birdJava Code 読み読み

Java Code 読み読み

久しぶりに結構大きめの Java のコードを読み読み。全く手がかりのないところから、クラス名で当たりをつけてどんどん中へ読み進んでいくのは結構スリリングですよね。
それにしても、人の書いたコードというのはいろいろ発見がいっぱいです。知らなかったテクニックや思いもよらない設計1などを知り、「これはどうしてこうなっているんだろう…?」と考えるのは下手なミステリーより楽しいかもしれない。ましてや、実際に書いた若人がそばにいて、いざとなれば正解を聞ける、となればなおさらです。
しかし、継承を使いまくったコード、というのは設計的にはキレイかもしれないけど読んでいて困るシチュエーションもいろいろありますね。このメソッドに入ってくるこのインターフェイスを持ったインスタンスは実際はどのクラスのインスタンスなんだ?というのが分からないと思わぬ袋小路にはまってしまう事も…。

bird「Big Bang The Origin of the Universe」, テレビ不調(2), 月刊 ASCII 休刊&リニューアル

「Big Bang The Origin of the Universe」

Big Bang The Origin of the Universe Simon Singh 著。ようやっと読み終わりましたぁ。サイモン・シンのこれまでの本同様、いわゆる宇宙論に関してギリシャの昔から現代 (のちょっと前くらい?) までとても丁寧に、そしてドラマチックに追った本です。僕がとても面白かったのは、その時代時代でメインストリームを争っていた理論が、当時どうして支持を得ていたのかをきちんと説明しているところです。例えば天動説・地動説というような話などは、日常的に人工衛星を飛ばし、太陽系から飛び出すような探査機をすでに持つ現代人にとっては、どうしてそんな事を信じていたのだろう?と逆に思えてしまうわけですけれども、当時は重力という概念がまだなく、その代わりに「すべてのものは宇宙の中心に引き寄せられている」と信じられていたのだそうで1、そうすると地動説的な世界観は確かに受け入れがたい (「じゃあどうして地球上のものは宇宙の中心へ落ちていかないのだ?」という疑問に答えられない)。また、普通の人には地球が動いている事が全く感じられない (今考えるとスケールが違いすぎるので当たり前、という話なのでしょうが)、というのも、結構強い反証だったとか。

また、僕らは物心ついた時にはすでに CMB Radiation (Cosmic Microwave Background Radiation、つまり宇宙マイクロ波背景放射のこと) も見つかっていたし、宇宙論の主流は Big Bang モデル、という状況だったので全く知らなかったんですけれども、前世紀中ごろ過ぎまで、Big Bang モデルは Steady State モデルと呼ばれるものとがっぷり四つで争っていたんだそうですね。Steady State モデルはいわゆる定常宇宙論の一種で、ハッブルの発見した赤方偏移2を、Big Bang とは異なる方法で説明可能な宇宙論です3。そのモデルについて僕は全く知らなかったので実に面白かった。Steady State モデルの提唱者、フレッド・ホイルの名前だけは何か別のところで聞いた事があったんですけどね。ホイルは重たい元素が超新星爆発によって生み出される、という話を考えた人でもあるらしいので、たぶんその辺かなぁ。

僕は最近、この本のエピローグでも触れられているような、「じゃあとりあえず Big Bang はあったとして、今この宇宙を構成している6つの基本的なパラメータ (重力定数、強い力の性質、その他…よー知らん・笑) はどうして今の値になっているのか?」というような議論の方をよく読んでいたせいか、素の Big Bang ってすでにちょっと old-fashioned な理論なのかと思ってたんですが、基本的な枠組み、という意味では今もまさにメインストリームに座り続けている理論なのですね。この本はその点、すでにある程度評価が固まっている部分に関して歴史的な流れをとても密度濃く追ってくれていてとてもためになりました。代わりに、インフレーションや VSL、上記の「宇宙の自然淘汰」に関する話題などはエピローグでさらりと触れられているだけなので、最新トピックに興味がある人には少し物足りないかも。

それにしてもですねー、彼の翻訳本でも感じていましたが、彼の本のリーダビリティ (あえてカタカナ) はものすごいです。英語の本なんて全く読んだ事のない、自他共に認める英語の苦手な僕でも何とか最後まで読み通せてしまうのですから。難しい単語を使っていないわけでもないんですが、本の構成 (図表もとてもたくさん使われているし、各章の最後には必ず手書きのサマリーノートがあって、その章の流れを概観できるようになっている) や文章がとてもよく考えられていて、多少単語が分からなくても内容が無理なく理解できてしまいます。この間読んだ本の 16 歳のセアラさんがお薦めしているのも納得ですよ。このリーダビリティなら若い人にも無理なく薦められます。

