birdお花見, 「二重らせん」, 「偶然の祝福」, 「TRICK」, pgpool と LargeObject

お花見

昨日の天気予報では今日は曇りでしたが、朝からお日様が出ているのを見て子供達といっしょに近所の都立大1や公園へお花見に行きました。いつの間にか有葉も柊次も自転車にばっちり乗れるようになっていたので (結局僕はあんまり役に立ちませんでした…)、有葉と柊次は自分の自転車、あゆみさんは僕の Bianchi、僕は鳥乃をかごに乗せたママチャリで、家族そろってサイクリングです。ちょっと風が強くてほこりっぽかったけど、桜はどこもとても綺麗でした。

鳥乃のすべり台写真はおとといのものです。これも近所の公園で2

「二重らせん」

二重らせん DNA の構造を解明してノーベル賞を受賞した、J.D.ワトソン博士の書いたドキュメンタリーです。前書きでワトソン博士の師でもあったブラッグ卿が「この本は歴史的な事実というよりも、個人的な印象を示したもの」と書かれているように、いわゆるサイエンスライターが緻密な取材を元に書いたドキュメンタリーと比較するとかなり主観的な部分もあるように思いますが、それはそれとして読めば非常に面白い本でした。

ワトソンさんとクリックさん (作中では「フランシス」とファーストネームで呼ばれています) が DNA の問題に取り組んでいたのが非常に若い時期だったせいか、とてもエネルギッシュに、スピーディに毎日が過ぎていきます。研究の話と同じくらい女の子の話が出てくるのが面白かった。この本を読むと、研究者にとってのコミュニケーション能力の大事さ、というものをとても強く感じます。自ら立てた仮説をより詳しいと思われる人のところへすぐに持っていって叩いてもらう。時にはけちょんけちょんにされてしまうこともあるけれども (というかそういうことの方が圧倒的に多い)、そんなことは一切気にしていない。すごくクリアであこがれますね。

「偶然の祝福」

偶然の祝福 小川洋子さんの本。全7編からなる連作小説です。あとがきで川上弘美さんが「しかし、何かが違うのだ」と書いている「キリコさんの失敗」と、「涙腺水晶結石症」が良かった。前者は確かに小川さんの話としてはちょっと異質かもしれない。「キリコさん〜」を読んで僕は何となく池澤夏樹さんの「南の島のティオ」を思い出しました。後者の、雨のふる日にまだ歩くことの出来ない乳児を抱え、自分では持ち上げることも出来ない病気の犬を病院へ連れていかなければならない、という状況の絶望的な感じには結構共感してしまった。日常の中でふとこういう絶望的な状況に陥ることって、確かにそうそうあることではないけれども確実にあって、そういう時にこそ家族や友人のありがたさを感じたりするもので、僕がそのように感じていることが原因なのか、頼るもののない状況の不安感には息が苦しくなるようでした。あ、ちなみに「涙腺〜」はとてもハッピーエンドなお話です。ネタばれかな?

「TRICK」

TRICK ご存じ仲間由紀恵さんの出世作、TV 朝日のドラマ「TRICK」のノベライズ本です。かぴのすけがこないだ「けっこ面白かった」と言っていたので僕も読んでみました。

ドラマのノベライズ、って初めて読んだんですが、全くドラマと一緒なんですね〜。小説ならではの心理描写などもこの本に関してはほとんどなくて、原作ドラマの軽妙なノリを再現することを一番の目的としているように感じました。ドラマの「TRICK」については本放送時から結構熱心に見ていたこともあって、だいたいの筋やトリックは覚えていたのでそういう意味では目新しさはありませんでしたが、文章を見ているとドラマの場面が思い浮かんで、そういう「追体験」のためのツールとしてはなかなか良いかもしれない、と思いました。正直小説としてはそれほど面白いとは思わなかった、ってことなんですけどね(^^;。

