bird「最後のウィネベーゴ」

「最後のウィネベーゴ」

最後のウィネベーゴ コニー・ウィリス著。「航路」「ドゥームズデイ・ブック」、はたまた「犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎」などで日本では長編のイメージが強い彼女の、これは短中篇集。「女王様でも」「タイムアウト」「スパイス・ポグロム」「最後のウィネベーゴ」の4編を収録しています。ロマンス有りな中2編はやっぱり以前読んだ「リメイク」と印象が似ているなぁ。同じ作者なのだから当然ですけれど。

コニー・ウィリスはとても面白いのだけれど、文体に独特の癖があってあのリズムに入り込めないとイマイチ面白さを味わえない気が1。そういう意味ではいきなり短編集から入るよりも、「犬は〜」あたりのながーい話から入った方が免疫がついてよいのかも。

この本、装丁が良いですね。ちなみにこの本のタイトルの「ウィネベーゴ」はこれのことです。

bird「パプリカ」, Dyson の感想

「パプリカ」

パプリカ 筒井康隆著。去年アニメーション映画になったこの作品、その影響で近所の蔦屋で平積みになっていたので読んでみました。ちなみに映画の方はまだ見ていません。

筒井康隆の話の中では、「七瀬」シリーズなんかに近い感じの作品ですね。やっぱりちょっと浮世離れした、おまえは観音さまか、というようなスーパーウーマンが主人公で、どんどんむちゃくちゃになっていく話の展開も似てる気がする。ジャンル的には SF っぽいけど、実は「ハルヒ」とかのラノベとテイストは近いのかもしれない。ああいうのをもっと脂ギッシュにおっさん臭くした感じ、というか(笑。いや、とても面白かったです。断筆宣言直前の 1997 年の作品だそうで、そういう意味では思ったよりも最近の本なのね。

この本を映画化したのは今敏監督で、今敏監督、というと僕は「千年女優」しか見た事がないのですけれども、この本はあまりにもあのテイストにはまりすぎているようにも感じ、どんな風に映像化されているのか、ちょっと見てみたい、かも1

時をかける少女 そういえば、去年アニメーション映画としてリメイクされ話題になった「時をかける少女」も筒井康隆原作でしたね。去年は筒井原作アニメの年だったのね、実は。そういや、「七瀬」も映画化されるんでしたっけ?>だれとなく

