birdあわせて読みたい, カート・ヴォネガット・ジュニア

あわせて読みたい

いつも巡回している有名ブログのあちこちで取り上げられ、今、流行っているようなのでここにもつけてみました。
しかしここと「あわせて読みたい」と紹介されているのは全然知らないサイトばっかりだ…(笑。

カート・ヴォネガット・ジュニア

先日亡くなったカート・ヴォネガット・ジュニアの本を2冊まとめ読み。昔、「プレイヤー・ピアノ」は読んだので、今回は「タイタンの妖女」と「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」を読みました。

タイタンの妖女 一冊目は、とある大富豪があっちゃこっちゃへ引っ張りまわされ大変な目にあう話。SF、と言うよりユーモア小説 (とあとがきにも書いてあった) という趣のこの作品ですが、「プレイヤー・ピアノ」よりは楽しめたと思う。なんだろ、とっても悲惨な境遇の中での救いというか、どん底まで落ちてから価値観がひっくり返るというか、世の中、一面的な見方をしてちゃダメで、もっと多面的に見よう、という思わせるような本でした。それが「ユーモア」の力なのかな。

そういやちょっとお下品なユーモアと、主人公があっちゃこっちゃへ引っ張りまわされる、という展開から、僕は以前読んだルーディ・ラッカーの「フリーウェア」を思い出したりしました。ちょっと似てると思いません?

ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを で二冊目。こっちはますます SF とは縁遠くなり、とある大富豪エリオット・ローズウォーターと彼を取り巻くさまざまな人のお話。登場人物がすごく多くて、彼らの他愛のない日常が延々ひたすら語られる、という作品なので、「華麗なるストーリーテリング」といったようなものを求めている人にはきっと耐え難い本なような。ただ、「タイタン〜」同様、その読後感は胸にしみるものでした。

bird「密やかな結晶」, PS3 1.80

「密やかな結晶」

密やかな結晶 小川洋子著。身の回りのものが一つずつ消滅していく「島」での出来事を、小説家である主人公の視点からつづった物語。

消滅、といっても物理的に消えてしまうわけではなくて、ある日突然、人々の心の中からその概念が消えてしまうのです。言ってみれば「死語」のような、しかしそれがもっとドラスティックな変化として起こるのです。しかも、「島」にはその「消滅」をより徹底させるための「秘密警察」なるものも存在し、「島」の住人は日々の消滅と秘密警察双方におびえつつ、それでも毎日けなげに生きているのです。

…というようなある意味突拍子もない設定の本作ですが、解説に書かれている通り、全体のテイストはちょっと「アンネの日記」を彷彿とさせるものがあります。全世界規模でさまざまなものが失われていく世界で、それでもなお人々は助け合いつつ日常を生き続けている。ラストシーンも、明るい日の光の差す、希望を予感させるものながら、その読後感はとても悲しいものでした。

喪失そのものや、にべもなく奪われゆくもの、などについて考えさせられるお話でした。

PS3 1.80

もうすっかり古い話題ですが、先日 PS3 の firmware が 1.80 へバージョンアップしました。
このバージョンでの一番の話題は、なんといっても DVD、PS1/PS2 ゲーム等 SD ソースの HD ディスプレイへの出力時にアップコンバート処理が可能になったこと。ただ、我が家は SD テレビなので関係ないかーと思っていたんですが、ところがビックリ、PS1/PS2 ゲームの設定、「スムージング」を on にすることで、かなりジャギーが低減しました。SD でも効果あるのね。
次なるアップデートでの個人的な期待は、そこそこマトモな Virtual Surround 機能の搭載、かなー。DVD に 5.1ch とか収録されてても、我が家の2スピーカー構成ではまるで宝の持ち腐れですからね。

bird「The Best of Free Design」, 「カラマーゾフの兄弟」

「The Best of Free Design」

The Best of Free Design 飛行機の中で見た映画で使われていた曲が気に入って、この CD を Amazon で買ってみました。輸入盤だからか配達にとても時間がかかり、しかも届けられた CD はケース裸 (ラッピングなし!) で結構ワイルド。まるで中古みたい。でも僕はそういうのあまり気にしないほう。