pgpool と LargeObject

PostgreSQL 用のコネクションプール・レプリケーションサーバである「pgpool」では、普通の使い方では OID のレプリケーションが出来ない故に LargeObject も使うことが出来ないのですが、ちょっとした工夫によって LargeObject も使うことが出来るようになる、というお話。いつも本当にありがとうございます>石井さん他、pgsql-jp メーリングリストの皆さま。

bird「海辺のカフカ」, CANON EOS Kiss デジタル N

「海辺のカフカ」

海辺のカフカ(上) 海辺のカフカ(下) ご存じ村上春樹さんの本。15歳の少年、「田村カフカ」くんの家出ストーリーです。これまで読んだ村上さんの本の中では、(ノンフィクションの「アンダーグラウンド」は除くとすると) 一番面白かったかも。

主人公の田村少年は、まぁとても15歳とは思えないくらい老成した人で、「そんな15歳いるかーっ!」とツッコミを入れたくなる箇所多数だったりもするんですが1、この物語の中のもう一つの流れ、ナカタさんのパートがとても良かった。カーネル・サンダースさんが最高!(笑。

猫の残酷描写が出てくるので猫好きな人は要注意。保坂さんとかが読んだら本気で怒り出しそうな話だな、これ…。

CANON EOS Kiss デジタル N

Canon EOS KISS デジタル N ブラック ボディ これまで E-300 が欲しい、欲しい言ってきた僕ですが、レンズのラインナップとか何だとかかんだとかいろいろ調べはじめてみると、結局新しいキスデジに惹かれまくり(笑。

こうやっていろいろ悩んでいる時が一番楽しいんですよね…。

bird「特捜戦隊デカレンジャーvsアバレンジャー」, 「特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション」, え、マジレンジャーはどうかって?

「特捜戦隊デカレンジャーvsアバレンジャー」

特捜戦隊デカレンジャーVSアバレンジャー なんと戦隊モノとしては第11作目にあたるらしい東映 V シネマの、DVD オリジナルなデカンレジャーのエピソードです。タイトルにもあるとおり、「街中で怪しい三人組がアバレている」との通報を受け、現場に向かったデカレンジャー達の見たものは…というストーリー。

久しぶりに見たアバレンジャーの面々も非常に懐かしくて1、もちろんデカレンジャーのそれぞれもいつもの通りで、とても楽しめました。TV 本編や映画と比べるとやっぱりいろいろとユルいところがあったりもするんですが、アバレンジャーファン、デカレンジャーファンならば見ていてとても楽しくなれる作品だと思います。まぁ思いっきり女性陣のコスプレとかも出てきたりして、そういうちょっと内輪受けっぽいところというか、マニアックなところが鼻につく人はいるかも。そもそも「デカレンジャーvsアバレンジャー」ということで同窓会的ノリは外せないわけだし、僕はこれはこれでばっちり正解だと思いますけどね。

映画の DVD にも入っていなかったメイキングシーンが結構しっかり入っているのもお得です。最近 CM などでも結構見かけるようになってきているアバレンジャー樹らんる役のいとうあいこさんが結構たくさん出ているので、そちらのファンの方にもお薦めかも<ってなんだそれ。エンディングでのカレーパーティーはアバレンジャーの伝統なんだなぁ2

「特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション」

特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション ご存じ映画版のデカレンジャーです。劇場にも見に行ったのですが懲りずに DVD も買ってしまいました。映画はやっぱり画質が良いですね。普段見慣れたデカベースの風景もみんなの格好もなんだかくっきりはっきりしていて目が覚めるような印象でした。

特典映像に含まれていた制作発表や舞台挨拶などの様子が、みな初々しくて良かった。しかし何であんなにみんな緊張してたんだろ…?ホージーこと林剛史さんが、戦隊ものに出たくて出たくて、アバレキラーのオーディションの最終選考まで行って落ちて、だけどデカブルーに出られてとてもうれしかった、というお話は知りませんでした。インタビューや挨拶などのシーンでは、意外なことに (?) ホージーが結構盛り上げ役になっていました。

しかし映画、オリジナル DVD ともどちらもとても面白かったけど、やっぱり TV シリーズ本編が一番面白いなぁ。というか TV シリーズあっての映画、DVD というか。当たり前か…。去年1年はほんとに幸せだったのだな。

え、マジレンジャーはどうかって?

