bird「涼宮ハルヒ」シリーズ

「涼宮ハルヒ」シリーズ

涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの溜息 涼宮ハルヒの退屈 涼宮ハルヒの消失 谷川流1さんの本。とりあえず「憂鬱」「溜息」「退屈」「消失」を読みました。

いつも見ている風野先生のサイトで、「ライトノベル版グレッグ・イーガンとでもいいましょうか。」なんて紹介されているのを見て少し興味を持っていたところに、はたと SAK 文庫2にあったことを思い出して、借りて読んだのでした。

僕はイーガンというよりは新井素子の「…絶句」を思い出しました。「涼宮ハルヒ」もいわゆる「ライトノベル」で、昨今のオタク的キーワードがふんだんに散りばめられ (「萌え」「メイド服」「眼鏡属性」などなど…)、会話や文章のリズムもすっごく現代的 (SAK が生で話してるのを聞いているようだったよ) なんですが、そういうところも似ているなぁ、と。世代的な差異はもちろんあるわけですけれども。

V(ビビッド)K(キッズ)☆カンパニー」や「ここはグリーン・ウッド」なんかが大好きな僕としては (しかし「うる星やつら」は読んだことがない)、このお話も楽しく読めました。SF 好きの風野先生は「溜息」「退屈」あたりはいまいちだったようですが、この一連のシリーズは「SF」というよりもマンガ的ファンタジーって感じなんじゃないかなぁ。グリーンウッドの中にもこのくらいの SF 的な話はあったような気がする。

そういやちとネタばれかもしれんが、長門 (「退屈」の表紙の子) の存在を「エンダー」シリーズのジェインみたいだなぁと思った。作者にすごーく愛されてる、ってところもちょっと似てる、かも。

しかしこうやって書影が4つ並ぶとなかなか壮観ですね(^^;。

コメント

SAK (Mon, 01 Nov 2004 22:03:19)
「涼宮ハルヒの暴走」は、でじつね氏購入担当って事でよろ。
うさ (Tue, 02 Nov 2004 14:17:57)
ハルヒは「憂鬱」だけ読んだけれど・・・
なあ?
ひねりがないというか、ご都合主義多すぎというか、
適当に投げっぱなしDDTかましてみましたって感じだと思いました。
よ。
絵だけでオタクさまを欺けるかというとそうでもないのだ。
Digitune (Tue, 02 Nov 2004 14:50:40)
えーヤダ>SAK。だいたい5巻だけ持ってても寂しいじゃないか…。
Digitune (Tue, 02 Nov 2004 14:54:08)
マンガ的ファンタジーに緻密な論拠を求めても不毛なのではござらぬか>うさどん。それを言い出すと「うる星」や「らんま」はどーなっちゃうのよ…。

個人的にはあの話の勢いというかテキトーさ加減を表すのに素晴らしい表現だと思った>「適当に投げっぱなしDDTかましてみましたって感じ」。

漫画だとあんまりこういう荒唐無稽な話は好きじゃないんだけど (もっとほのぼのしてる方がいい)、小説だと結構楽しく読めちゃうんだよね。なんでだろ。
SAK (Tue, 02 Nov 2004 18:56:36)
>5巻だけ持ってても寂しいじゃないか
じゃ「憂鬱」「溜息」「退屈」「消失」の4巻は全部やる。返さなくていい。
Digitune (Tue, 02 Nov 2004 21:57:21)
えーいらない(笑。もともと買ってまで読みたかったわけじゃないからなぁ。
うさうさ (Tue, 02 Nov 2004 23:48:50)
>もともと買ってまで読みたかったわけじゃないからなぁ。
オホホ、本音がちらりと。
なんていうか、荒唐無稽っていうんならでかレンジャーとかはどうなん?って感じよ。
でかレンジャーは別になんともないじゃん。
なんていうか、ハルヒのは、作者が設定とかなんとかを考えるのを放棄しちゃったような
感じを受けるのね。
うるや★つらもらんまも好きじゃないけれど、いちお最低限のルールは1巻で説明
終わってたっしょ。水がかかると女になっちゃう体質とその理由とか。
ハルヒそゆのないんだもん。
1巻きりで打ち切られたら最低だぞーああいう展開は。
小説だと楽しめるってのは、いろいろ妄想^H^H補完して楽しんでおるのだろー。
それはそれでOKじゃないかと。
Digitune (Wed, 03 Nov 2004 00:32:14)
> 荒唐無稽っていうんならでかレンジャーとかはどうなん?って感じよ。

ぬなー!!デカレンジャーは超緻密で綿密で稠密っすよッ!<アホだ(笑。

> ハルヒのは、作者が設定とかなんとかを考えるのを放棄しちゃったような
> 感じを受けるのね。

そこここに散りばめられたマニアックな SF ネタとか見ると、まぁそれなりには考えていそうだけどね。
「憂鬱」で長門が読んでてキョンに貸してくれる分厚い本はダン・シモンズの「ハイペリオン」なんだが、「憂鬱」の未消化感なんかは、案外この話みたいな方向を目指してたんじゃないかと思うんだよね。「ハイペリオン」もコレだけ読むと何がなんだかさっぱりわからない話なんだが、しかしコレだけでもヒューゴー賞を取ったりしてる (その分、続編の「ハイペリオンの没落」を読むと異常なほどのカタルシスが得られる。もし未読ならぜひ読んでみるよろし)。SF には結構こういう、「なんでだかわかんないんだが取り合えず話は進む」というタイプのお話があるように思う。
しかしまーそういう SF だというにはちとアイディアが弱いんだよなぁ。結局凡庸なアイディアをキャラクターや語りの面白さでフォローしてるような感じで、どうしてもマンガチックファンタジー以上には思えないと。
うさうさ (Wed, 03 Nov 2004 10:02:55)
>マニアックな SF ネタとか見ると、
それこそなーんも考えてない証拠なりにょー。
頭にあった知識を持ってくるだけでも原稿用紙の升目はうまるからにゃー。