買ってみて初めて知ったのですが、このアルバムは60年代末〜70年代初めにかけて発表された曲を集めたものだったのですね。70年代初めと言えばちょうど自分が生まれた頃ですよ。ちょっとびっくり。ネットにはあらゆる情報が集まっていて非常に便利ですが、その情報やコンテンツが古いものなのかどうか、というような属性はぱっと見分からないことがありますよね。今回のような例では、そういうフラットネスが非常に幸せなことではあったわけですけれども。

肝心の内容は、というと、とても気に入りました。綺麗なコーラスワークとちょっとマドリガルを思わせるようなコロコロとしたメロディの曲が多くて、まさにツボ。しかしこれだけ古い曲で、かつ今まで生き残っているとすると、比較的隆盛したジャンルだったりするのかな、と思いちょっと調べてみたんですが、なんだか「ソフトロック」とか「ビーチボーイズ」とかいうキーワードに遭遇。個人的にはちょっと「?」な繋がりをしていて、ちょっと不思議&面白かった。普通はどんなところと繋がるんでしょうね?

「カラマーゾフの兄弟」

カラマーゾフの兄弟 上 カラマーゾフの兄弟 中 カラマーゾフの兄弟 下 ご存知ロシアの文豪、ドストエフスキー著。以前読んだ「罪と罰」が思いのほか面白かったので1、ドストエフスキー一番の傑作と言われるこれも読んでみました。これって彼の最後の長編だったんですね。何でも構想では現存するものは第1部で、この後もっとアリョーシャの活躍する第2部があった、というから恐ろしい限り。いや、今のものでも十分長いので…(笑。でも確かに、冒頭でアレクセイが主人公である旨が語られるのに、本編ではかなり存在感が薄ゲだったりする点には、実は第2部があった、という話にも納得させられるところがあります。

さて、肝心の内容は、というと、今回の初読では僕は「罪と罰」ほどにはのめり込めなかったかな。前知識0で読んだので、カラマーゾフ3兄弟の人となりが全く分からず、加えて3人の父親、「あの」フョードルのとんでもない行為に関する記述をいきなりぶつけられて、ハナからバイアスかかりまくりで最初ちっとも感情移入できませんでした(笑。流石に下巻に入る頃にはだいぶん様子も分かってきて、最後の裁判のくだりはかなり没頭して一気に読んでしまいました。エピローグのカテリーナ、アリョーシャのたくらみやアリョーシャの子供たちに対する演説は、とてもすがすがしくて未来への希望にあふれているように感じられました。

一般的には上巻ラストにある、イワンの「大審問官」が白眉、と言われているようですが、天邪鬼な僕は、「そうかなぁ?」という感想。確かに面白い話ではあるのだけれど。キリスト教的な素養がなさ過ぎるのが問題なんだろうか。

「罪と罰」ではあまり感じなかったんですが、この本を読んでいるときに度々、村上春樹の小説を思い出しました。特にイワンのくだりで。ドストエフスキーくらいの文豪になると、ほとんど全ての小説家に影響を与えているといっても過言ではないのでしょうが、思えば村上春樹の小説にはこの本の影響が色濃く出ている感じがしますね。

ところで、この「カラマーゾフの兄弟」は最近新訳が出て話題になっているんですってね。僕が読んだのは旧訳の方ですが、今度機会があったら新訳の方も読んでみたいです2

birdDNS に逆引きが設定されていないホストへの SSH が遅い

DNS に逆引きが設定されていないホストへの SSH が遅い

会社の Ubuntu マシンで、DNS に逆引きが設定されていないホストへの SSH が妙に遅く、なんでだろ?と思っていました。2ch まとめサイトなどでは、IPv6 を disable にしてみては、というような情報がありましたが当方では効果なし。
今日、ちょっと本腰を入れて packet dump なぞを取ってみたところ1、どうもこの Ubuntu マシンが接続前に必死に逆引きを解決しようとして、DNS サーバに聞きに行くだけでなく、mDNS (ポート5353) というプロトコルでも解決を試みている感じ。mDNS ってなんじゃらほい、と思ってググッてみたところ、Multicast DNS のことなんですね。
社内ではそんなもの使わないので、/etc/nsswitch.conf の hosts 行の末尾にあった mdns4 という記述を削除してみると、遅かったホストにもさくさく SSH できるようになりました。
よかったよかった。