彼の既刊2冊もこの機会に英語で読み直してみようか、と思った今日この頃なのでした。

テレビ不調(2)

以前に書いたとおりイマイチ調子悪い我が家のテレビですが、困った時の Google 先生頼み、で Google 先生に聞いてみたところ、スタンバイ LED が点滅する、という症状は電源の保護回路が働いてしまっている可能性があり、とりあえずコンセントを抜いて数十分放置してみると状況が改善される可能性がある、との情報を発見、早速試してみたら見事に治りました。
これでまたしばらく使えるゾ。

月刊 ASCII 休刊&リニューアル

これは触れないわけにはいられない。月刊 ASCII が今の PC 雑誌としては今月8月号で休刊、改めて 10 月に IT ビジネス総合紙 (?) として新創刊される、とのこと。月刊 ASCII 編集部 (通称 A 編) といえば、僕がアルバイトという立場ながらフルタイムの社会人生活を始めた場所。思えば、あそこから紆余曲折な社会人人生が始まったのです。

しかし、当時編集長だった遠藤さんや工藤さん、西村さんやもちろん綾丸さんなど (うー他にもいっぱいいたのに名前が出てこない)、すごく魅力的な人が多い職場だったように思う。夜中にみんなで頼むケータリングの食事、徹夜明けに通う目の前の吉野家、会議と称されたアジャンタでの食事、…なんだか食べ物の記憶ばっかりだな(笑。初台のとてもきれいなビルなのに、中で働いている人は徹夜でヘロヘロ、オフィスも超乱雑 (その後やっぱり仕事でしばらく通っていたことのあるソニーマガジンズのオフィスなどを見ても、出版社というのは概してそういうもの、っぽい。ソニマガの時は僕も受付横のソファーで朝まで寝てたりしたことがあります・笑。社長が笑いながら横を通っていったとか何とか後で聞かされたりして) そのギャップが当時なんだか可笑しかったっけ。

今回のことが雑誌、というメディアの呪縛から逃れられなかった結果なのかなんなのかは分からないけれど、あの場にいたあの方々は今、またはこれからどうされていくのでしょう。なんだか少し切なくなってしまうニュースなのでした。

birdテレビ不調

テレビ不調

昨日、仕事から帰って (家に着いたら 1:00 だったよ!) いつものようにテレビを見ようとしたら、愛用のテレビの調子が悪く、なんとスイッチが入らない。電源を入れると、「ぶーんぶーんぶーんぶーん」とうなったあと、「ぷちっ」と切れて、赤い LED が点滅。うわー困った。
でもその後、あゆみさんがリモコンをいろいろいじっていたら急にちゃんと映るようになりました。ふぅ、よかった。
今このタイミングでテレビが壊れるとちょっとヤですよね。ちょうど SD から HD への切り替え時期で、液晶、プラズマともかなりこなれ始めてきているとはいえ、どちらも技術的にはあと一歩、という感じですし。出来れば 2011 年までは今のテレビで行きたいのですけれど…。

bird「つかぬことをうかがいますが…―科学者も思わず苦笑した102の質問」

「つかぬことをうかがいますが…―科学者も思わず苦笑した102の質問」

つかぬことをうかがいますが…―科学者も思わず苦笑した102の質問 イギリスの科学雑誌、「ニューサイエンティスト」の巻末の人気コーナー、「Last Word」に寄せられた読者からの質問&回答を集めた、科学雑学の本。英語の本を読むのにちょっと疲れてきたので、気分転換に図書館で借りました (でも二日しか持たなかった…)。

この本が面白いのは、質問も回答も読者からの投稿で成り立っている点。回答の中には、あからさまに「そりゃないだろう」というものもあって、そういう意味ではいい訓練になる…かも。大部分はちゃんとした回答なんですけどね。

イギリスの雑誌のせいか、「紅茶は沸かしたてのお湯でなければならないのはなぜか」というようなある種どーでもいー感じの質問への回答が異常に沸騰していたりして面白かった。最後の方では「グレッグ・イーガンさん オーストラリア在住」なんて人も回答していたりして。

