birdDNS に逆引きが設定されていないホストへの SSH が遅い

DNS に逆引きが設定されていないホストへの SSH が遅い

会社の Ubuntu マシンで、DNS に逆引きが設定されていないホストへの SSH が妙に遅く、なんでだろ?と思っていました。2ch まとめサイトなどでは、IPv6 を disable にしてみては、というような情報がありましたが当方では効果なし。
今日、ちょっと本腰を入れて packet dump なぞを取ってみたところ1、どうもこの Ubuntu マシンが接続前に必死に逆引きを解決しようとして、DNS サーバに聞きに行くだけでなく、mDNS (ポート5353) というプロトコルでも解決を試みている感じ。mDNS ってなんじゃらほい、と思ってググッてみたところ、Multicast DNS のことなんですね。
社内ではそんなもの使わないので、/etc/nsswitch.conf の hosts 行の末尾にあった mdns4 という記述を削除してみると、遅かったホストにもさくさく SSH できるようになりました。
よかったよかった。

bird出張映画評

出張映画評

最近はエコノミーでも機内ストリーミングによる映画が楽しめ、退屈しません1。そんなわけでここのところ出張のたびに、自分では映画館に見に行くことは絶対にないであろう映画を何本か見ていたりします。映画館には見に行かないけど、飛行機の中で見るとなかなか楽しめる作品も多いんですよね。今回も往復で5本見たので、その感想をば。(見た順に書きます。)

ホリディ

キャメロン・ディアス、ジュード・ロウ、ケイト・ウィンスレット、ジャック・ブラック出演のラブ・コメディ。お互い失恋したてで孤独なクリスマス (=「ホリディ」シーズン) を過ごすべく、「ホーム・エクスチェンジ」という驚愕のシステムによってお互いの家を交換した女性二人が、それぞれ未知の土地で素敵な出会いをする、という話。まぁなんというか、ろくでなし男は出てくるけど、全般的には全編これ予定調和、期待通りのラッキーの連続、シュガー・コーティッド・ストーリー、という感じではありますが、ほのぼのほんわかしたい向きには良く出来たラブストーリーなのではないかしら。ケイトがちょっと冴えないイギリス娘を演じているのですが、それが超ハマッてた。あれが地なのかなぁ。ジャック・ブラックは、紹介文での絶賛ほど存在感があったとは思わないけど、なかなかいい味出してる。キャメロン姉さんは相変わらず (<それだけかよ・笑)、それにしてもジュード・ロウは色男だ。「リプリー」や「A.I.」でもすごく印象的だったけど、この映画でも超かっこよかった。ちょっとズルい役(笑。

それでもボクはやってない

PS3 向け HD トレイラーを配っている P-TV で、この映画のスペシャルコンテンツを沢山配信していて、ちょっと前にそれらを見、周防監督って面白い人だなーと思っていたところだったので、2番目はこれを。

いやー恐いですね。誰かが、「現代の日本で痴漢に間違えられそうになった時、とるべき行動は脱兎のごとく逃げ出す事」と書いていましたが、まさにそんな気持ちにさせる映画でした。

143分と実は長い映画なんですけど、見ている間それを全く感じさせないのはさすが。面白おかしい演出も中にはありますが、全体に抑えたトーンで、どちらかに肩入れしすぎることも、感情的になりすぎることなく、現代日本の司法、警察の現場を見つめています。しかし、僕ならいくら一日1万円以上もらえるといっても、あの拘留期間中の扱いには耐えられないかもしれないなぁ。しかも公判が始まって証拠提出が終わるまで保釈不可能だなんて。

タイトルからしてオチのネタばれになってたりしますが、そういう後味の映画であることを含めても、興味深い映画でした。万人向けではないかもしれないけどね。

ここまでが行きの飛行機で見た映画。これ以降が帰りの飛行機で見た映画です。

ロッキー・ザ・ファイナル

60 歳になったロッキーがなぜか2世界チャンピオンとエキシビジョンマッチをすることになり…というその顛末を描いた作品。

いちおーこの作品は「1」にささげるオマージュ、ということになってるみたいで、1で出てきたいろんなものがそのまま、あるいは形を変えて沢山出てきます。熱烈なロッキーファンには結構楽しめるのかも。俺はイマイチだったなぁ。100 分ちょっと、と短めで、ストーリーもどんでん返しはなくストレートなものだからこそ何とか見れた、って感じ。あ、でも、ロッキーが息子を叱り飛ばすジジイの説教シーンはなかなか良かったかも(笑。