bird出張映画評

出張映画評

最近はエコノミーでも機内ストリーミングによる映画が楽しめ、退屈しません1。そんなわけでここのところ出張のたびに、自分では映画館に見に行くことは絶対にないであろう映画を何本か見ていたりします。映画館には見に行かないけど、飛行機の中で見るとなかなか楽しめる作品も多いんですよね。今回も往復で5本見たので、その感想をば。(見た順に書きます。)

ホリディ

キャメロン・ディアス、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、ジャック・ブラック出演のラブ・コメディ。お互い失恋したてで孤独なクリスマス (=「ホリディ」シーズン) を過ごすべく、「ホーム・エクスチェンジ」という驚愕のシステムによってお互いの家を交換した女性二人が、それぞれ未知の土地で素敵な出会いをする、という話。まぁなんというか、ろくでなし男は出てくるけど、全般的には全編これ予定調和、期待通りのラッキーの連続、シュガー・コーティッド・ストーリー、という感じではありますが、ほのぼのほんわかしたい向きには良く出来たラブストーリーなのではないかしら。ケイトがちょっと冴えないイギリス娘を演じているのですが、それが超ハマッてた。あれが地なのかなぁ。ジャック・ブラックは、紹介文での絶賛ほど存在感があったとは思わないけど、なかなかいい味出してる。キャメロン姉さんは相変わらず (<それだけかよ・笑)、それにしてもジュード・ロウは色男だ。「リプリー」や「A.I.」でもすごく印象的だったけど、この映画でも超かっこよかった。ちょっとズルい役(笑。

それでもボクはやってない

PS3 向け HD トレイラーを配っている P-TV で、この映画のスペシャルコンテンツを沢山配信していて、ちょっと前にそれらを見、周防監督って面白い人だなーと思っていたところだったので、2番目はこれを。

いやー恐いですね。誰かが、「現代の日本で痴漢に間違えられそうになった時、とるべき行動は脱兎のごとく逃げ出す事」と書いていましたが、まさにそんな気持ちにさせる映画でした。

143分と実は長い映画なんですけど、見ている間それを全く感じさせないのはさすが。面白おかしい演出も中にはありますが、全体に抑えたトーンで、どちらかに肩入れしすぎることも、感情的になりすぎることなく、現代日本の司法、警察の現場を見つめています。しかし、僕ならいくら一日1万円以上もらえるといっても、あの拘留期間中の扱いには耐えられないかもしれないなぁ。しかも公判が始まって証拠提出が終わるまで保釈不可能だなんて。

タイトルからしてオチのネタばれになってたりしますが、そういう後味の映画であることを含めても、興味深い映画でした。万人向けではないかもしれないけどね。

ここまでが行きの飛行機で見た映画。これ以降が帰りの飛行機で見た映画です。

ロッキー・ザ・ファイナル

60 歳になったロッキーがなぜか2世界チャンピオンとエキシビジョンマッチをすることになり…というその顛末を描いた作品。

いちおーこの作品は「1」にささげるオマージュ、ということになってるみたいで、1で出てきたいろんなものがそのまま、あるいは形を変えて沢山出てきます。熱烈なロッキーファンには結構楽しめるのかも。俺はイマイチだったなぁ。100 分ちょっと、と短めで、ストーリーもどんでん返しはなくストレートなものだからこそ何とか見れた、って感じ。あ、でも、ロッキーが息子を叱り飛ばすジジイの説教シーンはなかなか良かったかも(笑。