ふつうに面白いです。少なくとも子どもたちのウケはとても良いです。マンドラぼうやかわいいし。最近のヒットは、エンディングで麗ちゃんが一人みんなとズレまくっていることを発見したこと3。ターンのところじゃ、一人だけ回りきれずにおとと、という感じになっている(笑。オープニングでも微妙に表情堅いし、役の設定上麗ちゃん自身がそういうキャラでもあるけど、きっとご本人もそういう人なんだろうなぁ、と思いました。
去年は個人的には仮面ライダー剣より断然デカレンジャー、という感じだったけど、今年は仮面ライダー響鬼がとても楽しみになっています。ただ、子どもたちにはちょっと難しいかなぁ。

bird素敵な車(2), 鳥乃の絵

素敵な車(2)

4月7日に発表になるらしい、HONDA の「AIRWAVE」。詳しい情報はまだ発表されていませんが、以前書いた Opel の Astra GTC と同じようにフロントガラスが前席から後席まで延びているタイプの車のようです。実に素敵。前から上にかけてシームレスな視界が確保されてる、というと、何となく飛行機のキャノピーを連想しますね。やっぱり僕は車内の明るい車が好きなのだなぁ。

鳥乃の絵

夕方、鳥乃がテーブルに向かって熱心に何かやっていると思ったら、こんな絵をプレゼントしてくれました。今日お母さんと一緒に行ったお出かけでのワンシーンらしい。左側がお母さんで、右側が鳥乃だそうで、鳥乃は花柄の服を着て、アイスクリームを持っています。鳥乃の服には肩のところにボタンが付いていたりして、何げにすごく芸が細かい。手の指も5本あるし。

あゆみさんに聞くところによると有葉や柊次が4歳の時にはここまでしっかりした絵は描いていなかったらしい1。やっぱりお兄ちゃんお姉ちゃんがいると違うのかな。

bird桜のつぼみがふくらんで, JSF の罠, 「オーケストラの職人たち」

桜のつぼみがふくらんで

近所の都立大 (もうすぐ首大) の前の桜の木の (「の」の連続・笑) つぼみがふくらんできました1。もう春ですね。三月も終わりなのだから当然か。小学校の時の校長先生が、「二月逃げてく、三月さっさと行く」という話をしてくれたことがあったのですが、本当だなぁと思います。「三月さっさと行く」はちょっと微妙な感じもしますが…(笑・親父ギャグ?)。

今年は柊次も小学生。早いものです。

JSF の罠

Sun の JSF Reference Implementation 1.1_01 を利用して JSF アプリケーションを作っていると、ときどきなぜかAction Method が呼ばれないという現象に遭遇することがありました。JSP 側コードも Managed Bean 側にも特に問題がないのになぜか Action Method がコールされない。catalina.out などのログにも何のメッセージも表示されません。
何でだろう…と思っていろいろ調べてみたところ、原因はどうも Managed Bean のプロパティと JSP 側の型の不一致であることが多いようでした。つまり、例えば Managed Bean のプロパティが int 型であるのに、JSP 側で何の converter も指定せずに h:inputText タグなどを利用している場合、どうも setter の実行に失敗していることが原因で Action Method が呼ばれないみたい。
あ、今思ったけど、もしかしてこれって単に validation error の一種なのかな?該当 field の message を見れば一発で分かったりして?明日確認してみよう。

「オーケストラの職人たち」

オーケストラの職人たち オーケストラを支える「裏方」の方々に関するお話をまとめたエッセイ集です。指揮者の岩城宏之さんの本。「裏方」として登場するのは事務の人、楽器運搬屋さん、写譜屋さん、お医者さん、調律師さん、チラシ配りさんなどです。ピアノの運搬が専門家の仕事、というのはまさにその通りだと思ったんですが、実はハープも非常に運搬が難しい楽器だ、というお話にちょっとびっくりして冷や汗をかいてしまいました。というのも、以前僕が所属していた合唱団の演奏会へハーピストの方が参加してくれたことがあり、その時は僕や他の団員で彼女の家へ伺い、普通のバンに毛布でくるんだハープをえいやと乗せ、えっさかほいさと運んでしまったのですね。実はとても乱暴なことをしていたのだなぁ。