Dyson の感想

Dyson サイクロンクリーナー アレルギー DC12plus 先週買った Dyson DC12 plus allergy のもう少し詳しい感想をば。

サイクロンによるごみの分離性能はさすが
ダイソン、といえばその特許技術でもあるところの「ルートサイクロン」テクノロジー。複雑な構造を持つシリンダー内で高速の空気の渦 (サイクロン) を生み出すことで、ごみと空気を遠心力で分離し綺麗になった空気を排出します。最近は国産でも「サイクロン」をうたった掃除機がいろいろ出ていますが、国産のそれらは実際にはサイクロンによる遠心分離はオマケ程度のもので、紙パック式以前の固定フィルター式とほぼ同じ仕組みだったりするのは有名な話。比較的遠心分離している、と言われているシャープのものにしても、ダイソンと比較するといわゆる一つ目のサイクロン (ダイソンでいうと一番最初の、一番大きいごみが分離される部分) しかなく、細かいごみの分離は結局フィルターに頼っています2。ダイソンの場合、外側の大きなサイクロンに引き続いて、5つの漏斗状の「ルートサイクロン」部を空気が通り、細かいごみはここで再度分離されます。この2段目が効いている感じ。2段目のごみはクリアビン内シリンダーの中に溜まるのですが、本当に細かいちりが溜まっているのが分かりますし、ダイソンの場合もサイクロン部の後にプレモーターフィルター (スポンジ+布っぽいフィルターの2段構成。これもウォッシャブルです) があるのですが、それが1週間掃除をした後もほとんど汚れていません。サイクロン部終端の、最後の空気が出てくるところにもほとんどホコリが溜まっておらず (ちなみにシャープのものは結構すぐにそのあたりがホコリだらけになります)、きちんとサイクロン部でごみの分離が出来ていることが伺えます。ちなみにプレモーターフィルターは1年に一度洗浄する必要があります。
いわゆる吸引仕事率は低い
「サイクロンによるごみの分離」の産む負の結果として、サイクロン部におけるエネルギー損失が大きいためか、吸い込みの強さ、いわゆる吸引仕事率は 250W と国産の掃除機と比較すると非常に弱いです。たぶん今メインで売っている国産機の半分にも満たないんじゃないかしら。モーター自身の消費電力は 1000W と国産のそれと変わらないんですけどね。我が家の前の掃除機も 500W 以上あったようなので、例えば試しに前の掃除機のヘッドをダイソンにつけてみたことがあるのですが、吸い込みが弱くてそのタービンヘッドが上手く回らなかったりしました。「吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機」という事実のウラには、実はこんなオチもある (なぜなら国産機の吸引力が半分に落ちたとしてもまだダイソンより上だったりするので)、という点は理解しておく必要があるかも。ただ、その 250W という吸引力が実際使ってみてどうか、というと、僕には必要十分なように思います。付属の「クリーンエアタービン」ヘッドがそのような弱い吸引力でもちゃんと動作するように作られているせいもあるし、確かに床に落ちている豆のようなちょっと重いごみが上手く吸い込めないことがあったりするけれど、そんなときでも例えばヘッドを外して吸い込めばちゃんと吸えます。なにより、その強すぎない吸引力は床以外を掃除するとき、隙間ノズルやブラシノズルをつけて棚の上のホコリを吸う、といった作業がとてもやりやすい、というメリットもあります。なお、我が家は全部屋フローリングで、じゅうたんといえばホットカーペットと足拭きマットくらいしかありません。もし毛足の長いじゅうたんの部屋なんかがある家だと、ちょっとあの吸引力では物足りないこともあるのかも。
ヘッドについて(1)「クリーンエアタービン」ヘッド
標準で付いてくる床掃除用の「クリーンエアタービン」ヘッドは、まぁ悪くはないのですが前に使っていたシャープのものに比べるとちょっと小回りが効かないというか、掃除しにくいところがありますね。タービン回転用の動力をヘッドの横に特別に用意されたインテークから流れ込む空気から得ているのですが、そうでなくても弱い吸引力をそんなところでさらにロスしてしまうのはちょっとアホっぽいし、それにそちらの吸引口にもごみが溜まったりするので掃除が必要だったりするのもマヌケっぽい。もちろん、使えないほどひどい、ということはないし、ウチのようにフローリングばかりならばそもそもタービンを回さない、ということも可能 (というか本来はむしろそうするべき) です。ちなみに、ダイソンの本体に、ヘッドは「ミラクルジェット」を組み合わせるのが最強、という説も…。
ヘッドについて(2)その他ヘッド
僕が買ったのは Dyson のキャニスタータイプ DC12 plus の中でも下から2番目の「Allergy (アレルギー)」というモデルですが3、このモデルには標準の「クリーンエアタービン」ヘッドに加え、隙間ノズル、ブラシノズル、カーテン用ノズル、ふとんノズルがついてきます。このうち、オマケのふとんノズル以外の標準の3つはホースに取り付けておくことが出来、掃除中にさっと付け替えることが出来て、とても便利です。特にブラシノズルが超便利。棚の上や細かいところに溜まったホコリを掻き出して吸い込むのにとても役立ちます。これまで使っていたシャープの掃除機には標準ヘッドのほかには隙間ノズル (それも妙に使いにくい代物) しかついていなかったので、ここは大いに良くなった点だと感じています。
音について
ダイソン最大の欠点としてしばしば指摘される音。確かに超爆音です。それまで使っていたシャープのサイクロンもうるさい掃除機として知られている機種でしたが4、それを上回るうるささです。特に高音が響いて耳障りな感じ。ITmedia の記事では、「音もデザインしています」なんて営業の人はすましていましたが、この点はもっと改良されてしかるべきだと思うなぁ。サイクロンを作らなければいけない構造上、難しいのかもしれないけれど…。あ、あと「クリーンエアタービン」ヘッドが思いのほかうるさいです。タービンを回していると「ビーンゴー」という感じの高いノイズが出ます。
その他もろもろ
あゆみさんにも聞いてみたところ、ゴツさやヘッドの使い勝手はそれほど気にならなかった、クリアビンが本当に透明で、ごみが溜まっていく様が良く見えて楽しい、電源ケーブルの巻き戻りが弱い、排気が全く臭くないのはグー、といった感想をもらいました。そうそう、電源ケーブルはなんだか平たくて硬い安っちいケーブルなんですよね。あと、クリアビンからごみを捨てるときのコツがまだよく分からない。マニュアルに書いてあるように袋に下半分を入れてふたを開くと、確かにその瞬間ごみが広がってしまう事は防げるのですが、ふた自身がごみだらけなってしまって後で掃除するのが大変です。ふたを開く前にクリアビンの底をたたいてごみを落としておいた後、ふたが開くところを下に向けてそっとごみを落とす、というのが今のところベストの方法ですが、ごみが溜まりすぎると出てこなくなっちゃいます。ごみをためすぎないでこまめに捨てるのが吉なのかも。

