bird「第六大陸」, 「星の速さで駆けてく」, 最近のマンガ, そうそう

「第六大陸」

第六大陸〈1〉

第六大陸〈2〉

こないだの「SF が読みたい!」でも大人気で、何故か坂村健教授絶賛のこの本をまたしても SAK に借りて読みました。日本の民間企業が悪戦苦闘しつつ月に建物を建てるという話。小川一水著。

「出来るだけ現実的に」とか「ちょっと背伸びすれば今でも人類は月に行ける」なんて書いているわりに、僕にはその技術考証にそれほどリアリティがあるようには思えませんでした。だって計画のキーとなるパーツがことごとく SF なんだもん。トロフィーエンジンしかり、マルチブルしかり。単に有人宇宙機を打ち上げてから、一般人を乗せられるレベルに達するにも相当なギャップがあるんじゃないかと思いますが、そのへんもあっさり省略。小川さんは「現場主義」なんて言われていますが、この話に関しては、「人を動かす」という面での力学にあまりにも現実感がなかったように思うんですが、みんなそうは思わないのかしら?モノは力を加えれば簡単に動くけど、人を動かすのは大変ですよ。あんな風にみんなが一つの方向を向いて一気に動き出す、なんて状況は、10人くらいまでの小集団ならいざ知らず、超巨大工事を請け負う大手建設会社の動きざまとしては甚だリアリティに欠けると僕は思いました1

さて。あまり深いものを求めずに単純に SF として読むと、恋あり、努力あり、根性ありでとても面白いお話だと思います。恋愛成分はちょっと過多…かも。特にこないだの「マルドゥック」と比較すると。「マルドゥック」はすごく男の子っぽい話だと僕は思うんですが、こちらはどちらかと言えば女性的な話だと思いました。新井素子さんの初期のころの SF 話なんかとイメージが近いような。コバルトちっく、というか。妙ちゃんが月を目指した理由、なんてのは、ある種とても少女まんが的展開でしょー。

この話はかなーりサービス精神旺盛で、「そっちのテーマだけで一冊書けるよ!」というようなネタが最後に盛りこまれてたりするんですけど、これをここに盛り込むのは諸刃の剣のような気がしますね。テーマがぼやけちゃう危険性が。この辺は SAK 氏と同意見。

「星の速さで駆けてく」

星の速さで駆けてく

あゆみさんと、「谷川さんは長編より短篇の方が良いね」という意見で一致。どうしてこの人は長編になるとあードロドロな話になっちゃうんだろう…(笑。ちなみにこれは短編集。とてもよかった。

最近のマンガ

他に最近読んだのは、「BASTARD 23」とか「花よりも花の如く 2」とか「デーモン聖典 3」とか「ちさ×ポン 5」でしょうか。BASTARD はもー何が何やら。そういや「全体の90%以上を新作画」したという「完全版」の存在を知りびっくり。高河ゆんの「恋愛」みたいな感じなのかなー(笑。「花よりも〜」の後書きマンガを読んでいて猛烈な既視感ががが。ノリが「風光る」とおんなじでは。どちらも凝り性、ということなのでしょうか。「デーモン〜」は話としては面白いけど (逆行症候群で思い出すのはやっぱりシュライクでしょう)、全体に雑っぽい (絵もネームも) のが僕はいまいち。でもこの人の話はいつもこうかも。
「ちさ×ポン」はいかにもヤンジャンっぽいお約束エッチマンガなんですが、実は彼らのエッチのシチュエーションが妙にリアリティがあって好き。特に初期のころの普通の高校生がいろいろアホするあたりがとてもリアルでよかったんだが (ポンタくんまともだし。実は青年誌でまともな青年キャラ、というのは極めて貴重な気がする)、物語が展開していろいろ事件が起こるにしたがい、リアルな感じは薄まっているかも。