この映画で何がひどかったって、僕は日本語吹替版で見たのですが3、その日本人声優のクオリティがとんでもなく低かった事が一番ひどかった。誰の声が、というのでなく、全般的にひどかった。上で書いた「ホリディ」もそういう意味では結構ひどかったんですが、飛行機の映画の吹替え、って、何かイイカゲンに作られていたりするのでしょうかね…?4

しかし、国内では「ザ・ファイナル」なんて名前ですが、英語の原題は単に「ROCKY BALBOA」なんですよね。これが“ファイナル”とは限らない予感…((((;゜Д゜)))))ガクガクブルブル。

デジャブ

デンゼル・ワシントンがまたしても切れモノ捜査官役で出演してて、またかよ、とちょっと言いたくなりましたが、この映画はいわゆるサイコミステリーもの、テロものではなく、実はコテコテの SF なのです。ジャンル的にはタイムパラドックスもの。

ヒッジョウにオーソドックスなタイムパラドックスもののメインストーリー5に、自動車爆弾によるフェリー爆破テロ事件を絡め、しかもハリケーン「カトリーナ」被災直後のニューオーリンズでのロケを敢行して6、全体をちょっと思わせぶりな演出と派手なアクションでまとめた、それなりに楽しめるアクション映画でした。

タイムパラドックスもののお手本どおりに、そのストーリーは基本的に各所にちりばめられた伏線を回収することで成り立っています。あゆみさんのようにそういう「伏線回収型」のストーリーが好きな方には結構お薦めかも。ただそういう意味で言えば、犯人の家でワニに食べられてた人の手は誰のものだったのかが最後までわからなかったとか、回収されない伏線があると非常に気になってしまう。

ラストのオチも全体の整合性を重視するあまりハッピーなんだかアンハッピーなんだか分からないオチになってたりするんですが、ま、いいんじゃないでしょうか。ちなみにこれは字幕で見ました。

主人公は僕だった

原題「Stranger Than Fiction」。今回見た映画の中では、僕はこれがもっとも面白かった。あらすじは公式サイトを参照していただくとして、いや、正直お話としてそれほど面白いと思ったわけでもないのだけれど、あちらこちらにツボがあったのです。

まず、ヒロインのアナ・パスカルが良かった。それも実は、日本語吹替えの声優さんが良かった<ヲイ(笑。飛行機の映画では吹替えさんの名前は表示されないので (ナニゲにヒドいよね)、帰ってからいろいろ調べてみたんですが、今のところまだ誰だか分からず。ちゃんとした大人の女性の声ながら、なんだか妙に甘い感じの、素敵な声なのです。うーん誰なんだ。総じてこの映画は、上の3本と比べると吹替えの声優さんがとってもマトモでした。ナイス。

次に、音楽が良かった。スタッフロールの時にかかっていた The free design というグループの「LOVE YOU」という曲が特に気に入って、帰ってくるなり Amazon でベスト盤をポチッとしちゃいました。主人公ハロルドが途中で歌う歌も素敵でした。

何となく DVD が出たら買っちゃいそうな勢い。それで日本語吹替えの声優さんが変わっちゃってたらショックだなー。

おまけ「BIG RIVER

オダギリジョー主演の「ロードムービー」だそうな。お尻の 10 分を見られなかったのだけど、たぶんそれほど大きな変化はないだろうな、という感じの映画。スタイリッシュ、と呼ばせたいのかもしれないけれど、どーもよく分かりませんでした。日本人とアメリカ人とパキスタン人である必然性もないし。クールな感じで描きたいように見えるのに、ストーリーが妙にウェットだったりするし。オダギリファン以外には見る必要ナシな映画、かも。

birdsarge から etch へ(2)

sarge から etch へ(2)

etch へ移行してから mrtg のグラフがうまく更新できていないようだったのでちょっと調べてみたところ、どうも /etc/hosts.allow の評価が微妙に変わっていた様子。
これまで localhost 等からの接続を許可するのに「ALL: LOCAL」のような書き方で OK だったのが、今のバージョンではどうも明示的に「ALL: 127.0.0.1」とか書く必要があるみたい。hosts_access(5) を見ると LOCAL でも OK なように見えるんですけどね…。謎。