なんだか長くなってしまいましたが、そんな感じ。そういや (上でも書いたけど) Amazon ではなぜか下から2番目のモデル、Allergy が一番安かったのでそれにしましたが、ダイソンはモデルによって色がことなり、DC12 plus allergy はグレーの本体にメタリックブルーのサイクロン部の組み合わせ5。個人的にはその綺麗なブルーがとても気に入っています。

2/19 少し追記&修正しました。

bird「放浪記」, 「贈る物語 Wonder すこしふしぎの驚きをあなたに」, PC での「メモ」の録り方, Dyson 来る

「放浪記」

放浪記 林芙美子著。昔誰かの本でこの本のことが書かれていて、それ以来いつか読んでみようと思っていました。文筆業を生業にしたいと頑張る著者の、東京での生活時に書かれた日記を編纂した本です。時期的には大正時代、なのかな?11部、2部、3部と分かれていますが、それらは時間的な前後関係にあるわけではなく、最初に出したよりぬき編が1部、2番目に「続放浪記」として出版されたやはりよりぬき編が2部、そして戦前は公序良俗に反するとして出版できなかった部分を主に戦後になってからまとめられた3部、という構成になっています。最初このような構成になっていることを知らず、また日記の日付もそれほど正確に記されているわけではないため、時間的にぽんぽんジャンプするその構成に戸惑ったりもしました。

日記を出版したものなので物語というわけではないし、特別珍しいエピソードが含まれているわけでもないのですが、大正期の日本人の生活、暮らしている人たちの考え方などが伝わってきて、なかなか興味深い本でした。全編、「びんぼーびんぼーああびんぼー」という感じのテイストなんですけどね(笑。日本、ってほんの100年くらい前はこういう国だったんだよなぁ、と思い出させてくれる本でした。

「贈る物語 Wonder すこしふしぎの驚きをあなたに」

贈る物語 Wonder すこしふしぎの驚きをあなたに 元は2002年のクリスマスに贈る本、としてまとめられた3つのアンソロジー (他に Mystery と Terror があったそうな) の中の一つだったらしく、それが去年の年末に文庫化されたようです。近所の本屋で年末平積みになっていたのでふと買ってみました。ちなみにこの「Wonder」は編者が瀬名秀明で、Mystery は綾辻行人、Terror は宮部みゆきだそう。

瀬名秀明の本はこれまでにも何冊か読んでいますが、そのたびに微妙な違和感があり、どうも僕的にはすっきり楽しめない系の作家さんでした。そんなわけで本屋でも「どうかなー」と思いつつ手に取ったわけですが、トリにアーサー・C・クラークの「太陽系最後の日 (明日にとどくに収録)」を持ってきている、というところで「買い」(笑。これ、僕もすごく好きな短編なんですよ。最初に読んだのは高校生のころだったかなぁ。

