プラズマテレビ購入記
以前に何度か書いたことがありますが、我が家には僕の実家から拝借してきた Sony の最初期の WEGA、KV-29SF というテレビがあって、4:3 のフラットブラウン管ながら良い映りで、とても気に入っていました。何とかこのまま 2011 年のアナログ停波まで頑張るぞっ!と思っていたのですが…。
前から何度か、電源を入れようとしても何度かリレーのカチカチ音がするだけで、その後電源 LED が赤く点滅して映らなくなってしまうことがありました。でもそんな時も、あわてず騒がず電源ケーブルをコンセントから抜き、10時間以上ほったらかしておくと自然に治っていました。
ところが最近、その「電源が入らなくなってしまう」状態にしばしばなってしまうようになり、治すためにコンセントを抜いておくのも20時間以上放っておかないとダメだったりと、いよいよ調子が悪くなってきました。
我が家の場合、PSX で帯で録っている番組がそこそこ多く、長時間 TV でチェック→削除できないと、あっという間に PSX の HDD がいっぱいになってしまいます。困った!
ところで常々、今は TV の買いにくいタイミングだなぁ、と思っていました。最近の人気があるのはなんといっても液晶テレビですが、僕は液晶テレビのあの「残像」が苦手なんですよね。なぜか頭が痛くなってくるのです。ちょっと前からトレンドとなっている、その「残像」対策のいわゆる「倍速駆動」も、もともと存在しないコマを捏造しなければならない、という時点で、かなり無理のある、もっと言っちゃえばあまりスジの良いとはいえない技術であるように感じていました。実際、有効なシーンがかなり限定的だったり、補間が誤動作して変な画面になってしまったり、入力に対するディレイが増大したりと、良いことばかりではない、という話を聞きます。
対してプラズマテレビも、扱うメーカーがどんどん減ってきて、明らかに斜陽な雰囲気を感じていました。ましてやリアプロはプラズマ以上に選択肢がありませんし。
そんなわけで、きっと 2011 年頃には、もっと根本的に違う、ずっとマトモなテレビが出てきているに違いない、と、淡い期待を抱いていたのでした。
そんな風に思っていたところ、なんとも運悪く TV が壊れてしまった、ということで、半ば強制的に新しいテレビを検討せざるを得ない状況に陥ってしまい。でもまぁ調べ始めてみると、やっぱり「新しいテレビ〜」と楽しくなってくるのがテッキーの悲しい性というもの(笑。
新しいテレビを買うにあたっていろいろ検討してみました。まずサイズ。それまで 4:3 の 29 インチでしたから、ワイドならば 37 型以上くらいが良い、というのが、かなり昔からの定説だったように思います。最近では、例えば Panasonic のカタログなどには、29 インチからの移行ならば 42 型がお薦め!なんて書いてあったりします。というわけで、予算の都合もあって、37〜42 型くらいで検討を始めました。
このくらいのサイズは、ちょうど現在の売れ筋でもあり、またプラズマテレビの最小サイズでもあります。42 型くらいになると、液晶の方は結構ハイエンドに近い世界になっていて、どのメーカーも Full HD の気合の入ったモデルを用意しています。ただしその反面価格は上がって、軒並み 30 万前後です。
プラズマは 50 型前後以上のサイズが本来自然な技術で、今シーズンから Panasonic が 42 型で Full HD のプラズマを世界で始めて実用化した、というような状況です (パイオニア、日立も 50 型以上では Full HD モデルを持っています)。とはいえ自発光式のプラズマの場合 Full HD 化は必ずしもメリットばかりではなくて、画面輝度が下がってしまう、というデメリットもあります。そのため、各プラズマメーカは Full HD のモデルと Half HD 以下 (WXGA、つまり 1366x768 ドットや XGA 1024x768 ドット) のモデルを両方用意しています。Full HD のモデルはハイエンド設定で液晶同様 30 万前後なのですが、42 型以下の Half HD のモデルならば、20 万円前後で売られています。僕は会社で仕事中 Half HD のテレビをよく見ていますが、Half HD でも十分高精細感は感じますし、店頭で液晶、プラズマの Full HD モデルと見比べてみても、地デジや BS デジタルを見る分にはそれほどのメリットを感じない、あと (下にも書いてますが) 消費電力のこともあって、別に Half HD でもいいか〜と思っていました。