この映画で何がひどかったって、僕は日本語吹替版で見たのですが3、その日本人声優のクオリティがとんでもなく低かった事が一番ひどかった。誰の声が、というのでなく、全般的にひどかった。上で書いた「ホリディ」もそういう意味では結構ひどかったんですが、飛行機の映画の吹替え、って、何かイイカゲンに作られていたりするのでしょうかね…?4

しかし、国内では「ザ・ファイナル」なんて名前ですが、英語の原題は単に「ROCKY BALBOA」なんですよね。これが“ファイナル”とは限らない予感…((((;゜Д゜)))))ガクガクブルブル。

デジャブ

デンゼル・ワシントンがまたしても切れモノ捜査官役で出演してて、またかよ、とちょっと言いたくなりましたが、この映画はいわゆるサイコミステリーもの、テロものではなく、実はコテコテの SF なのです。ジャンル的にはタイムパラドックスもの。

ヒッジョウにオーソドックスなタイムパラドックスもののメインストーリー5に、自動車爆弾によるフェリー爆破テロ事件を絡め、しかもハリケーン「カトリーナ」被災直後のニューオーリンズでのロケを敢行して6、全体をちょっと思わせぶりな演出と派手なアクションでまとめた、それなりに楽しめるアクション映画でした。

タイムパラドックスもののお手本どおりに、そのストーリーは基本的に各所にちりばめられた伏線を回収することで成り立っています。あゆみさんのようにそういう「伏線回収型」のストーリーが好きな方には結構お薦めかも。ただそういう意味で言えば、犯人の家でワニに食べられてた人の手は誰のものだったのかが最後までわからなかったとか、回収されない伏線があると非常に気になってしまう。

ラストのオチも全体の整合性を重視するあまりハッピーなんだかアンハッピーなんだか分からないオチになってたりするんですが、ま、いいんじゃないでしょうか。ちなみにこれは字幕で見ました。

主人公は僕だった

原題「Stranger Than Fiction」。今回見た映画の中では、僕はこれがもっとも面白かった。あらすじは公式サイトを参照していただくとして、いや、正直お話としてそれほど面白いと思ったわけでもないのだけれど、あちらこちらにツボがあったのです。

まず、ヒロインのアナ・パスカルが良かった。それも実は、日本語吹替えの声優さんが良かった<ヲイ(笑。飛行機の映画では吹替えさんの名前は表示されないので (ナニゲにヒドいよね)、帰ってからいろいろ調べてみたんですが、今のところまだ誰だか分からず。ちゃんとした大人の女性の声ながら、なんだか妙に甘い感じの、素敵な声なのです。うーん誰なんだ。総じてこの映画は、上の3本と比べると吹替えの声優さんがとってもマトモでした。ナイス。

次に、音楽が良かった。スタッフロールの時にかかっていた The free design というグループの「LOVE YOU」という曲が特に気に入って、帰ってくるなり Amazon でベスト盤をポチッとしちゃいました。主人公ハロルドが途中で歌う歌も素敵でした。

何となく DVD が出たら買っちゃいそうな勢い。それで日本語吹替えの声優さんが変わっちゃってたらショックだなー。

おまけ「BIG RIVER

オダギリジョー主演の「ロードムービー」だそうな。お尻の 10 分を見られなかったのだけど、たぶんそれほど大きな変化はないだろうな、という感じの映画。スタイリッシュ、と呼ばせたいのかもしれないけれど、どーもよく分かりませんでした。日本人とアメリカ人とパキスタン人である必然性もないし。クールな感じで描きたいように見えるのに、ストーリーが妙にウェットだったりするし。オダギリファン以外には見る必要ナシな映画、かも。

birdsarge から etch へ(2)

sarge から etch へ(2)

etch へ移行してから mrtg のグラフがうまく更新できていないようだったのでちょっと調べてみたところ、どうも /etc/hosts.allow の評価が微妙に変わっていた様子。
これまで localhost 等からの接続を許可するのに「ALL: LOCAL」のような書き方で OK だったのが、今のバージョンではどうも明示的に「ALL: 127.0.0.1」とか書く必要があるみたい。hosts_access(5) を見ると LOCAL でも OK なように見えるんですけどね…。謎。

birdsarge から etch へ, アンプ, flOw, コンデジ画質、デジイチ画質

sarge から etch へ

先ほど、この Web サーバが動いている Debian マシンを sarge から etch へアップグレードさせました。ここに書かれた手順通りで特に問題なく移行完了。あ、一点 /etc/lilo.conf に initrd 関連の記述を追記したりはしました (今までは IEEE1394 関連ドライバ目的で自前カーネルを使ったりしていたので…)。
実はこの間、アップグレードの準備としてすでに使っていないパッケージをごっそり削除したんですが、アップグレードしたらまた Disk 利用率が削除前くらいに戻ってしまいました。どうもアップグレードに伴っていろいろまたいらないパッケージが入ってしまっている模様。後で掃除しないとなー。
今のところ大きな不具合なく移行でき、とりあえずほっとしています。

