ジャンル的にはタイムパラドックスもの。
ヒッジョウにオーソドックスなタイムパラドックスもののメインストーリーに、自動車爆弾によるフェリー爆破テロ事件を絡め、しかもハリケーン「カトリーナ」被災直後のニューオーリンズでのロケを敢行して、全体をちょっと思わせぶりな演出と派手なアクションでまとめた、それなりに楽しめるアクション映画でした。
タイムパラドックスもののお手本どおりに、そのストーリーは基本的に各所にちりばめられた伏線を回収することで成り立っています。あゆみさんのようにそういう「伏線回収型」のストーリーが好きな方には結構お薦めかも。ただそういう意味で言えば、犯人の家でワニに食べられてた人の手は誰のものだったのかが最後までわからなかったとか、回収されない伏線があると非常に気になってしまう。
ラストのオチも全体の整合性を重視するあまりハッピーなんだかアンハッピーなんだか分からないオチになってたりするんですが、ま、いいんじゃないでしょうか。ちなみにこれは字幕で見ました。
原題「Stranger Than Fiction」。今回見た映画の中では、僕はこれがもっとも面白かった。あらすじは公式サイトを参照していただくとして、いや、正直お話としてそれほど面白いと思ったわけでもないのだけれど、あちらこちらにツボがあったのです。
まず、ヒロインのアナ・パスカルが良かった。それも実は、日本語吹替えの声優さんが良かった<ヲイ(笑。飛行機の映画では吹替えさんの名前は表示されないので (ナニゲにヒドいよね)、帰ってからいろいろ調べてみたんですが、今のところまだ誰だか分からず。ちゃんとした大人の女性の声ながら、なんだか妙に甘い感じの、素敵な声なのです。うーん誰なんだ。総じてこの映画は、上の3本と比べると吹替えの声優さんがとってもマトモでした。ナイス。
次に、音楽が良かった。スタッフロールの時にかかっていた The free design というグループの「LOVE YOU」という曲が特に気に入って、帰ってくるなり Amazon でベスト盤をポチッとしちゃいました。主人公ハロルドが途中で歌う歌も素敵でした。
何となく DVD が出たら買っちゃいそうな勢い。それで日本語吹替えの声優さんが変わっちゃってたらショックだなー。
オダギリジョー主演の「ロードムービー」だそうな。お尻の 10 分を見られなかったのだけど、たぶんそれほど大きな変化はないだろうな、という感じの映画。スタイリッシュ、と呼ばせたいのかもしれないけれど、どーもよく分かりませんでした。日本人とアメリカ人とパキスタン人である必然性もないし。クールな感じで描きたいように見えるのに、ストーリーが妙にウェットだったりするし。オダギリファン以外には見る必要ナシな映画、かも。