あと、水玉さんのイラストをものすごく久しぶりに見た気がする。昔 ASCII で働いてた頃を思い出しました。

いわゆる飲み会ネタになるような雑学を探している人にはあんまりお薦めできない本ですが、子供の頃から不思議に思っていたような科学的なナゾがあるなら、ちょっと読んでみると思わぬ発見があるかも。

birdSIGMA 30mm F1.4 EX DC/HSM

SIGMA 30mm F1.4 EX DC/HSM

我が家のアイドル、チューバッカのぬいぐるみ。デカイので注意。 以前から、主に室内での利用を考えて明るいレンズが一本欲しいと思っていて、今年もまたこの時期に買ってしまいました1。Sigma の 30mm F1.4 です。35mm フィルムに対して焦点距離が 1.5/1.6 倍となるデジタル一眼レフカメラ向けの標準レンズ2を目指した、なかなか野心的なレンズです。右の写真は夜の室内、というとても暗い状況ですが、そんな時でも ISO400 で 1/30 くらいのシャッターが切れるのでとても使いやすいです。

EOS Kiss DN 装着図 いわゆる大口径レンズなので、小さな EOS Kiss DN につけるとすごく大きく見えます。ボディ下端よりもレンズ+フード下端の方が下に出っ張ってしまうという(笑。心配していた重量については、最近キットズームではなくシグマの長いほうのズームをよくつけているせいかあまり気にならず、初めての単焦点、という点にもほとんど違和感ありませんでした。30mm、という焦点距離がやっぱり使いやすいのかも。

ただ、F1.4、という明るさからくる被写界深度の浅さは想像以上ですね。ほんとにピントの合うところが狭い。とはいえ、僕のような下手な人にとっては、ピクセル等倍ではなく PC の画面や L 版程度の大きさで見るようにすれば、目に見えて打率が上がるので (被写体ぶれが減るのです) とても嬉しいです3

AF も速いし静か、開放ばかりでなくある程度絞って使えばちゃんと単焦点らしいシャープさがあるし、各所の品質も高く、なかなかいいレンズだと思います4

bird仮面ライダーカブトといえば, 医療とは, 最近

仮面ライダーカブトといえば

ずっと書こうと思っていて忘れていた。今年のライダー、「カブト」はとても面白いんですけれども、その理由はいろいろあれど、加賀美役の佐藤祐基さんの演技がとても良い点は一つ特筆したいトコロです。
これまで仮面ライダーって、イケメンであることにこだわりすぎて演技はさっぱり、というパターンも多かったですが (オンドゥルなんてネタもありました)、今年は加賀美くん、主役の天道とも頑張っている。天道はまぁ非常にエキセントリックな役なんでうまいとか下手とかよく分からないんですが、加賀美は凡人なんだけれども熱い、というそのキャラクターをとてもうまく演じているように思います。
ゆくゆくはオダギリジョーばりの役者に育ってくれるといいなぁ。応援しています。

医療とは

風野先生のこちらの記事にこうありました。

医者は、すべての医療行為は、生体に対する侵襲を加えるものであり、本質的に危険なものであることを知っている。医療には限界があるし、どんな医療もリスクを伴う。ところが、患者の側では適切な治療が行われれば人が死ぬことはなく、有害なことが起きたなら、その医師は非難されるべき悪い医者だと思っている。こうした、いわば「安心・安全願望」ともいうべき考え方が患者の側にあり、「当事者の心情」を強調した冷静さを欠く記事によって、その「安心・安全願望」を後押ししているのがメディアだ、と著者は指摘する。

「すべての医療行為は、生体に対する侵襲を加えるもの」というのは、分かっているようで、意外にみな分かっていない認識の一つだと思いました。自らの身体の恒常性を保つのはあくまでも自分なんですよね。侵襲を加え病巣を取り除くことが時に劇的な効果を生む事があるのは間違いありませんが、自ら恒常性を保つ努力をしない限り、結局生命として継続的にちゃんと生きていくことは出来ないんじゃないかと僕は思います。

上のページで風野先生が紹介してくださっている本はとても面白そうですね。今度読んでみようかな。

最近

読書感想文が少ないのは、アメリカへ出張へ行った時にまだ邦訳の出ていないサイモン・シン「[Big Bang: The Origin of the Universe](http://www.amazon.co.jp/gp/product/0007162219 /ref=as_li_tf_il?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=0007162219 &linkCode=as2&tag=digitmemo-22)」なる本を発見してしまい、思わず買ってしまったからなのでした。英語の本はやっぱり読むのに時間がかかります…。
電車の中で読んでいるので辞書を引くこともままならないんですが、面白い事に6割方単語の意味が分かれば、大体文意はつかめちゃうんですよね。よく分からない文があってもとりあえず飛ばして先へ進めば、あとから「ああこんな感じのことを言っているのかな」というのが分かってきます。知らない単語の意味も「たぶんこんな感じじゃ」と思いつつ読んでいると、なんとなく分かったような気がしてきたり。何度も出てきて正確な意味がどうしても気になる単語だけ、あとから辞書を引いています。
追記。今ちょっと調べてみたら、日本でも6月21日に新潮社から邦訳が出るようですね (上巻下巻)。彼のこれまでの本同様この本もとても面白いので、お薦めです。

birdおっとしまった。

おっとしまった。

ドメイン更新料を払い忘れたせいで (Notification Mail もスパム認定されて Junk 行きになってた・汗)、今日一日このサイトにアクセスできなくなっていたようです。一年毎に更新しなければいけないのは危険だなぁ。

bird谷本光さん、再始動!