アンプ

昔ねおんさんにいただいた AV アンプが半年くらい前にいよいよ壊れてしまい1、とりあえずその場しのぎに若い頃一人暮らししていたときに使っていた ONKYO のミニミニアンプ (A-911M) を引っ張り出して使っています。
しかし、今改めて聞いてみると、このアンプひどい音(^^;。新しいアンプを買うべきか、今までのアンプを修理すべきか…2

flOw

昨日から、PLAYSTATION(R)Store で日本でもようやく売り始められた「flOw」を買ってみました。840 円ナリ。
分量的には半日で全て終わってしまうくらいの量ですし (一日一種、くらいのつもりでプレイするとちょうど良いかも)、基本的にやる事と言えば「食べて進む」だけ、という実にシンプルな内容でしたが、素敵なゲームでした。特にスタッフロール前後の流れがとてもおしゃれ。

コンデジ画質、デジイチ画質

CANON EOS Kiss DNRICOH Caplio R6 僕が普段使っているデジタル一眼レフの EOS Kiss DN と、新しいコンパクトデジカメ RICOH Caplio R6 で、たまたま同じような位置から同じようなものを撮った写真があったので両方載せてみます (ちょっと暗いほうが KissDN、明るく見える方が R6 です)。なお KissDN には Sigma の 18-200mm F3.5-6.3 DC をつけていました。

時間帯が若干違うこともありますし、R6 の方は以前書いたとおりちょっと露出がオーバー気味ではありますが、これらの写真を見るといわゆる「コンデジ画質」と「デジイチ画質」の違いのようなものが分かるように思います。

画素数的には 800万 (KissDN) と 700万 (R6) ですから今やほとんど違いはありませんが、たぶん撮像素子の大きさの違いから来る画素の均質性 (ノイズの少なさ) については、やはり相当の差がありますね。デジイチのクリーンな画面を見慣れてしまうと、コンデジの「暴れる画素を画像処理 (ノイズリダクションやシャープネス) で何とか押さえ込んでいる画面」がやはりどうしても苦しそうに見えてしまいます。

とはいえ、デジイチにはあの、「(昨今のコンデジに比べれば) 巨大なボディ」というとても大きな代償があるわけで、しかもピクセル等倍で見ない限りその差が気になる事もまれ、となると、フツーに使う分にはコンデジで十分、という結論になるのでしょうね。特に R6 は、それまで使っていた FX1 以下のサイズでマクロもこなす 28-200mm レンズまで搭載しちゃってるわけで…。大したものです。

birdRicoh Caplio R6

Ricoh Caplio R6

RICOH デジタルカメラ Caplio (キャプリオ) R6 レッド これまで、主にあゆみさん用&一眼を持ち出すまでもないようなイベントで使っていたコンパクトデジカメ (以下、コンデジ) の LUMIX が先日書いたとおりあんまり調子が良くなく、そもそも電池が寿命っぽい (膨らんできた&持ちが極端に悪くなってきた) こともあって、新しいコンデジとして今度はリコーのこれを買ってみました。GW のイベントに一日連れ出し何となくこのカメラの性格が分かってきたので、ここらで簡単なインプレをば。

広角端作例 第一印象は、とにかくレスポンスのいいカメラだということ。撮影後のプレビュー設定に「0.5 秒」なるものがあるカメラ、初めて見ました(笑。いろんなところに「とにかくレスポンス良く撮影できる」ように工夫された箇所が垣間見えて、とても好感を持ちました。28×200mm という、コンデジとしては高い倍率を持つズームレンズの、そのズームスピードも極めて速く、人によっては早すぎる、と感じる人もいるんじゃないだろうか、と思うくらい。この R6 と良く比較される Panasonic の LUMIX DMC-TZ3 と店頭で比較した限り、AF スピードにも雲泥の差がありました。ただもちろん、普段使っているデジタル一眼の EOS Kiss Digital N と比較すれば遅いのですけどね。メモリーカードへの読み書きも、ちゃんとそれなりに早い SD カードを使ってあげれば1、ほぼ待ち時間なく読み書きできます。なお、連写時どうかはまだその機能を使ってみていないので分かりません。