ほかは写譜屋さんのお仕事、調律師さんのお仕事の話がなかなか面白かった。岩城さんって実はよく知らなかったんですけれども (指揮者として大変有名な方というのはもちろん知っていますが)、もう結構なお年なはずなのに、非常にフットワークの良い、元気な方なのですね2。楽器運搬の仕事を知りたいと思い立つと、すぐアルバイトとしていっしょに働きにいってしまう。もちろん実際にはプロの作業をじゃましないよう、あくまでも取材者としての立場で参加されることになるのですけれども、それでも思い立ったらすぐ動いてみる、という行動力はスゴイです。文章の印象からもなんだかとても大らかな雰囲気が伝わってきて3、ゆるめなエッセイとして、なかなか面白かったです。

bird「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」, 「おおきく振りかぶって」, 更新間隔が空いてしまったのは…

「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 ハリー・ポッターシリーズの5作目です。言わずと知れた J.K.ローリング著。いつものように妹に借りて読んでいます。僕が通勤電車の中で読むペースよりも、有葉が読むペースの方が早くて、僕がまだ下巻を読んでいる最中に彼女はもう上巻を読み終わって、「まだ〜」とせっつかれていたので、休みの夜に一気に読んでしまいました。

前作「炎のゴブレット」で大きく動き出した物語が、じっくりとエネルギーをためるかのような巻。全編を通して緊張感がすごくて、それは思春期を迎えたハリーの「鋭さ」も一因ではあるのですが、「例のあの人」の動向、魔法省の動向が絡み合い、先の読めない不安感を醸し出しています。前作の感想でハーマイオニーの SPEW の扱いをさして、「伏線を徹底的に拾うローリングらしくない」と書いたんですが、そのあたりも今作でしっかりフォローされていて、1巻や2巻の頃のようにほとんど全ての伏線を巻の中で拾いきるスタイルではなく、「ハリー・ポッター」という物語全体を通していろいろな要素が有機的に繋がってきている感じがします。1巻や2巻の頃もちゃんと読んで見るといろいろ伏線てんこ盛りだったりするんですけどね (1巻の一番最初でハグリッドが乗っているオートバイを貸したのはシリウス、というのも有葉に指摘されるまで全然気が付きませんでした)。6巻、そして最後の7巻が今からとても楽しみです。

それにしても、ハリーは 15 歳の少年としては女の子の気持ちが分からなすぎなんじゃなかろーか。ハーマイオニーにもっといろいろ教わるべし(笑。

「おおきく振りかぶって」

おおきく振りかぶって(1) おおきく振りかぶって(2) おおきく振りかぶって(3) アフタヌーンで連載しているらしい、ひぐちアサさんの純粋野球漫画。前作の「ヤサシイワタシ」や「家族のそれから」と比べると、野球漫画、という部分でひぐちさん独特の私小説風の「痛さ」はだいぶん中和されていて、しかし単なる野球漫画にもスペック勝負の魔球漫画にもならずに非常にエモーショナルな作品となっているのは、ひぐちさんの長所が存分に出ている、ということなのでしょうね。僕らぐらいの年代の人は高校野球を見ると胸が熱くなったりするそうですけれども(笑、まさにそういう、高校生らしい「痛み」や「喜び」といったことがとても魅力的な、超面白い漫画です。お勧め。

あゆみさんもとても気に入っていて、彼女曰く、「ちょっと『しゃに Go!』に感じが近いかも」とのこと。田島くんがちょっとイデっちに似てると思ったそうな。田島カッチョイー!(笑。また、僕らはひぐちさんの作品を刊行順に読んだのですが、その順序で読んで正解だったかも、とも言っていました。この本を最初に読んでから「ヤサシイ〜」や「家族の〜」を読んでいたら、さすがにちょっと辛かったかもしれない。