ただ、全編通して読んでみるとやっぱり微妙にすっきりしなくて、どうも僕はこの人とは相性が良くなさそうです。

このシリーズの特徴なのか、本の構成もちょっと変わっていて、いくつかに分かれた章それぞれにテーマが設けられ、そのテーマにふさわしいと編者が感じた短編が紹介されるわけですけれども、その短編に先立って、編者がその選んだ短編への思いを延々語るのですね。時には勢いあまって後で紹介している短編のネタばれを繰り広げてしまったりもしていて、本編に入る頃には編者の先入観ばりばり、という、あんまり小説の楽しみ方としては好ましくないんじゃないかなぁ、という読み方を強要される本でした。僕は途中からあんまり鬱陶しくなって、最初に本編たる短編集を読み、それから編者の紹介文を読む、という風にして読みました。そうやって読むと結果的にはその編者の紹介文のイメージがとても弱くなってしまって、ほとんどあってなきが如しものになってしまうのは、この本のテーマからは外れてしまうのかもしれませんが…(汗。

PC での「メモ」の録り方

これまで僕はずっと、仕事でも紙のノートにメモを録ってきたのですが、会社で新しいモバイル PC (VAIO type G です) を買ってもらったのを機に、PC でメモを録るようにしてみようか、と思いました。

PC でメモを録るとなると、どんなアプリケーションを使うのかが問題になります。メモ帳を始めとするテキストエディタ (emacs まで含む) で録る、という案から、「紙 copi」のような専用アプリを使ってみる案までいろいろ考えた結果、当面 MUA であるところの Thunderbird を使ってメモしてみることにしました。

「Thunderbird を使ってメモを録る」とは、具体的には次のようにします (わざわざ説明するまでもないけどね)。

  1. 「メール作成」でメモを録り始めます。
  2. 但しあて先欄は空欄のままとしておき、件名は「課会」「〜定例」といった感じで適当につけます。
  3. 一通りメモを録り終わったら、「保存」して閉じます。

Thunderbird の場合、メール作成画面から保存を行うと、「下書き」フォルダに日時情報とともに保管されます。

僕の環境の場合、Thunderbird を使うことによるメリットはいくつかあって、

  • 僕は Thunderbird を imap 環境で利用しているのですが (デスクトップ PC 側に imap サーバを立てて全てのメールはそこで管理するようにしている)、その場合上記「下書き」フォルダも imap サーバ上に実体は置かれるため、オンライン時にサーバとメールを sync しさえすれば自然とサーバ側へもコピーされます。メモのバックアップという意味でも情報の一元管理という意味でもこれは非常にグッド。「メールの同期」というそもそも必要な作業と同時に行えてしまう、というのも余計な手間が掛からずグーです。ちなみに Thunderbird は imap サーバ利用時でもオフラインで作業が出来るように設計されているので2、線がつながっていない会議室などでも何の問題もありません。
  • ノート PC 側には Google Desktop がインストールされているので、メールと同じくメモもそれによって全文検索が可能。そもそもメーラなので当たり前。
  • その他、細かい話ですが、1) そもそもメール相当なのでデフォルトで時系列で管理されており、メモとして分かりやすい、2) テキストの本文のほかに、必要な資料を添付できる、3) メモを加工してメールとして出すのも楽 (議事録とか)、4) 機密情報の場合 PGP で暗号化しておける (未検証)、5) そもそも普段メールの読み書きに使っているアプリケーションなので余計なツールを入れる手間がない・操作に慣れている等

などなど、いろいろ便利な部分が数多くあります。

Thunderbird の imap、しかもオフライン環境での下書きフォルダの挙動、というのはあんまりテストされていないからか、いろいろ怪しい動きをすることはありますけれども (例えばオフライン時に作成された文書をオンラインとなる前に削除したりするといろいろ変なことが起こります。削除したりなんだりする場合はオンライン時に行うのが無難)、とりあえず便利に使えています。

そんなわけで、最も利用率の高いアプリケーションが Thunderbird になりつつある昨今なのでありました…(笑。

Dyson 来る

Dyson サイクロンクリーナー アレルギー DC12plus 少し前から、「Dyson が欲しくてたまらない病」が発症していました(笑。我が家で使っているシャープの EC-BT2-A も国産サイクロンの中では比較的評判の良い方で、それほど悪い掃除機ではなかったのですが、やっぱりどうも排気がホコリっぽいのが気になっていました3。我が家にはハウスダストアレルギー持ちやら喘息持ちやらいろいろいるので、もう少し排気の綺麗な掃除機が欲しかった、というのが一番大きな理由です。単に排気が綺麗、ということならばもちろん、紙パック式の方がずっと優れた機種がありますが、何となくそれではつまらないので、やっぱり Dyson、ということに(笑。