そうそう

「オレンジデイズ」でサエちゃんが留学してたのは「ジュリアード音楽院」ではなく「ジュリアーノなんとか」らしい。「愛してナイト」かよ!…って古いか(笑。

コメント

まいき〜 (Sun, 23 May 2004 01:54:29)
SFってあんまり深いものを求めてしまうと、話が成り立たないような気がする。ツッコミどころの無いSFは、それはそれで寂しいような… 「そりゃねーよ!」ってツッコミ入れるのも、SFの楽しさの一つだと思って見てます。そういう意味では初代ガンダムはツッコミどころ満載で楽しいっす。
話は変わるけど、ここに書き込む人ってバイク乗りが多いんですね。おいらはヘタクソだけど、バイク乗りの端くれとしては何となくうれしい。
Digitune (Sun, 23 May 2004 10:37:54)
> 「そりゃねーよ!」ってツッコミ入れるのも、SFの楽しさの一つだと思って見てます。

や、普通の SF ならば僕もそう読むんですが、この話に関しては「技術考証がうんぬん」というような前評判を聞いちゃっていたんで妙なものを期待してた…ってところが問題だったのですね。結果的に他の SF とそれほど差はなかった、というわけです。

「そりゃねーよ!」具合で言えば僕的にはイーガン「宇宙消失」をお薦め。こりゃとんでもないです(笑。

> ここに書き込む人ってバイク乗りが多いんですね。

そうですね。ちょっとびっくり。そういや MotoGP じゃロッシが前回も表彰台に乗れなくて僕はがっかりです…。
SAK (Sun, 23 May 2004 21:03:33)
「第六大陸」といえば、客先のお嬢様を紫の上計画でアレしちゃう話だっけ? ある意味エンジニアの夢だよな。

トロフィーエンジンはかなりの魔法だと思うが、あの時代、マルチブルは全然可能だろ。米陸軍主催のロボットカーレースとか見てると、現実もかなりの所まで来てるぜ。

大人数が一斉に動くプロジェクトだって可能だろ。ダムとか橋とかの建設関係者って、ものすごい人数だし、そのための仕切りと手配の技術もしっかり確立されてるわけだが。
今の、激レベルの低い現場に毒されすぎてないか?
うさ (Sun, 23 May 2004 22:56:10)
こっちじゃやってくんねー>MotoGP
差別だ!やり直しを要求する!
といえば、どこぞでロッシがコース途中でトイレに駆け込むトコが
動画になって流れてたな・・・。トイレってコース途中にあるんだ
ね。びっくり。
まいき〜 (Sun, 23 May 2004 23:09:07)
>や、普通の SF ならば僕もそう読むんですが、
なるほど、これは失礼しました。「宇宙消失」、面白そうですね。いま「星を継ぐもの」読んでるので、次に読んでみます。Digitune氏が「これは!」って思ったSF、他にあったら教えてくださいまし。
米軍主催のロボットカーレースは興味深かったっす。結局All Retireだったけど、現在でもあそこまでできるというのがすごいし、怖かった。
Digitune (Sun, 23 May 2004 23:45:07)
> 「第六大陸」といえば、客先のお嬢様を紫の上計画でアレしちゃう話だっけ?

チゲー(笑。あいかわらずのコメントだなぁ。

> あの時代、マルチブルは全然可能だろ。米陸軍主催のロボットカーレースとか見てると、現実もかなりの所まで来てるぜ。

何が嘘臭いって非常に適応的なソフトウェアを持つ、ということにされてる点。マルチファンクションであるとか自律的であるところなんかは確かに可能だと思うんだが、環境に対して適応的に振る舞う、ってのはまだ根本的なところで困難が残っているはず。君のよく言う「フレーム問題」もそう。大体こないだのカーレースだって、問題としてはマルチブルと比較すればずっと簡単なモノだったにもかかわらず1台も完走がない、って状況だったではないですか。マルチブルに「ある」とされている環境適応能力ってのはあのレースの機械の比じゃないっすよ。

> 大人数が一斉に動くプロジェクトだって可能だろ。ダムとか橋とかの建設関係者って、ものすごい人数だし、そのための仕切りと手配の技術もしっかり確立されてるわけだが。