ところで、プラズマというとその昔、「焼きつき」が起こることがある、というのが評判でした。液晶の「残像」とプラズマの「焼きつき」は、いわゆる薄型テレビの欠点として広く知られていたと思います。
現在も Panasonic のカタログには小さく、「焼きつきが起こることがあります」という注意書きがありますが、最近のモデルでは、通常の使い方をしている限りほとんど気にする必要はないそう。相変わらず kakaku.com の掲示板では「焼きつき防止のための慣らし運転」の話題が喧しかったりするんですけど、現在のプラズマ各社の言うパネル寿命は輝度半減まで 60,000 時間とのことで、これは実は、ブラウン管の寿命よりも長いらしい (一般的なブラウン管の輝度半減期は 15,000 時間〜30,000 時間程度とのこと)。
もう一つ、プラズマの欠点として以前言われていたのが、その消費電力。液晶陣営は「液晶のほうが省エネ」と盛んにプロモーションしていましたね。
ただこの点もプラズマ陣営は改善してきていて、特に 42 型以上の大きいパネルの世界になってくると、もはや液晶とプラズマにカタログ表示上の差はほとんどありません。しかもプラズマの場合、自発光型のため全白以外のシーンでは消費電力が減ります。通常の映像を見ている限り、カタログに載っている消費電力の約7割、というのがプラズマの実質的な消費電力のようです。なお、Full HD のプラズマパネルの場合は話は別です。あれはスゲー電気食います。冷却ファンが4つもついてるし(笑。
…と、いろいろ検討した結果、「37〜42 型の Half HD のプラズマ」にしよう、と思い、ちょうどいいタイミングでヨドバシカメラの吉祥寺店がオープンしたりしていたので、オープニングセールにちょっと期待してくりだしてみました。
店頭で実際に見てみると、やっぱりパイオニアのプラズマはとても良かったんですが、いかんせん価格が高く (パナの Full HD モデルよりも高い)、かつ安売りしない、ということで、早々に断念。
日立のパネルも悪くなかったんですが、インターレース表示しか出来ない ALIS 方式と、画面がパンした時に盛大にマッハバンドが出ていたりしたことで却下。
というわけで消去法で Panasonic VIERA にすることにしました。ちょうど吉祥寺ヨドバシがオープニング記念特価として Full HD モデルの TH-42PZ700 を 298,000 円で売っており、228,000 円だった Half HD モデルの TH-42PX70 (ちなみに両者とも表示価格はもう少し上でした。店員確認価格(笑)です) との価格差は 70,000 円。最後まで迷ったんですが、最後の決め手は消費電力でした。TH-42PZ700 は TH-42PX70 の倍くらいの電力を消費し、かつ冷却ファンも4つもあって、ランニングコスト、自宅でのノイズが気になりました。結果的には、Full HD/Half HD の差に、その倍のランニングコストを払うだけの価値はない、と判断しました。
さて、買うモデルが決まったらあとは店員と価格交渉です。今回、テレビの買い替えに合わせて自宅の AV ラックも買い換えようと思っていました。そんなことを相談しながら交渉し、最終的には上記 228,000 円の 23% ポイントバック(!)、実質 175,560 円で購入しました。僕はあまり価格交渉のうまいほうではないのですが、それでも今回の価格にはそれなりに満足してます (家に帰ってきてから kakaku.com を見たら、そっちはもっと安かったけどね^^;)。決め手は、といってもあんまりよく分からんのですが(^^;、オープニングセールに期待してきた、と言っていたことと、新宿本店との価格差を確認したこと、かなぁ。ヨドバシカメラの新宿本店はビックカメラと熾烈な競争を繰り広げている激戦区として有名で、価格的にも非常にアグレッシブなのだそうです。