更新間隔が空いてしまったのは…

久しぶりに仕事が忙しくて、休日も何かと予定が立て込んでいてなかなか更新する時間が取れなかったのでした。
仕事では JSF などを使ってみていますが、なかなか面白いですね。何となく後ろに EJB がいる環境でのフロントエンドとして利用するととても便利に使えそうな予感。
三連休は、花粉がひどかったこと、あゆみさんがお出かけだったこともあって僕は家に閉じこもっていたのですが、おかげさまでやっとドラクエ8をコンプリート出来ました。裏ダンジョンもクリアして、いわゆる「真のエンディング」も拝めました。しかしあの裏ダンジョン&エンディングは別に本当のエンディングとして最初から用意されていても全然問題ないと思ったんですが、どうして一度バッド・エンド (と言ってしまおう) を迎えないといけないようにしたんですかね。別に裏面がなくたっていいと思うんですけれども…。
そういや F1 マレーシア GP、琢磨は高熱で欠場だしエンジンは2周で2機ともブローしちゃうしホンダ的にはさんざんでしたねぇ。逆にトヨタは初表彰台 (それも2位) でイケイケな感じ。うちの子供達にはトヨタのトゥルーリが大人気で、「つるさん、つるさん」とみんなで応援しています。レース後お祈りする姿が新鮮でした。

birdMicrosoft、Groove を買収, 「第四間氷期」

Microsoft、Groove を買収

結構びっくり。Groove といえば Lotus Notes を作ったレイ・オジーの会社で、P2P 型のグループウェアをメインにしていたところ。つまり、これで MS はプロダクトレベルの P2P 技術を手に入れたことになります。
GDC でも Xbox 向け P2P 型のネットワークサービスについて語っていたようだし、MS が推進する P2P な世界の今後に興味津々です。

「第四間氷期」

第四間氷期 安部公房さんの SF 小説。解説では「実験小説」と書かれているけど…。大量のデータを元にあらゆることの論理的帰結を導き出すことの出来る「予言機」が発明されたことから巻き起こる様々な騒動を描いた作品です。

単に「予言機があったらどうするか?」というレベルの話ではなく、あとがきで作者自身が書かれている通り「未来と現在の関わり」に関する強いテーマ性がある点が、単なる SF 小説ではなく「実験小説」と言われている理由なのかなぁ。お話的にはサスペンスタッチの SF で、どことなくこないだ読んだハックスリーなどを思わせるような雰囲気です。このお話も 1950 年代に書かれたものですが、ハックスリーにしてもこの本にしてもヴォネガットにしても、未来社会が極めて論理的であると想像している点が、今の僕から見るととても面白い。まだその時代には「複雑系」や「カオス」といった概念は知られていなかったのだなぁと思いました。

そういう意味じゃテクノロジー予測、という面からこの小説を見るのは正しくない、というかあまり面白い読み方とは言えなくて、やっぱり上でも書いた「未来と現在の関わり/関係性」の部分を読むべきなのでしょう。ある意味衝撃的な問いかけなのですが、不思議と納得出来る感じ。結構面白かった。

そうそう、現代の小説と安部公房さんの小説を比べると、比喩の使い方やその感覚が微妙に違っていてなんだか新鮮でした。「砂の女」を読んだ時はそれほど感じなかったのにな。

bird「ドーキンス vs グールド」

「ドーキンス vs グールド」

ドーキンス vs. グールド利己的な遺伝子」で有名な生物行動学者のリチャード・ドーキンス博士と、「ワンダフル・ライフ」の古生物学者スティーブン・ジェイ・グールド博士の、生物の進化を巡る論戦についての秀逸な要約です。キム・ステルレルニーさんの本。