現実に出来る、出来ないの話ではなくて、小説としての表現に人の力学的重みが感じられない、ってこと。小説ってのは書かれていることだけで出来事が起きたかのように感じさせなければいけないものだとすれば、あの小説に書かれている表現ではとてもあれだけの人が動いたとは思えない、っていうことだ。これもある種の「物語のバランス」についての話。
Digitune (Sun, 23 May 2004 23:47:38)
> こっちじゃやってくんねー>MotoGP

僕が見てるのは NHK-BS1 だよー。BS なら関西でもおんなじなんじゃないの?一戸建てに心おきなくパラボラ設置じゃー(笑。
Digitune (Mon, 24 May 2004 00:29:19)
> 「宇宙消失」、面白そうですね。いま「星を継ぐもの」読んでるので、次に読んでみます。Digitune氏が「これは!」って思ったSF、他にあったら教えてくださいまし。

「星を継ぐもの」は僕も最近読みましたがとても面白かった。
「これは!」と思った SF というと、最近シリーズで読んでいたのはまいきーも御存じのダン・シモンズ「ハイペリオン」シリーズとかオースン・スコット・カードの「エンダー」シリーズなんかですが、「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」は激面白いと思う。続編の「エンディミオン」シリーズよりはやっぱり前二作の方が僕は好きだなぁ。
カードは「エンダーのゲーム」も良いんですが、僕としては「死者の代弁者」や「ゼノサイド」の方が好きかも。バガー好きなんですよ。「窩巣女王」マンセー(笑。

// カードの「第七の封印」は萌え話なので SAK にお薦め(笑

そもそも、ダン・シモンズやカードはあんまり SF っぽくないかも。

最近流行のグレッグ・イーガンも実は結構読んでるんですけど、僕的には今のところどの話もあまりピンときていません。「宇宙消失」にしても「順列都市」にしても、発想は面白いんだけど途中から「おーい」という感じで…。アイディアを敷衍しすぎというか。抵抗なくついていければものすごく面白いんだと思う。「祈りの海」「しあわせの理由」などの短篇もそこそこ面白いですが、でもどちらかと言えば僕はチャン「あなたの人生の物語」の方が面白かった。
「あなたの…」は表題作が絶品。逆にそれ以外はそうでもない(笑。

ここにも以前書きましたが、グレッグ・ベア「ダーウィンの使者」は僕的には相当面白くて、その後ベアの本を探したんですがほとんど絶版でがっかりしたり。唯一「タンジェント」を読みましたがこれもかなり面白かった。表題作もそうだけど、「姉妹たち」とか。

ここまで読めばお分かりのように、僕はすごく評点が甘いんですよね(^^;。あんまり参考にならなくてすみません。
世・妹。 (Mon, 24 May 2004 12:58:27)
荒木さんの新刊(同時2巻発売!)読んだ?
ぐーです。ぐー。
まいき〜 (Tue, 25 May 2004 01:49:36)
おお、いろいろありがとうございますです。やっぱりハイペリオンは良いのですね。読むリストに追加しよう。何か読んではみたいけど、何読んでいいかわからんかったので、いろいろ読んでる人の意見は貴重。
昨日深夜にMOTOGPらしきものをやってたのだけれど、眠くて挫折。琢磨君は残念だったね。せっかくいいスタートだったのに。
オレンジデイズ (Fri, 01 Apr 2005 16:44:46)
まいきー意味わかんねー
何でMOTOGPに佐藤 琢磨がでてるの
頭おかしいんじゃねーのだいたい佐藤琢磨はF1だっツーの
Digitune (Fri, 01 Apr 2005 19:00:29)
いや、MOTOGP の話と琢磨くんの話は別の話題なんですよ>オレンジデイズさん
ここでは MOTOGP の話題以外にもよく F1 の話もするので、「レース」というカテゴリでその当時のホットトピックスが想起したのでしょう。いくら何でも琢磨くんがライダーだと思ってはいないはずです(^^;。

  1. 言葉がキツイのは会社でストレスを溜めてるせいだと思いねぇ(笑。 ↩︎