まだ届いたばかりであまり使っていないのでちゃんとした感想がかけませんが、とりあえずゴツい、吸引力は弱い、しかしごみはちゃんと取れる、細かいごみの分離能力はさすが、というあたりが第一印象。もっと突っ込んだ感想はまた後日。

birdシューティングゲームの守り人

シューティングゲームの守り人

合計12本!+1一軒分 シューティングゲーム1の血を絶やさぬためならば私財を投げ出すこともいとわない真のシューティングゲームの守り人 mm 氏が、グラディウス V に続いて、PSP 用のコナミシューティングゲームコレクションをなんと4本もウチの子供達のために譲ってくれました。嘘みたいな本当の話。いつもどうもすみません。

ちなみに僕が好きなシューティングゲームは、R-TYPE シリーズ2、ゼビウスとその眷属3、グラディウスシリーズ4 といったところで、昔地元ではとても流行っていた ASO (SNK) とか、究極タイガー、達人に代表される東亜プランもの、その後の弾幕系とかキャラ系は全然プレイしてません。そういう意味では真のファンとはいえないかも。

ダーウィン 4078 とかガンフロンティア&メタルブラックのような、ちょっと一癖あるゲームが好きでした。そういうゲームって人気がないからすぐ撤去されちゃうんだよね…(笑。

birdカエル、ピンチ!

カエル、ピンチ!

世界各地でカエルを始めとする両生類に壊滅的な被害を与えてきた「ツボカビ症」が日本にも上陸してしまった、というニュース。僕はこのニュースを見るまで知りませんでしたが、場所によっては9割のカエルが死んでしまったところや2ヶ月で野生のカエルが絶滅してしまったところがあるなど、その被害はまさに「壊滅的」なようです。すでに海外では「両生類箱舟計画」なるものも始まっているとか。

これまでずっと我々とともに生きていたカエルさんが、もし生活の中から消えてしまったらとても悲しいです。カエル好きの鳥乃は本気で泣き出しそう。何とか被害が広まらないことを祈るのみです…。

bird「光ってみえるもの、あれは」, 「RANGEMAN (レンジマン)」

「光ってみえるもの、あれは」

光ってみえるもの、あれは 川上弘美著。16歳の江戸翠 (えどみどり) くんの悩める日常を描いた小説。いやー面白かった!

川上さんの本は何冊か読みましたが、この本ではその軽妙な語り口が特に印象的でした。軽い、といってもラノベのそれとは微妙に違う。宮部みゆきさんなんかもとても軽いですけど、彼女とも微妙に違う。無理やり一直線に並べてみると「ラノベ−宮部さん−川上さん」だと僕は思うけど、あ、もしかしてこれは単に直木賞、芥川賞とラノベとの距離感に対する僕の単なる思い込みなのかも(笑。その微妙な違いが何か、と問われても、僕にはよく分からないのですけれど (なんて書くとファンに石をぶつけられそうだな…)。読んでいてとても楽しくて、電車の中で何度もニヤニヤしていたので、さぞや不気味な光景だったに違いない。

この本や保坂さんの本などを読んでいると、特別なことのない日常の中からでも、するすると魅力的な文章を紡ぎ出すことが出来る人、というのが小説家と呼ばれる人たちなのだなぁ、と痛感します。もし、僕が彼らの小説に書かれている分の中身を集めようとしたら、それこそ何十年もかかってしまいそうです。すごいなぁ…。

「RANGEMAN (レンジマン)」

RANGEMAN (レンジマン) 1 最近お気に入りの漫画といえば、週刊少年サンデーで連載中のこれ、「RANGEMAN」です。モリタイシ著。恋愛体質の少年、大塚恋児 (おおつかれんじ) 君が、ひょんなことから地球を守るレンジマンになる、という話ですが、とはいえ地球を守るうんぬんという話はあくまでつけ合わせであって、恋児やその周りの友人達の巻き起こす騒動がメインテーマの、恋愛コメディ(?)、という感じ。