対応してくれた店員さんもとても親切で、その後ついたポイントで保険、AV ラック、各種ケーブル等を購入し、晴れてプラズマテレビユーザとなったのでした。
なお今回、経費節約のために組み立ては依頼せず、あゆみさんと二人で自分で行いました。42 型といっても薄型テレビの場合、重量は 50kg ほどですから、二人いれば余裕で設置できると思います。
さて、購入後の印象、画質について。なぜか最近のテレビは購入直後の画質モード設定が「ダイナミック」になっているので (電気屋での見栄えを気にしているから、だろうなぁ)、ちまちまと自分好みの画質に調整して、最近何とかいい感じになってきました。とはいえ、これまで使ってきた Sony のテレビと比べると、相変わらず色の出方が全然違って (特に人肌)、その点にはまだ違和感があります。ただそれも慣れの問題なのかな、と思っています。
色以外の画質でいえば、精細感は思ったよりも悪くないですね。上で書いたとおり我が家のモデルは Full HD でない、Half HD ですらない XGA モデルなわけですけれども、PS3 の設定を 1080p にして XMB、ブラウザ等を表示していても、文字がつぶれて読みにくい、ということがほとんどありません。ダウンスケーラがそこそこ優秀である、ってことなのかな。
プラズマの液晶に対する優位点の一つであるコントラスト、特に暗所コントラストは、確かに良いような「気がします」。PC 以外の液晶と比べたことがないので正直なところはよく分かりませんけれど…。暗い我が家の夜のリビングでも、黒浮き等は皆無と言っても良いと思います (当たり前)。
ちょっと気になるのは、画面の暗いほうじゃなくて明るい部分の、なだらかに階調が変化するシーンでざわつきを感じるところでしょうか。明度の高い部分での表現力は液晶の方が高いのかもしれません。
自宅ではデジタル放送初体験でしたが、その、ゴースト、歪み等の全くない画面はやっぱり綺麗ですね。今回新たに D 端子でつないだ PSX の画面も悪くはないんですが、やっぱりデジタル放送とアナログ放送では色の純度が全然違います。今までは生で見ようが PSX で見ようが画質的にほとんど変わらなかったんですが、今後は生で見たいと思う場面も出てきそうだなぁ。ところで、地デジってまだまだ 4:3 で放送されている部分も多くて、まだまだ導入初期の段階なのだなぁ、と感じました。
もう一つ、新しいテレビになって分かったのが、DVD の画質の差についてです。これまでのテレビで見ている分には DVD の画質はどれも綺麗で、特に差を感じることもありませんでした。ところが新しいテレビで PS3 (噂のアップスケーラ込み) で DVD を見てみると、元の DVD の画質の差が如実に分かるようになってしまいました。例えば、新海さんの「雲のむこう、約束の場所」はアホみたいに綺麗になったんですが、ジブリの「ハウルの動く城」や「千と千尋の神隠し」はそうでもなかったり。嬉しいような、悲しいような…。
音については、薄型になって虐げられていると評判のテレビのスピーカですから (しかもアンダースピーカーモデルだし)、言わずもがな、という感じです。ただ我が家の場合、テレビからデジタルで AV アンプに入力、そっちから出力することも出来ますから、音が気になるような番組ではそちらを使えばいいと思っています。
というわけで、我が家にとっては大きな、なかなか痛い臨時出費でしたが、結果的には (少なくともお父さんは) 大満足な買い物でした。
AV ラック
今回プラズマテレビの購入にあわせて、これまでの自作ラックで気になっていたホコリ対策を考えて、扉付きの AV ラックを購入、アンプや PSX、PS3 などを全てそちらへしまうことにしました。
ところが、いざ自宅のシステムを格納し利用し始めてみると、いろいろ誤算がありました。
まず、最近の薄型テレビ用ラックの場合、奥行きがあまり取られていないため、AV アンプを格納すると前の扉が開かないことが分かりました。しょうがないのでアンプを格納した側の扉は外したままで運用することにしました。そもそも放熱の心配も少しあったので、こちらはこれでよいかと思っています。