谷本光さん、再始動!

2004年くらいから全然その活動が分からなくなってしまって、「もう音楽止めちゃったのかなぁ…」と思っていた谷本光さんですが、今年から大復活していました!タイトルのリンクは公式ページ。彼の代表作「Thanks To Music!」の演奏ムービーがダウンロード出来るので、ご興味もたれた方はぜひぜひ一度ご覧になってみてください。彼の演奏、すごく楽しいと僕は思います。
僕が初めて彼を知ったのは彼がまだ 17 歳とかそのくらいのころでしたが、その頃からあんな感じで1、彼自身による作曲の曲もとても素敵なのです (「Thanks To Music!」以外の「渡り鳥」や「影と光」なども実に名曲)。
上記ページではブログも読めます2。そちらによると、おととし、去年と音沙汰なかったのはずっとスペインに行っていたからだったんですね。昔とちっとも変わらない、相変わらずの体当たり人生ですね(^^;。
今年から日本でもまた演奏活動を再開されるそうなので、今度また東京に来られたときに聴きにいきたいな。彼の DVD、「Shadows and Lights」以来の新曲も聴いてみたい。
追記。今流行の YouTube にもムービーが上がってましたので (内容は公式ページで配布されているものと同じものです)、お手軽に見られるこちらもリンクしておきます。

bird任天堂のやる事がいちいち納得できることについて。, 「NANA」と言えば…(2)

任天堂のやる事がいちいち納得できることについて。

今回の E3 で任天堂も Revolution 改め Wii に関する情報をいろいろ公開しましたが、その内容がいちいち的確で腹が立つ…<なぜ?(笑。
まず、Opera 搭載。組み込み用ブラウザとしての Opera は素晴らしいですよ。僕は京ぽん、りなざう (Linux Zaurus) 上で Opera をさんざん使っていますが、例えば同じりなざう上で NetFront と比較すると、同じページをレンダリングするにも圧倒的に早いです。消費クロックレベルでゴリゴリにチューニングされている感じ。レンダリング品質も IE、Mozilla には少し及ばないながら、NetFront よりはずっといい。
次、WiiConnect24。ネット接続された Wii の電源を完全に落とさずに、使っていないときでもネットワークからコンテンツをプッシュしたり自動ダウンロードしたり出来る機能です。DS のすれ違い通信などと同じように、ゲームをプレイしていないときでも自分の Wii がなにか変化している、というこの機能は、任天堂の狙う「ゲームプレイ時間の増加」に大いに貢献しそう。PS3 や Xbox360 のようなパワー追求路線からはなかなか実装しにくい機能ですよね。いいとこ突いてくるなぁ。
最後に、実際のプレイの様子をたくさんデモしたこと。Wii の最大の特徴はそのユーザーインターフェイスにあるわけで、実際に人がそれをどう扱うかが分かる、ということは彼らにとってとても重要なことです。PS3 コントローラの 6 軸加速度センサーの使い方がまだまだ実験的なものだったのに対して、Wii のデモはすごくダイナミックで、まさにあのコントローラあっての Wii であることが分かるものでした。プレイの様子はちょっと EyeToy と似てますね。EyeToy をプレイした経験から考えると、いつもあんなふうにダイナミックにプレイしているとちょっと疲れてしまいそうだけど、Wii の場合はヌンチャクコントローラやクラシックコントローラ、といったものを使っていわゆる普通に座ってプレイできることも出来るでしょうから、きっとユーザがその日の気分でプレイスタイルを変えたりすることも出来るのでしょう。
社長が岩田さんになってからの任天堂のこのそつの無さ、ってのはなんなんでしょうね…。

「NANA」と言えば…(2)

