bird僕とPHS, きょうのつぶやき

僕とPHS

現在日本国内唯一の PHS オペレータ、WILLCOM がいろいろと大変、という報道が始まってもうずいぶんたちます。どうも今月末が天王山っぽいですが、もしかすると近い将来消えてしまうかもしれないこの PHS というモノに関して今のうちに一言書いておきたくなりました。

僕はもう、10年以上 PHS を使い続けていますが、別に今も昔も、この技術の熱狂的なファン、というわけではありませんでした。10年以上前の携帯電話業界というと、ドコモの圧倒的寡占状態で料金は高止まり、しかも急増する利用者に対応するため「PDCハーフレート」という電波の帯域をケチった端末が出回り始め、そうでなくても悪かったケータイの音質はそれはもうひどいものになっていました。当時、僕は日本国内をあちこち出張して回るようなお仕事をしていたので会社支給のケータイを持ち歩いていましたが(確かドコモのPシリーズでした)、音質の悪さもさることながら、僕はそのディレイにどうにも耐えられませんでした。相手の声が 0.5 秒くらい遅れて聞こえるので、うまく会話のテンポが作れないのです。あの時期、相手の相づちすら聞かずにとりあえず自分の言いたいことを一気にしゃべり、その後ターンチェンジして今度は相手が一気にしゃべるという「ケータイしゃべり」が一瞬若者文化として取り上げられかかったりもしましたが、僕は全く順応できませんでした。

さて、少し話を戻して、僕らが高校生から大学生くらいだった時代(80年代末期〜90年代前半ですね)はまだケータイが今ほど老若男女に普及する以前の時代であり、学生はもっぱら「ポケベル」を使っていました。僕も今の妻とお互いポケベルを持ち合い、公衆電話から何度もメッセージを送り合った記憶があります。それはともかく、学生がケータイを持てなかった理由はただ一つ、その高い料金で、当時は月1万円以上かかるのが当たり前の時代だったように思います。そういう時代の中、1995 年に登場した PHS1 は、まずそのケータイと比較すると圧倒的に安い料金で順調に普及していきました。

しかし、順調なスタートを切ったかに見えた PHS も、ケータイ業界側の競争激化による料金低廉化の着実な進行や、PHS 側のエリアの狭さ、移動時通話の困難さ、また当初魅力だった価格の安さが前者の欠点などと合わさって「偽物・安物のケータイ2」的イメージを与えてしまったことなどから、(Wikipedia によると) 1997 年をピークに利用者数が減少し始めます。僕が PHS を買ったのは確かまさにその 1997 年、東芝の DATA Carrots という機種でしたから、今思えばピークの年だったのですね。

当時僕はすでに働いていましたし、仕事でもケータイを使っていて、買おうと思えばドコモ等のケータイを買えないわけではありませんでした。ではなぜ PHS を選んだのかというと、確か次のような理由だったと思います。

  1. まず何よりも音質!当時のドコモ等の、PDCハーフレート端末に比べ、PHS は圧倒的に音質、応答性に優れていました。自宅のコードレス電話機の子機を街へ持ち出したようなもの、なのですからある意味当たり前なんですが、当時の僕にはそれが何より魅力でした。
  2. 僕の場合 PHS の欠点が問題にならず、利点が魅力的だったこと。PHS の欠点とは上で書いたようにエリアの狭さや移動中の通話のしにくさですが、僕の生活圏は八王子の自宅から電車で都内の会社への往復がほとんどで、その区間は完全にエリア内です。また当時は車も持っていませんでしたから、移動中に通話する機会も全くありませんでした。逆に PHS ならではのメリットとして、当時ケータイは地下鉄では使えなかったんですが PHS は使えた、という事情もありました。さらに通話先のほとんどが家族だったので、固定電話への通話料金が安い点も魅力的でした。
  3. 低電磁波である点。こんなことを書くとエンジニアなのにオカルトな!とか言われそうですが、どうも僕はケータイの電磁波が今も昔も苦手です。たとえば、電車の中でヘッドフォンで音楽を聴いているとき、近くの人のケータイに着信すると、突然すごいノイズが乗ったりしませんか?またケータイである程度長い時間通話していると本気で頭が痛くなってきたりするのです(別に電磁波のせいではなく、上で書いたような音質の問題やらなにやらのせいかもしれません。いやきっとそうなのでしょう)。僕にとって、ケータイと比較すると PHS はずっと、身体的に「通話しやすい」電話でした。
  4. データ通信の魅力。当時のケータイはあまりデータ通信については考えられておらず、モデムとして利用するにも 9,600bps がせいぜいのところでした。そんな中、この 1997 年に発売された DATA Carrots は PIAFS に対応、32Kbps のモデムとして利用可能でした。1997 年というと Internet はまだ主にダイアルアップで利用している時代(テレホーダイとかありましたねぇ)でしたから、出先からの接続手段としてとても重宝したのを覚えています。

