birdプリンタ, 科学哲学の本二冊

プリンタ

Canon PIXUS MP500 日本において、家庭用プリンタ市場、というのは完全に季節モノです。年賀状印刷、という最大の商機に向けて、Canon、EPSON という国内2大メーカーが毎年9月〜10月ごろに新製品を発表、そして年末までの数ヶ月の間骨肉の争いを繰り広げます。ちょっとクリスマス商戦が重要なゲーム機市場と似ていますね。

今年ももうすぐ年末商戦向け新製品が発表になるといわれていますが (噂では来週〜再来週くらいとか)、実はプリンタの買い時、というのはこの新製品が発表になる直前なのかもしれません。というのも、去年の年末モデルはすでに両社生産を完了し、市場に出回っているのは在庫品のみ、販売店側も新製品発表前に旧製品を整理するために、極めて高い値引率で販売しているからです。毎年両社細かな改良を加えてくるとはいえ、現在主流のインクジェットプリンタはすでにかなり完成した製品であり、1年古いくらいでは機能的にはそれほど見劣りしなくなってきているため、「どうしても最新でなければ嫌だ」という人以外は、今の時期に格安で販売されている去年のモデルを買うのが実は賢い買い方なのかも。

我が家はこれまで EPSON の PM-780C というプリンタを使ってきました。このプリンタが発売されたのが 2000 年末ということで、たぶんもう5年くらい使っていると思います1。その間、お約束通り年賀状作成やデジカメ写真プリント、最近ではカーナビ代わりの MapFan ルート検索の地図やマクドナルドのクーポン券、あゆみさんが幼稚園の PTA の書類印刷にと大活躍でした。
ただ、その使い勝手は必ずしも良いとはいえませんでした。クーポンのように画質を気にしない印刷ならば特に問題ないのですが、写真の年賀状のように綺麗に印刷したいとき、毎度ヘッドクリーニングを何十回と繰り返さないとヘッド詰まりが直らず、カラーインクもクリーニングのために半分以上浪費されてしまう、という状態でした。

そんなこんなで、次にプリンタを買うときは EPSON 以外にしよう、と思っていました。

おととい、ちょっと印刷したいものがあって、プリンタの電源を入れると、カラーインクが切れていました。ただこのプリンタの場合、カラーと黒のインクは別タンクになっていて、黒インクはまだたくさん残っていました。印刷しようとしているものも白黒で印刷できれば十分なものだったので、インク切れの警告を無視してそのまま印刷しようとしたのですが、どうやっても印刷できません。ああでもないこうでもないといろいろ試したんですが、結局印刷することは出来ませんでした。

前述のようにこのプリンタの使い勝手にはいろいろ不満を持っていたトコロに、上記のような理不尽な仕打ちを受けて、「さて、それじゃそろそろ次のプリンタを物色してみるか」と Web で調べてみてビックリ。今っていわゆるコピーやスキャナ機能までついた「複合機」でも、1万5千円くらいで買えちゃうのですね。つまりこれは上で書いたようにモデル末期の在庫整理状態だから、なんですが、去年の年末に2万5千円くらいで普通に売られていた機種が、今なら1万5千円なのですから、なんだか年末に新機種を買うのが馬鹿馬鹿しくなります。

というわけで、Web 上でも結構評判の良かった Canon の PIXUS MP500 を衝動買い。つまりこのエントリはこの衝動買いの自己正当化エントリだったのでした(笑。なお、MP500 の主なスペックは、