週刊誌でリアルタイムに読んでいるせい1もあってか2、楽しいッス(笑。

bird「アフターダーク」, 最近の読書

「アフターダーク」

アフターダーク 村上春樹著。文庫化されていたので買ってみました。東京のある一夜をいろいろな視点から物語ったお話。それなりに面白かったけれど…という感じの本でした(^^;。なんというか、「東京」とか「バンドでトロンボーン」とか「深夜のファミレスで読書」とか「ラブホ (しかもその名前がゴダールの映画からとられていたり)」とか「中国人組織」とか「ロボットみたいな IT 系会社員」とか「綺麗な姉とそうでもない妹との軋轢と邂逅」とか、出てくるモチーフがことごとく古臭く感じるのはなぜだろう?実はこれ、何かのパロディ小説なんではないかとか疑いたくなるくらいデシタ。

最近の読書

会計士の父が娘に贈る32+1の手紙 ここのところ読書感想文を書いていませんでしたが、その主な理由は、だいぶ前に買った英語の本 (サイモン・シンの「CODE BOOK」) が全然進まなかったのと(^^;、仕事が忙しかったこと、などでした。だんだん読書量が減っていることに我慢がならなくなってきたので、とりあえず CODE BOOK は棚上げにして、手ごろな文庫をまた読み漁りはじめました。

それ以外の本も全く読まなかったわけではなくて、例えば SAK 氏に借りた「会計士の父が娘に贈る32+1の手紙」は面白かった。父が娘に伝える、お金の哲学の本で、昔なら親から子へ自然と受け継がれていたような知識が、父から娘への手紙、というほほえましい体裁をとってつづられています。父の実体験に基づく「お金」に関する考え方が、とてもリアリティがあってよかった。「金持ち父さん貧乏父さん」的評価軸で言うならどっちかというと「貧乏父さん」よりの話だと思うけど、日本人一般の感覚としてはこちらの方が近いと思うんだよなぁ。

bird謹賀新年, 「ひとりっ子」

謹賀新年

(遅くなっちゃいましたが) あけましておめでとうございます。
去年は文字通りあっという間に過ぎてしまった一年でした (去年の初めには無事年末を迎えられるとはとても信じられなかったものだけれど…^^;)。今年はいったいどんな一年になるのでしょうか。ある意味去年より重要な一年だよね>だれとなく。
そうそう、最近、この「memo」のありようについて少しいろいろ考えています。きっかけは「死」について考え始めたこと。といってもそんな大げさなものではないのですが、今、このサーバは自宅に置いてあるおうちサーバでサービスしていて、いろいろ融通が利いて便利な反面、もしある日僕が突然死んじゃったら、たぶん誰もメンテナンス出来ずに、ある時ひっそりと電源を落とされる運命なんだろうな、と気が付いたんですよね。
僕は常々、一度 Web 上に上げたコンテンツは可能な限り消すべきでないと思っていて (そうでないと Hypertext としての本質が失われてしまう)、そう考えると、情報が一個人の生死に依存している状態、というのは好ましくないと思うわけです。
そんなこんなで、正月休みの間に少し、各種 Blog サービスについて調べていたりしました。もしかしたら近々どこかのサービスへ引っ越しするかもしれません。作者が死んでもコンテンツを維持してくれるサービス、なんてあんまりないのかもしれないけど…(笑。
それでは、今年もよろしくお願いします。

「ひとりっ子」

ひとりっ子 グレッグ・イーガンの日本オリジナル新作短編集です。「行動原理」「真心」「ルミナス」「決断者」「ふたりの距離」「オラクル」「ひとりっ子」の7編が収録されています。「ルミナス」は 90 年代 SF 傑作選(下)にも収録されてましたね。

「行動原理」はイーガンの出世作にあたる初期の作品で、「ひとりっ子」は最近の作品だそうなので、結構著者の幅広い年代の作品が収録されているらしい本作、個人的には表題作「ひとりっ子」とその姉妹編「オラクル」が面白かった。ネタばれせずに感想を書くのが非常に困難な2作ですが、一言で言うと相変わらず僕は出産というテーマに弱いなぁ、って感じかな(笑。