上記の他にはたとえば、当時の PDC ケータイはそんなわけで全く使いたくなかったんですが、その頃すでに 3G ケータイ(今の FOMA ですね)の話が聞こえ始めており、3G になったら乗り換えてもいいな、だったらそのときまでのつなぎとして…というような気持ちもありました。

そんなわけで手にした PHS。最初の DATA Carrots や H" な Hyper Carrots3、また一世を風靡した京ぽんこと AH-K3001V が非常に具合が良かったこともあって、以来ずっと PHS を使い続けています。3G がすっかり普及した今、当初考えていた 3G への移行もいつでも実行可能ではあるのですが、PHS は MNP 非対応であることもあって、移行するには至っていません。PHS に対して、たとえ 3G でもそこまでの魅力がない、ということもありますね。

最近の iPhone をはじめとするスマートフォンなどケータイ方面の進化ぶりを見ると、PHS のような、はっきり言って時代遅れなテクノロジーを使い続けていることに、エンジニアとしてちょっとした後ろめたさを感じることもあります4。正直今使っている Advanced W-ZERO3[es] の Windows Mobile 6 は最悪ですが(汗、とはいえまぁ全く使えないわけではないし、新しいケータイは誰か人に見せてもらえばいいし、ひょっとすると WILLCOM が奇跡的に苦境を脱して、さらに Android ケータイとか出ちゃったりするかも?!、などと淡い期待をしていたりして。

ここまで来たら、コスト面、サービス面などから利用することに全くメリットを見いだせなくなるか、完全に停波するまでおつきあいしてもいいかなぁ、と思う今日この頃です。WILLCOM の「もうひとつの未来」を信じて。

きょうのつぶやき

海街Diary(3)海街Diary(3)」読了。BANANA FISH以降の路線にはちょっと?を感じていたけれど、このお話は実に良いよね。 (11:20 webから)

そういう僕が一番好きなのは「河よりも長くゆるやかに」だったり。アレで結構女の子への夢を打ち砕かれたよなぁ(笑。 (11:21 webから)

そういやBuzzがウチにも来ました…第一印象で語るのは愚かな気もするが、早々に消えていきそうな予感。 (11:23 webから)

ついったの第一の価値って、「そこにみんなが集まってる」ってところなような。Gmailは確かに利用者多いけど、「みんなが集まってる」わけじゃない。接し方の濃さが違う。 (11:26 webから)

もちろん、「Short/Instant Messageの新しいインフラ」という側面もあるわけで、そういう面からはAlternativeが存在するのは良いことだと思うのだけれど、IMってメンバが常時onlineに近い状態じゃないとそもそも使い物にならないんだよね。 (11:29 webから)

既存IMサービスとついったの大きな違いは、一言で言えば昔よく言われたSecond Lifeとニコ動の違い、つまり「同時性制約の克服」にあるような。 (11:33 webから)

そもそも「つぶやき」は誰に向けたものでもない、だから明確な相手が存在するIMとは違う、という反論もあるかもしれないが、少なくとも僕は「つぶやく」とき、結構明確にいろいろな人の具体的な顔を思い浮かべてる。 (11:35 webから)

ちなみに、僕はWaveは結構おもしろいと思いました。いろいろいびつなところ(たとえばあそこまでリアルタイムなフィードバックは不要でしょう、とかw)はあるんだけど、確かに現在僕らが欲していて、現実にいろいろなツールを組み合わせて解いている問題を解ける可能性があると思った。 (11:40 webから)

「いろいろなツール」とはつまり、Mail、Chat、Wiki、Issue Tracker、などですね。こっちは別に参加者が多くなくても成立する話なので(クローズドな人たちの中で使われるツールとしても便利そう)、粛々と成熟させていって欲しいなぁ。 (11:43 webから)

一月ぶりにブログ更新:「僕とPHS」http://memo.digitune.org/?date=20100211 (15:14 webから)

いろいろうだうだ長く書きたい時はやっぱりブログしかないよね。 (15:16 webから)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm8233245 - もはや超有名ソングな気もしますが、俺的直球ど真ん中ソング。何故だかちょっと「オヤジ殺し」な感じもするんだが…謎。 (22:37 webから)

まだ外は雪じゃなくて雨のようです@八王子 (22:42 webから)


  1. 当初は NTT パーソナル、DDI ポケット(現WILLCOM)、アステルの3社が存在しました。 ↩︎

  2. 当時若年層で普及していた「ピッチ」という略称もそういったイメージを増幅していたように思います。 ↩︎

  3. なにげに東芝端末ファンでしたね。 ↩︎

  4. 仕事の知り合いの中には、あからさまに未だ PHS を使っていることを蔑む人もいますしね。 ↩︎