birdsarge から etch へ, アンプ, flOw, コンデジ画質、デジイチ画質

sarge から etch へ

先ほど、この Web サーバが動いている Debian マシンを sarge から etch へアップグレードさせました。ここに書かれた手順通りで特に問題なく移行完了。あ、一点 /etc/lilo.conf に initrd 関連の記述を追記したりはしました (今までは IEEE1394 関連ドライバ目的で自前カーネルを使ったりしていたので…)。
実はこの間、アップグレードの準備としてすでに使っていないパッケージをごっそり削除したんですが、アップグレードしたらまた Disk 利用率が削除前くらいに戻ってしまいました。どうもアップグレードに伴っていろいろまたいらないパッケージが入ってしまっている模様。後で掃除しないとなー。
今のところ大きな不具合なく移行でき、とりあえずほっとしています。

アンプ

昔ねおんさんにいただいた AV アンプが半年くらい前にいよいよ壊れてしまい1、とりあえずその場しのぎに若い頃一人暮らししていたときに使っていた ONKYO のミニミニアンプ (A-911M) を引っ張り出して使っています。
しかし、今改めて聞いてみると、このアンプひどい音(^^;。新しいアンプを買うべきか、今までのアンプを修理すべきか…2

flOw

昨日から、PLAYSTATION(R)Store で日本でもようやく売り始められた「flOw」を買ってみました。840 円ナリ。
分量的には半日で全て終わってしまうくらいの量ですし (一日一種、くらいのつもりでプレイするとちょうど良いかも)、基本的にやる事と言えば「食べて進む」だけ、という実にシンプルな内容でしたが、素敵なゲームでした。特にスタッフロール前後の流れがとてもおしゃれ。

コンデジ画質、デジイチ画質

CANON EOS Kiss DNRICOH Caplio R6 僕が普段使っているデジタル一眼レフの EOS Kiss DN と、新しいコンパクトデジカメ RICOH Caplio R6 で、たまたま同じような位置から同じようなものを撮った写真があったので両方載せてみます (ちょっと暗いほうが KissDN、明るく見える方が R6 です)。なお KissDN には Sigma の 18-200mm F3.5-6.3 DC をつけていました。

時間帯が若干違うこともありますし、R6 の方は以前書いたとおりちょっと露出がオーバー気味ではありますが、これらの写真を見るといわゆる「コンデジ画質」と「デジイチ画質」の違いのようなものが分かるように思います。

画素数的には 800万 (KissDN) と 700万 (R6) ですから今やほとんど違いはありませんが、たぶん撮像素子の大きさの違いから来る画素の均質性 (ノイズの少なさ) については、やはり相当の差がありますね。デジイチのクリーンな画面を見慣れてしまうと、コンデジの「暴れる画素を画像処理 (ノイズリダクションやシャープネス) で何とか押さえ込んでいる画面」がやはりどうしても苦しそうに見えてしまいます。

とはいえ、デジイチにはあの、「(昨今のコンデジに比べれば) 巨大なボディ」というとても大きな代償があるわけで、しかもピクセル等倍で見ない限りその差が気になる事もまれ、となると、フツーに使う分にはコンデジで十分、という結論になるのでしょうね。特に R6 は、それまで使っていた FX1 以下のサイズでマクロもこなす 28-200mm レンズまで搭載しちゃってるわけで…。大したものです。

birdRicoh Caplio R6

Ricoh Caplio R6

RICOH デジタルカメラ Caplio (キャプリオ) R6 レッド これまで、主にあゆみさん用&一眼を持ち出すまでもないようなイベントで使っていたコンパクトデジカメ (以下、コンデジ) の LUMIX が先日書いたとおりあんまり調子が良くなく、そもそも電池が寿命っぽい (膨らんできた&持ちが極端に悪くなってきた) こともあって、新しいコンデジとして今度はリコーのこれを買ってみました。GW のイベントに一日連れ出し何となくこのカメラの性格が分かってきたので、ここらで簡単なインプレをば。