  • 9600x2400dpi、最小 1pl のプリントエンジン。インクは顔料ブラックと染料ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの5色ですが、シアンとマゼンタで 1pl ドットが利用できるためこれまで使っていた6色モデル (ブラック・シアン・マゼンタ・イエロー・ライトシアン・ライトマゼンタ) と同じような表現力、らしい。白黒で印刷することの多い我が家の場合、容量の大きな顔料ブラックインクがあるのも魅力的。光沢紙にデジカメ写真をプリントしてみた限りでは、これまでの EPSON の結果と同等以上の結果で一安心です。(ただ EPSON よりもデフォルトのガンマ値がちょっと高いらしい。) Canon のプリンタはいわゆる縞々ノイズが EPSON よりも出やすい、というのが欠点なようですが、今のところは皆無です。EPSON 機と違ってサーマルジェット方式の本機の場合ヘッダ部も比較的安価に交換できるので、もしどうしても直らないスジスジが出てきたら交換してみるつもり。
  • スキャナは 1200dpi の CIS スキャナでまぁ価格相応。でも使ってみた限り必要十分な感じ。コピー機能も超便利、っぽい。
  • 自動両面印刷対応。オートシートフィーダと前面用紙カセットの 2way 給紙だったり CD-R/DVD-R ラベルプリントに対応していたりと、そのあたりのギミックの充実度は相当なものです。昔は普及価格帯のプリンタではこの辺の機能が真っ先に落とされていたのだがなぁ。

他にも CF/SD/MS メモリカードリーダー内蔵でデジカメ写真を直接プリントできたり (カラー液晶搭載でプレビュー可能)、印字時間も前の機種から比べればとても高速だったり、動作音も静かだったりと、これで1万5千円なのですから、プリンタの低価格化もずいぶん進んだものだと感心してしまいました。

科学哲学の本二冊

川端裕人さんのブログで「基本文献」と書かれていたので、柄に似合わず科学哲学に関する本を二冊ほど読んでみました。

疑似科学と科学の哲学

疑似科学と科学の哲学 伊勢田哲治著。科学と疑似科学の間の線引き問題を考えながら、科学哲学における主な論点を紹介していく本。次に紹介する本もそうですが、「哲学」の本にしては読みやすいのは、作者が若いからでしょうか。科学のもっとも基本的な方法論である演繹と帰納の話から、一通りずーっと来てベイズ主義の話まで考えつつ、科学と疑似科学の間に明確な線は引けるのか、過去の先達達はどのように線を引こうとしてきたのか、を考えます。僕がこれまで読んだいろいろな本の中にも、はっきりそうとは書かれてはいなかったけれども、実はあれは科学哲学的な議論を展開していたのだなぁ、と思える部分がたくさん思い当たり、ちょっと面白かった。

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科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる

科学哲学の冒険―サイエンスの目的と方法をさぐる 戸田山和久著。こちらも哲学書にしては、科学哲学者の「センセイ」、理系学生の「リカ」、哲学を学ぶ文系学生の「テツオ」三人の対談形式で進む、とても読みやすい本。議論の裏側をさりげなく流れる季節感とか、ほんのりロマンス風味もあったり、そういう本論からはどうでも良いところに僕はとても魅力を感じたりして。

こちらの本の著者戸田山さんは科学哲学的立場で言うところの科学的実在論を大いに主張されているのですが、最終的な落ち着きどころ、実在論のもっとも困難なポイントと自身で書いている理論のメタ正当化に際して人間原理が出てきたのには少し驚きました。人間原理も悪くないのだけれど、どうも主客が転倒しているような気持ち悪さがあるのですよね。アインシュタイン以降、地球や今我々がいる宇宙は、宇宙の特異点ではなくなったのではなかったか。なんちて。

上でも書いたけれど、「科学哲学」という視点で改めて過去あった議論を知り、読み返したくなった本が何冊もありました。そういやソーカルの「『知』の欺瞞」も確か家にあったはず。最初に読んだときは「なんじゃこのヲタクは」くらいしか思わなかったけど<ヒデー(笑、今読み返したらいろいろ面白そうです。

コメント

SAK (Mon, 02 Oct 2006 23:34:18)
私は新型のCanon iP4300を狙っていたのだが、旧機種のiP4200が投げ売りされてるのを
見つけたので、立喰師列伝DVD(通常版)と一緒に買ってしまったぜ。
セットアップマニュアル、デカデカと「ここに触るなっ!」「ここを押すなっ!」と警告文だらけで、ドキドキだったぜ。
印刷は実に奇麗。1万ちょいのプリンタでも、えらく進歩してるもんだ。

  1. 実はこのプリンタは僕の両親にお祝いで買ってもらったものなのでした。 ↩︎