猟奇的な彼女, 宇宙の戦士
猟奇的な彼女
ちょっと前、友人に「絶対気に入ると思う」と言われていたので気になっていたこの映画を、先日 TV で放映されていたので録画して見ました。「韓国で、インターネットの掲示板に載ったエピソードを基に映画化されたというユニークな一作。」という成り立ちはつまり、「電車男」の先輩にあたる作品というわけですね<チゲー(笑。
「前半戦」の、ほとんどドリフのコントかよ?!というようなノリやオーバーアクト気味の俳優達、ちょっと古くて冗長な演出を見ているうちに一緒に見ていたあゆみさんは途中で寝てしまったんですが、僕は最後まで見ましたよ。ゆる〜い感じの劇中劇はちょっと勘弁、って感じだったけど…1。
話の流れとしては恋愛ストーリーの王道、って感じで、最後のオチも含めて楽しめました。ああいう可愛さ、ってあるよね、と思った2。「展開が予想できる」と言う人もいるけど、僕はあの伏線はちょうど忘れかかっているくらいのタイミングだったので、たぶん監督の狙い通りの意外感→納得感が得られた模様。ちょっと得した気分。
宇宙の戦士
ロバート・A・ハインラインさんの超有名な本。映画の影響で原題の「スターシップ・トゥルーパーズ」の方が有名なのかしら?
内容的にはよくある軍隊もの、ディシプリンものだと僕は思ったんですが、書かれた年代、翻訳された年代のせいか、訳者あとがきの方がヒートアップしてて笑った。この本をさして軍国主義的、ファッショ的と言いたくなる気持ちはわからなくもないけど、いまどきあれほど素朴で単純な未来にほとんどリアリティは感じないでしょう。親分子分とか徒弟制度の持つ魅力、なんてのはみんな十分承知してるし、仁侠モノのストーリーがずっと愛されているのを見れば分かること。でも、その規模を限度を越えて拡大していくと何が起こるのかについても、我々はよく知っているわけです。このお話は SF だから、ある種の単純化された未来を書いているだけでしょう。僕がそんな風に感じるのは「月は無慈悲な夜の女王」を先に読んだからかなぁ…。
それにしてもハインラインって、この本にしても「月は無慈悲な〜」にしても「夏への扉」にしても、すっごくエンターテイメントって感じがする (あ、「悪徳なんかこわくない」もそうだ)。「堅苦しいこと抜きにして楽しもうや」って気分。半世紀経ってもそのエンターテイメント性を失わない、ってのは実はすごいことのような気がする3。ここであげた本の中での僕の一番のお薦めはやっぱり「夏への扉」かな。
ところで、ディシプリンもの、昆虫のような敵、というと、最近では「エンダーのゲーム」なんかを思い出しますが、僕にとっては「エンダー」の方が面白かったです。クモどもと比して人類は何が違うのか?人類の持つ最大の利点とは?と言った、「宇宙の戦士」では一切触れられることのないテーマについて「エンダー」ではそれなりに解答が用意されています。「宇宙の戦士」がそういった内容を含まないのは、一介の下士官ごときがそんな戦争の本質にかかわる問題について考えることは許されない、って言う表現なのかもしれないけど…(笑。
そういや本編でもあとがきでも比較的無批判に受け入れられている (ように見える)、「暴力こそがもっとも多くの問題を解決してきた」という見方 (あるいは「力への信仰」) について、僕にはちょっとにわかには信じられませんね。大きな力を行使すると見た目も派手だから人々の記憶に残りやすいけど、だからといって「もっとも多くの問題を解決した」かどうかはわからない。僕の直観では単純な力の行使がそれほど有効だとはとても思えないっす。