広角端作例 第一印象は、とにかくレスポンスのいいカメラだということ。撮影後のプレビュー設定に「0.5 秒」なるものがあるカメラ、初めて見ました(笑。いろんなところに「とにかくレスポンス良く撮影できる」ように工夫された箇所が垣間見えて、とても好感を持ちました。28×200mm という、コンデジとしては高い倍率を持つズームレンズの、そのズームスピードも極めて速く、人によっては早すぎる、と感じる人もいるんじゃないだろうか、と思うくらい。この R6 と良く比較される Panasonic の LUMIX DMC-TZ3 と店頭で比較した限り、AF スピードにも雲泥の差がありました。ただもちろん、普段使っているデジタル一眼の EOS Kiss Digital N と比較すれば遅いのですけどね。メモリーカードへの読み書きも、ちゃんとそれなりに早い SD カードを使ってあげれば1、ほぼ待ち時間なく読み書きできます。なお、連写時どうかはまだその機能を使ってみていないので分かりません。

望遠端作例 R6 最大の特徴である 28x200mm (35mm 換算) の 7.1 倍ズームは、予想以上に使い勝手が良い印象です。普段 Kiss DN では、屋外イベント時はシグマの 18x200mm (換算 30×325mm) を使うことが多いので、望遠端の差が大きいかなぁ、と思っていたんですが、200mm でもずいぶんしっかりと寄れる感じ。その点は予想外でした。

マクロ作例 広角端で 1cm まで寄れるマクロ機能も面白いです。右の作例は虫ですので嫌いな方は注意!

他にも、好きな機能を割り当てられる ADJ ボタンが便利であるとか、背面の親指の指置きが滑りづらくてよい、というような点が気に入っています。

ネガティブな面としては、露出、WB が Kiss DN と比較するとあまり信頼できない点、高 ISO 感度時ノイジーな点、各所の作りが余り良くない印象である点、動作音が大きい点などでしょうか。露出はとてもハイキーに写ることが多く、結構積極的にマイナス補正してあげないと、人によっては好みの写真が撮れないかも。僕はあまり気にしませんでしたが…(ハイキーであることそのものより、それによって色が浅くなってしまうのがもったいないと思いました)。また WB は、晴天下の日陰で auto だととても青っぽく写ってしまい (「日陰である事」をことさら意識させるためにこんな設定になっているのかしら?)、色温度低めでとりたい場合は明示的に「曇天」を選ばなければなりません。とはいえ、我が家の電球色蛍光灯下 (一般に電球色蛍光灯は WB 泣かせと言われています) での撮影でも、auto のままでそれほど破綻なく撮れているので、WB 自体の能力が低い、というわけではなさそうです。そういう味付けなんでしょう。また高 ISO 時のノイズも、確かに Kiss DN と比較すると気にはなるのですが、ノイズの出方的には LUMIX よりは目立たないように思います2。LUMIX と比べるとガンマ値が高いのも個人的には好み (というかこの点は LUMIX のガンマ値が低すぎるだけな気がする)。

作りについては、ちょっと人によっては安っぽいと感じそうな部分が目立ちます。電池スペースが電池本体に比べて広すぎ、電池の周りが隙間だらけであること、などはちょっとビックリするかも。ズームレバーや SCENE モード切替スイッチあたりの質感も微妙。また作りがチープだからか動作音も非常に大きいです。

さらに僕が買った最初の個体は、銅鏡が繰り出し途中で引っかかってしまう、という不具合があって、初期不良交換となってしまいました。何でもこれはリコー R シリーズの持病のようなものだそう。というわけで、その手の「工業製品としてのクオリティの低さ」に耐えられないと、満足感は得られないかもしれません。

僕もそのあたりが気にならないわけではありませんが、出てくる写真はとても気に入ったので、今後しばらくは楽しく使っていけると思っています。

First | Prev | 397 | 398 | 399 | 400 | 401 | Next | Last