この間偶然、深夜にやっている「NANA」のアニメを見ました。この間見た実写版映画って、漫画のイメージの再現度がべらぼうに高かったんだなぁ…ということが分かってなにゲに面白かったんですが、それより驚いたのは途中流れる CM でのタイアップ商品の変さ加減。2頭身の NANA を操作するゲームとか、「一体これって誰が買うの?」というような奇怪な商品が次々に出てきて、商魂たくましいのはいいことだと思うけど…と。今「NANA」を取り巻く状況、ってのはそんな感じなんですねぇ。まさに「ブーム (の廃れかけ?)」というところなのかな。

bird62,790 円

62,790 円

う〜ん…正直高いなぁ。とは、今日発表になった PLAYSTATION 3 の価格のお話。ちなみに発売日は今年の 11 月 11 日で確定のようです。
タイトルの 62,790 円、というのも、廉価版の方の価格であって、フルスペックな標準版の方はなんとオープンプライス。価格を発表できないくらい高いのかよっ!と思わず突っ込みたくなってしまいます。
とはいえ、例えば北米価格では両方とも公開されており、それぞれ 499 ドル、599 ドルだそうです。その差をそのまま適用すれば、日本の高いほうは大体 7 万 5000 円くらいになるのでしょうか。ほとんど PSX なみですナ。
ITmedia の久夛良木社長へのインタビュー記事によると、かの人の感覚的には「安すぎたかも」とのことなんですが、さすがにそれはないでしょう、社長。
確かに、例えば実質的な Blu-ray Disc 再生一号機であることから、先日発売された HD DVD Player などと比較してみると、同価格帯といえなくもない。ただ、彼らのハードウェア販売台数は PS より少なくとも二桁、場合によっては三桁以上少ないわけですよ。そんなレベルの販売台数でもペイする AV 機器と、とにかくプラットフォームとしてまず普及しない事には何も始まらないゲーム機を同列に語ることはナンセンスでしょう。同じ事は対 PC という場合にも言えて、彼らも基本的にはハードウェア売り切りビジネスですから、AV 機器に近いといえます。
では、純粋なゲーム機としてみたときに、発売日時点の PS3 のコストパフォーマンスが適正か、と言われると、僕の感覚ではあまり適正だとは思えないッス。PS1、PS2 発売時よりも倍近く高い、となると、そもそもマシンのポテンシャルがそのくらい違うとか、見せてくれるサービスの質がそのくらい違う、というのが消費者側にわかりやすく見えないと、なかなか訴求しないんじゃないでしょうか。個人的な感覚では、PS1⇒PS2 の時の質の向上のイメージの方が、今回の PS2⇒PS3 のイメージよりも強かったように思います。性能向上以外の、例えばネットワークなどの方向に関しても、それほど劇的なサービスは聞こえてきていませんし。
詰め込んだ新技術の量や質は確かにすごいのかもしれないけど、普通のユーザは技術を買うのではなく、その技術により達成されるサービスに対してお金を払うわけです。技術屋的視点から見ると適正価格なのかもしれないけれども、一般ユーザ的視点からはとてもそうは見えない。そこに今回の PS3 の弱点があるように思います。久夛良木社長は技術の人なので、彼がそういう風に考えてしまうのはわからないでもないのですけれども、本当ならば、そういったスゴイ技術を一般のユーザが夢を見られるヴィジョンという形に翻訳して広く知らしめる人が必要なんですよね。確かに、PS3 クラスのコンピュータが家庭に数千万台レベルで普及すれば、いろいろ面白い事が実現できるはず。それを、PC や家電の人たちが考えた延長線上ではなくて、ゲーム機ビジネスという立場から、しっかり地に足の着いたヴィジョンとして語れる人が必要なのだと僕は思います。そしてそういうヴィジョンが語られない限り、PS3 のこの価格が適正であると判断されることもないのではないでしょうか。
全く別の考え方として、発売当初はそもそも生産にも苦労するし、PS2 の時のフィーバーのようになって買えない人が続出したり、あまりに大きなブームが来て現行世代機のビジネスが急激に縮小してしまうことを恐れて、とりあえずご祝儀価格で出してみた、という可能性もないわけではないです。ただゲーム機ビジネスの場合、プラットフォームたるハードウェアの台数が出ない限り、その上でのソフトウェアビジネスも成り立たない、という面があり、上記アイディアには、「ハードが高い」⇒「台数が出ない」⇒「ソフトが売れない」⇒「儲からないからソフト開発しない」⇒「ライセンス収入が増えない」⇒「ハードを安く出来ない (ハードが高いまま)」というネガティブスパイラルに陥る諸刃の剣的リスクがあります。それに、北米市場では Xbox360 の登場以降、すでに予想を超える急速さで現世代機市場の縮小が始まっている、という現実もあります。この戦略はリスクが大きすぎるような気も。
とにかく、これからはいかに一般の人にあの価格が適正だと思わせるくらい、魅力的なサービスを提示できるか、にかかってきたわけで、ある意味 SCEI のとりうる戦略としてはわかりやすくなったかも。さぁがんばろー>SCEI。

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