今回が再読となった「ルミナス」も、改めて面白いと思いました。イーガンの本って、普段 SF だけを読んでいても実はあんまり楽しめなくて、SF も読むけどポピュラーサイエンス本も読む、僕のような読者にぴったりなんじゃないかと思ったり。「ルミナス」に関して言えばゲーデルのアレについては多少なりとも知っていたほうがより楽しめるし、「オラクル」「ひとりっ子」についてはペンローズやチューリングに関する本を読んでいるとより楽しめると思う。他にもミンスキーやデネットあたりは読んでおくときっと吉。この辺は「読んでて当然」レベルといってもいいのかもしれないけれど…。

bird「うわー同意同意」と思った話。

「うわー同意同意」と思った話。

結局のところ,みんなが大好きな3次元ってやつを知覚的にみれば「動き」が本質である.

いつも思っているけど,「動く2D」=「3D」ということに気づいているCG屋さんとそうでない人の差は大きいと思っている.そして,このあたりに3次元デスクトップ(インタフェース)をやっている人にも同様の誤解があると思う.3次元デスクトップ,UIがうまくいかないのはこの誤解からだと思う.人間は3次元を知覚しているんじゃなくて,「2次元+動き」を知覚していると思ったほうがいい.

だって,今いる位置から,見える物体の裏側,見えないでしょ?

動かない限りそれが立体であるかどうかなんて知覚できない(ちなみに,人間の目は固視微動と言って常に動いている.特殊な目薬などで動きを止めると,見えなくなる)

だから,動くことと3次元というのは同じ意味で,3DCGのデザイナーがやるべきは,立体物のデザインというより動きのデザインをしなくちゃいけないことに気づかなきゃならない.フォルムが重要なんじゃなくて,シェイプが重要.だから立体物のデザインは動きに伴うシェイプを生み出すためにあるといってもいい.

僕が「ICO」「ワンダ」が好きで「モンスターハンター」にはどうも萌えないのもそれが原因だっ!<チゲー(笑。

birdガーベラ観察記 (1), SENNHEISER PXC300

ガーベラ観察記 (1)

芽が出た (2) 芽が出た (1) 年末恒例のすき焼きパーティでもらった缶入りガーベラを会社で育て始めました。缶を開け、お水を上げたのが確か 12/19 ごろでしたから、ほぼ一週間ほどで芽が出てきました。育ち盛りだからか、朝見た姿と帰りに見る姿がもう違う。植物も成長を直接確認できるんですね。

SENNHEISER PXC300

SENNHEISER PXC300 これまで、通勤用ヘッドフォン・イヤフォンとしては主に Sony のカナル型ノイズキャンセリングイヤフォン、MDR-NC11A を使っていたのですが、とうとう左のスピーカーが断線してしまったらしく、音が聞こえなくなってしまいました。

しょうがないのでしばらく家の中用に使っていた Sony MDR-Z700DJ1 を持ち出して使っていたんですが、このヘッドフォン、音は良いながら、デカイ、重い、外の音が良く聞こえるので電車が地下に入ると何も聞こえなくなる、と、ちょっと通勤用として使うにはイマイチだったのでした。

また、前回アメリカへ出張したときに、ふと思い立って NC11A を持っていったところ、飛行機の機内では NC ヘッドフォンは思いのほか快適であることを知りました。それまでも QC2 をかぶっているおじさんはよく見たんですが、まさに百聞は一見にしかず…じゃないか、百見は一聞にしかず(笑。あの「ゴー」という飛行機独特の騒音が低減されるだけで、ずいぶん過ごしやすくなるのですね。

そこで、今年たくさん働いた自分へのご褒美も兼ねて(笑、いそいそと新しいノイズキャンセリングヘッドフォン (以下 NC ヘッドフォン) を物色。NC ヘッドフォンといえば BOSE の QuietComfort2/3 がほとんど代名詞といってもいいような存在なわけですけれども、いかんせん高すぎます。ヘッドフォン一つに4万円もかけられません。どうせまた数年で壊れてしまうのでしょうし…。

NC ヘッドフォンは最近ひそかにブームになっているせいか、国産メーカーも Sony を始めとしていろいろ出しています。僕が持っていた NC11A の後継モデル、MDR-NC22 もナニゲに評判よいですし、パイオニアやビクター、マクセルなんかも発売しています。来年早々にはオーディオテクニカも BOSE QC2 とガチンコ勝負なモデルを発売するらしい。ただ、国産メーカーのモデルの中には僕が望むようなタイプはあまりないんですよね。QC2 路線の大きくて耳を覆ってしまうタイプか、いわゆる耳栓タイプ (カナル型) しかありません。