この本を手に取ってみた、とはいえ、実は僕は「利己的な〜」も「ワンダフル〜」も読んだことがなかったのでした(汗。なかなか挑戦的な書名が付けられていますが、内容はとても冷静、公平で、両氏それぞれの論点、対立点がよく分かる本だと思います1。逆に「対立」に関連するドラマティックな逸話のたぐいを期待されていると、ちょっと頭が痛くなってしまうかもしれない。

この本を読んで僕が2人に対して感じたのは、ドーキンスはとても理論家らしく、すでに判明している証拠などを元に最も可能性の高そうなシナリオを理知的に組み立てとても説得力のある議論をしていること、またグールドは化石の語る真実をとても真摯に受け止めようとしている、ということです。何となく、アインシュタイン物理学が登場する前、ニュートン物理学を使って現実をうまく説明している人と、それと食い違う観測結果を見つけてしまって苦悩する人のようなイメージを抱きました。ただ物理学と違って、進化に関する話は検証が非常に難しいらしくて、今のところどちらの説が正しいのか確かめるすべがない、というのはとてももったいない話です。

しかしあとがきにも書いてあった通り、この本を読むとお二方の諸作が非常に読みたくなる…。いまさらだけど今度読んでみよう。

birdドラクエ8、終了, F1 開幕

ドラクエ8、終了

ここ最近の我が家の週末時間をかなり食っていたドラクエ8が昨日やっと終了。といってもエンディングを迎えた、というだけで、主人公の出生の秘密などはさらにこの後ダンジョン等をクリアしなくちゃいけないらしい。つ、つらい…。
さて、とりあえず簡単な感想などを。今作から完全 3D 化されたドラクエですが、特に戦闘シーンではその新フィーチャーの魅力がとてもよく出ていたと思います。新しい敵に会うと、この敵はどんな動きを見せてくれるのだろう…ととてもわくわくします。主人公を始めとするキャラクターについても、ポリゴンモデルとしての違和感が全くなく、鳥山明の描くキャラクターがそのまま動作しているようにも感じられるところはとても素晴らしかった。
ただマップ移動や街中での移動時も完全 3D 化されている点については、賛否両論ありそうな感じ。確かに遠くが見晴らせたり素晴らしい景観が楽しめたりと良い点もたくさんあったんですが、視野が狭いことによるもどかしさ、またどうしても避けられない 3D 酔いの問題などについては今後もさらなる研究が必要なのではないかと思わせました。
ストーリーについては、僕が最後にプレイした V (ファイブ) までのものと比較するとちょっと小粒な印象。ストーリーの長さや劇中起きるイベント自体は全然小粒なわけじゃないのに、全体を通してみると小粒に感じるのは何でだろう?エンディングもとてもあっさりしていて、もう少しかつて知り合った人たちの生活へ踏み込んだ描写を見せてくれるとよかったのに、と思いました。ひょっとして、隠しダンジョンをクリアするとまたさらなるエンディングがあったりするのだろうか?
トロデ王やゼシカ、ヤンガスといった登場キャラクターはどれもとても魅力的でしたね。子どもたちにも大人気。

F1 開幕

先週末のオーストラリア GP を皮切りに今年も F1 が始まりました。なんと今年は 19 戦もあるのだそうです。見ている方は楽しいけど、参加しているチームの方々は大変そうだなぁ。
今年は2レースで1つのエンジンを使わなくちゃいけなかったり、予選から決勝まで1セットのタイヤで走らなくてはいけなかったりと結構レギュレーション上の変更点がたくさんありました (例年通りのダウンフォース削減案もたくさん)。これによってコース上でのバトルが増えることが期待されていたんですが、昨日のオーストラリア GP を見る限りにおいては、残念ながらもくろみは外れてしまったようですね。コース上で激しくバトルしていたのは前半のヴィルヌーブとアロンソくらいで、後はいつものように淡々と周回をこなし、ピット作業の合間にパスする、というここのところおなじみの F1 スタイルでした。
オーストラリア GP は1回目の予選が雨がらみでゴタゴタしたりしてなかなか面白いレースで、結果はルノー、ジャン・カルロ・フィジケラのポール・トゥ・ウィン。速い速いと言われつつ、なかなかこれまで良いマシンに恵まれず結果が伴わなかったフィジケラが完全勝利です。おめでとう!