もう一つの誤算はその、放熱の問題でした。まず驚いたのが、CS チューナがビックリするくらい熱を発していたこと。これまであんまり気にした事がなかったのですが、ラックにしまった CS チューナが、電源が入っているわけでもないのに常に 40 度以上くらいに熱を持っていることが分かりました。こりゃ、そうでなくても熱い PS3/PSX と一緒に入れておくのは危険、ということで、これも扉の付いていない、風通しの良い棚へ移動させました。
次に問題になったのは PS3 です。そもそも今の PS3 は、場合によっては 300W 近くの電力を消費する、ということで、その発熱についてはいろいろ問題になっていました。今回、PS3 は放熱を考えて後ろ側に蓋のない棚に置いたのですが、それでも本体横から噴出された熱風がラック内に滞留し、あっという間にファンが全力回転を始める、という状況になってしまいました。
ちなみに PS3 のエアフローとしては、本体前面下の吸気口から空気を吸い込み、本体横、後ろの排気口から熱い空気が出てきます (本体横置きの場合)。AV ラックに入れてしまうと、後ろから排気される分はよいのですが、横から排気される分が前方の吸気口に回ってしまい、そのフィードバックによりラック内の温度が上昇してしまう、という感じでした。
ということは、本体横から排気される温風をうまくラックの後ろへ排出してあげられれば、前面から吸気される空気は常に新鮮な状態に保てそうです。幸いな事に PS3 には一般的な USB 端子があり、そこから主電源連動型(笑)の電源も取れそうです。
そこでまず最初に、最近量販店などでよく見かける、USB 電源式の小型ファンを一つ買ってきてみました (数百円くらいです)。PS3 の USB 端子に接続して本体横の空気をラック後ろへ排出するよう設置してみると、その効果は絶大でした。AV ラックの扉を閉めたまま、Folding@Home をぶん回していても PS3 本体ファンの回転数をノイズが気にならない程度まで押さえ込む事が出来ました。
ただ、その安い USB ファンにはちょっと問題がありました。まず、ファンそのもののノイズが結構大きかったこと。PS3 のファンが全力回転している時よりは静かなんですが、ちょっと質の違う、甲高いノイズがずっと響いてしまいます (いわゆる小型モーターのノイズっぽい感じ)。もう一つは、あんまり耐久性が高くなさそうな点です。極普通のモーターと適当な感じのファンですから、PS3 稼動時に常に回転している冷却ファンとしては、あまり向いているとは思えませんでした。
そこでちょっと方向性を変えて、昨今の消費電力の大きい PC 向けに一大市場を形成している、いわゆる静音ケースファンが使えないか、と思い、調べてみました。
ケースファンの電源を USB から取る、というのは、誰もが考えないわけではないがあまりポピュラーなユースケースではないらしく、数年前にいくつか関連商品が出ていたものの、今ではどれもディスコンになっているようでした。アメリカの Amazon ではナニゲに良い製品が買えそうだったんですけどね。
ただ、静音 PC 道の探求者のページなどを読んでいると、彼らの世界では「通常 12V 駆動としてデザインされている PC 用ケースファンを 5V 駆動させることで更なる静音化を目指す」というようなテクニックが極普通に用いられていることが分かりました。また、そうやって 5V で駆動してもきちんと動くケースファンの情報なども結構いろいろあるようでした。
以上のような情報をいろいろ検討した結果、1) 5V 駆動可能でそれなりに風量が確保でき静かなケースファンを選択し (ちなみに XINRUILIAN (X-FAN) の RDM8025S、長尾製作所モデルです)、2) 先が4つのピンになったケース用 USB ケーブルを購入、それらを組み合わせることでお手製 USB ファンを自作しました。
上記を PS3 の右手排気口前に設置、温風をラック後方へ排出するように設置すると、風量的には最初の USB ファンよりもかなり少なかったのですが、十分 PS3 のファン回転数を抑えることが出来ました。ファンノイズも全くしません。
というわけで、ようやくとりあえずの問題は全て片付けることができました。やれやれ。