というわけでさらにその後もいろいろ調べていくと、ドイツ SENNHEISER2 やオーストリア AKG が、軽快なタイプの NC ヘッドフォンを出していることを知りました。SENNHEISER というメーカーは今回初めて知ったんですが、ヘッドフォンメーカーとしては結構定評のあるところらしく、各種レビューやブログ等でも評判が良いようです。また価格も Sony のカナル等と比較すると少し高いですが、QC2/3 と比べれば 1/3 程度と結構お手ごろ3。AKG4K28NC とは最後まで迷ったんですが、AKG は電車の中などでも結構見かけることや、SENNHEISER のちょっと野暮ったいデザインが天邪鬼な僕のツボにはまり(笑、というわけで、試聴もせずにポチッと買ってしまいました。

外箱の後ろ外箱 嬉しかったのでケータイで写真をパチパチ撮りました。まずは外箱。安いヘッドフォンにありがちなブリスターパッケージではなく、ちゃんと紙箱に入っていてちょっといい感じ。

内容物 ヘッドフォン本体のほかに、ハードケースと 6.3mm ステレオプラグアダプタ、飛行機用アダプタが付属しています。

ザウルス君とともに 僕が普段ミュージックプレイヤーとして使っているリナザウ君と並べるとこんな感じ。非常にコンパクトなヘッドフォン部分と、ザウルス君と匹敵するくらいドでかいノイズキャンセリングモジュールが印象的(笑。

ハードケースにしまったところ ハードケースにしまうとこんな感じ。これで海外出張も安心。

使い勝手については、とても満足のいくものでした。そもそも僕はカナル型特有の、頭蓋骨の振動をそのまま拾ってしまうところとか (機内食を食べるときはとてもつけたままではいられませんでした)、耳にしっかり入れないと音がやせてしまったり外部ノイズが侵入してきたりしてしまうところ5、などがどうも苦手でしたので、それだけでも大満足。ヘッドフォン部はわずか 65g しかないので、MDR-Z700DJ のようにつけているうちに重みで頭が痛くなってしまうこともありません。側圧も強すぎず、弱すぎず。デザインは正直野暮ったいと思いますが、とても軽いヘッドフォンとは言っても、ドイツ製らしくメタルとプラスチックを効果的に使い分けていて、実用的で質実剛健な作りです。

音質についても、まだエージング中ということを差し引いても、十分良いと思います。意外だったのは、その小さいドライバーからの想像以上に、高音も低音も一生懸命鳴らそうとしてくれるところ。結構繊細な感じなんですよね。とはいえ全体的な音の印象としては中音重視っぽい感じで6、聞きやすいです。今のところ気が付いた破綻としては、たぶん低音を一生懸命鳴らそうとしすぎて、例えば My Little Lover「Listen」7のように極低音の音が大きなレベルで入っている曲の場合、その低音に引っ張られ他の部分もヘロヘロしてしまうことがあること、くらいかな。これまでのヘッドフォン、イヤホンがどちらもソニー製だったのでたぶんそれぞれ傾向が似ていたせいか、音の印象がそれらと結構違うのも面白いです。

あ、肝心の NC 機能はというと、カナル型の NC11A と比べると、地下鉄内での遮音性はやはりカナル型の方が優秀です。NC 機能を持たないヘッドフォンに比べれば全然マシとはいえ、地下鉄乗車中、もっともうるさくなるようなシチュエーションでは少し音楽が聞きづらくなります。なお、このヘッドフォンの NC 機能は人の声付近の音はほぼそのまま通すようなセッティングになっているようで、NC on でも意外なほど人の声は聞こえます。あんまり人の声がはっきり聞こえるので、あれ、NC off だっけ、といったん外してみたりすると、低音・高音のノイズを確実に消してくれていた事を実感できます(笑。

というわけで、すっかり僕のお気に入りのヘッドフォンになりました。ここのところ通勤時毎日利用しています。

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