bird雪だー, 「シュガータイム」, 「STAYラブリー 少年」, 「プレイヤー・ピアノ」

雪だー

いったいここはどこなんだ?というような景色ですね…。

「シュガータイム」

シュガータイム 大学4年生の主人公かおるの失恋ストーリー…と書くと全然イメージが違うなぁ(笑。小川洋子さんの本です。

主人公が原因不明の止まらない食欲に最初悩んでいたり (でも途中からすっかり日常化してしまったりする・笑)、下垂体性小人症の弟が出てきたり、主人公の彼氏は不能だったり (しかし彼の場合積極的不能なのだろう) と、小川さんの作品はどこか特別な人がいつも出てきますね。前に読んだ「博士の愛した数式」でもそうでした。病院に勤めていたという経歴も関係があるのだろうし、解説で林真理子さんが書いているように「彼女はフリークス好きなのだ」ということなのかもしれない。とはいえ同情的だったり差別的だったりするわけではなく、彼らの存在をごく自然に感じられるところは小川さんの魅力と言えるかもしれない。

この話はマリ・クレール誌に連載されていたそうで、そのせいかラストシーンではまるでとってつけたように「このすばらしい青春の日々は二度とこないのだっ!」みたいな展開があるのですが、林真理子さんも書かれているように僕もこれはよけいな気がするなぁ(笑。あえて作中の人物にあのようなせりふを言わせなくても、気まずくなった彼氏と暑い街中を歩きながらマイナーな美術館にふらりと入ったりする描写や、彼の疑惑の女の家を友人と二人で探し歩くシーンなんかで十分青春感は堪能できました。というか俺的リアリティありすぎるんですけど、これ(笑。

「STAYラブリー 少年」

STAYラブリー 少年(1) 西炯子さんの STAY シリーズの新刊です。今回は続き物なんですね。相変わらず佐藤くんいい味出してます。山王さんもかわいい。

この漫画を読んでて思ったんですが、この漫画の主人公の佐藤くんのような、「アホだしむかつくし鼻持ちならないけどどこか愛すべきキャラクター」って、小説ではあんまり見かけたことがないような気がする。小説の方がキャラクターと読者の距離が近いせいか、そういうキャラクターが例えば成長するような物語でも、もっとイタい描写になってしまうことが多いような。漫画や映画のように、ちょっと離れたところから眺めるような視点、彼のイタさが肌に刺さらず、どちらかというと人間としてのおかしみの方が感じられるくらいの距離を作りづらいのかなぁ。

それにしても、西さんはアホな少年を書かせると非常に秀逸ですな(笑。

「プレイヤー・ピアノ」

プレイヤー・ピアノ 大きな活字で復刊されたものが平積みになっていたので買ってみました。カート・ヴォネガット・ジュニア著。

実はこの本を読み終わったのは上に書いた2冊よりも前なんですが、うーん、なんというか、あんまり面白くなかった。内容的にはついこのあいだ読んだハックスリーの「すばらしい新世界」のような行き過ぎたテクノロジーによる反ユートピア小説で、そういった体制をひっくり返すべく革命をもくろむ組織が出てきたりとちょっと「月は無慈悲な夜の女王」風なところもあったりするんですが、煮え切らずに終わっちゃうお話。そもそも主人公がすごく日和見主義者で、いや、実は確たる信念があるのかもしれないんだけど、どうにもふにゃふにゃしているように見えちゃう。しかも奥さんと全然意思疎通出来てないのが丸わかりなのにずっと「分かり合えてる」と思いこんでたり。そういう、主人公のなんだか一つ抜けてるようなところが物語の伏線なんだと思ってずっと読んでたんですが、結局最後まで何の関連もなく、ほんとにただの「抜けてる人」で終わってしまった。この本を読むなら「すばらしい〜」と「月は〜」を読むことをお勧めしまする。

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