>だというにはちとアイディアが弱いんだよなぁ。結局凡庸なアイディアをキャラクターや語りの面白さでフォローしてるような感じで、
ほれ、結論出てるやん。個人的にはキャラだけおかしなの作っちゃったって感じで、
語りはまあ、水準以下ですかなー。要するに貸してくれた本に関する薀蓄だのなんだの
読者が知らんようなところで芸を出してもしゃーないですよ。
つまりそんなたいした小説でもねーと。そゆことで。

個人的にはイラスト担当のいのうのいぢがエロゲンガーにいっちゃったのが・・・。
もとからそうなのかもしれんけれど。
Digitune (Wed, 03 Nov 2004 10:41:54)
なかなか手厳しいですなぁ>うさどん。

しかし彼の語りの完成度はかなり高いですよ。処女作でここまで書けてしまうと (というか芸風が確定してしまっていると)、この先どうすんだろ…って心配になっちゃうくらい。そういう点もちょっと新井素子さんなんかを思い出させるんだよね。ここから先 (「ハルヒ」以降) は中身で勝負だからなー。

> 読者が知らんようなところで芸を出してもしゃーない

そんな御無体な(笑。SF ファンのひそやかな楽しみを(以下略

そういや関係ないけど、こないだ読んだクラークの「3001年終局への旅」にさりげなーくスーザン・キャルヴィン博士 (アイザック・アシモフのロボットシリーズに出てくるロボット心理学者) が出ててちょっと笑った。

話を戻して、しかしアマゾンレビューとかみてもかなり賛否両論あるようですナ。結構おもろい。

> エロゲンガー

ああいう絵を書く人が絵で稼ごうと思うとそちらにいくしかない…ってことかな?イラストは描けてもマンガが描けるとは思えんしなぁ。
Digitune (Wed, 03 Nov 2004 11:08:19)
アマゾンレビューより。面白いから引用。

僕は、

> 文章で見せる作品。
> 内容はいい意味で皆無。

とか、

> 第8回スニーカー大賞<大賞>受賞作である本作、いや作者の最大の魅力のひとつが「独特の語り口」だ。たとえば
>
> 「うららかな日差しに眠気を誘われ、船をこぎこぎ首をカクカクさせていた俺の襟首がわしづかみにされたかと思うと恐るべき勢いで引っ張られ、脱力の極みにいた俺の後頭部が机の角に猛然と激突、俺は目の前に刻の涙を見た。」
>
> といった文体に嫌悪感を覚えてしまうような人は、この作品を楽しめないかもしれない。

というような意見に激しく同意だな。特に上で引用されている文章は、僕は思わず電車の中で吹き出すほど笑えた箇所だったので。

「文章力がない」って書いてる人は、教科書的な文章に慣れすぎてるんじゃないかなーって思ったよ。保坂さんの小説とか読んだら卒倒しちゃいそう(^^;。

そういや過去の「マルドゥック・スクランブル」の時も思ったんだけど、うさどんはライトノベルには何げに評価が厳しかったりするんでしょーか?ラノベ嫌い?
うさうさ (Thu, 04 Nov 2004 20:50:18)
>俺は目の前に刻の涙を見た。
出た出た。これなんか読者がZガンダム見ていることを前提に受けをとろうと
してるせりふじゃん。いまどきZもねえだろと。というか、そんなオタクばっかり
相手にして書かれた作文読まされる身にもなってみろって感じでね。
嫌悪感というよりは、無意識に読者の知識を期待しているような書き方がだめなの
かもー。

>ラノベ嫌い?
でもないと思うけれど。昔はフォーチュンクエストとか読んでたし。
単に作風というか、考えて書いてるかそうでないか、深読みしすぎてる
だけかも。
Digitune (Thu, 04 Nov 2004 21:19:57)
小説家がいろんなところから引用するのはごく普通に行われてることだと思うがなぁ (押井守とか自分で「全部引用だ」とか言っちゃってるし…)。

引用元にセンスがない、ってことなのかな。そういう感覚ならばわかる気がする。作家の提示する「世界観」がどうにも気に入らない、ってことはあるね (僕の場合は渡辺淳一とか結構ダメかも…)。

  1. これで「ながる」と読むのだそうです。どうしてライトノベル系の作家さんって、読みのむつかしいペンネームを使うんでしょうか…。 ↩︎

  2. SAK のヤローは自分が買って読み終わった本を職場の俺のデスクの上にずんずん積んでいきやがるのだ。その本の山をここでは SAK 文庫と呼ぼう。 ↩︎