望遠端作例 R6 最大の特徴である 28x200mm (35mm 換算) の 7.1 倍ズームは、予想以上に使い勝手が良い印象です。普段 Kiss DN では、屋外イベント時はシグマの 18x200mm (換算 30×325mm) を使うことが多いので、望遠端の差が大きいかなぁ、と思っていたんですが、200mm でもずいぶんしっかりと寄れる感じ。その点は予想外でした。

マクロ作例 広角端で 1cm まで寄れるマクロ機能も面白いです。右の作例は虫ですので嫌いな方は注意!

他にも、好きな機能を割り当てられる ADJ ボタンが便利であるとか、背面の親指の指置きが滑りづらくてよい、というような点が気に入っています。

ネガティブな面としては、露出、WB が Kiss DN と比較するとあまり信頼できない点、高 ISO 感度時ノイジーな点、各所の作りが余り良くない印象である点、動作音が大きい点などでしょうか。露出はとてもハイキーに写ることが多く、結構積極的にマイナス補正してあげないと、人によっては好みの写真が撮れないかも。僕はあまり気にしませんでしたが…(ハイキーであることそのものより、それによって色が浅くなってしまうのがもったいないと思いました)。また WB は、晴天下の日陰で auto だととても青っぽく写ってしまい (「日陰である事」をことさら意識させるためにこんな設定になっているのかしら?)、色温度低めでとりたい場合は明示的に「曇天」を選ばなければなりません。とはいえ、我が家の電球色蛍光灯下 (一般に電球色蛍光灯は WB 泣かせと言われています) での撮影でも、auto のままでそれほど破綻なく撮れているので、WB 自体の能力が低い、というわけではなさそうです。そういう味付けなんでしょう。また高 ISO 時のノイズも、確かに Kiss DN と比較すると気にはなるのですが、ノイズの出方的には LUMIX よりは目立たないように思います2。LUMIX と比べるとガンマ値が高いのも個人的には好み (というかこの点は LUMIX のガンマ値が低すぎるだけな気がする)。

作りについては、ちょっと人によっては安っぽいと感じそうな部分が目立ちます。電池スペースが電池本体に比べて広すぎ、電池の周りが隙間だらけであること、などはちょっとビックリするかも。ズームレバーや SCENE モード切替スイッチあたりの質感も微妙。また作りがチープだからか動作音も非常に大きいです。

さらに僕が買った最初の個体は、銅鏡が繰り出し途中で引っかかってしまう、という不具合があって、初期不良交換となってしまいました。何でもこれはリコー R シリーズの持病のようなものだそう。というわけで、その手の「工業製品としてのクオリティの低さ」に耐えられないと、満足感は得られないかもしれません。

僕もそのあたりが気にならないわけではありませんが、出てくる写真はとても気に入ったので、今後しばらくは楽しく使っていけると思っています。

birdspam フィルタ

spam フィルタ

僕はこれまで、Thunderbird の spam フィルタ1を使ってきたんですが、最近、検出率が下がり気味で、spam の処理に苦労する日々が続いていました。

いい加減嫌になってきたので、最近外部 POP サーバのメールが取り込めるようになった Gmail の spam フィルタを自宅メール用としても使ってみることにしました。

方法としては次のような感じです。なお、対外的に利用している自宅メールアドレスの他に、Gmail からフィルタ後のメールを外部へ転送したい場合は、それを受け取るためのアドレスがもう一つ必要です。

  1. Gmail の「アカウントの設定」「別のアカウントからメールを受信」で、「別のメールアカウントを追加」する。その際注意すべきは、「受信したメッセージにラベルを付ける」を設定しておくと便利、また「受信したメッセージを受信トレイに保存せずアーカイブする」のチェックは外しておきます。
  2. 次に、「メール転送と POP 設定」の「転送」で、「受信メールを次のアドレスへ転送」へ転送先アドレス (対外的な自宅メールアドレスとは別のアドレスを指定します。僕の場合、自宅の SMTP サーバが直接受けられるアドレスを指定してみました) をセットし、「Gmail のコピーをアーカイブ」を選択しておきます。

以上で、自宅アドレス宛に届いた全てのメールがいったん Gmail を経由しそこで spam がより分けられ、spam でないものだけが別の自宅アドレスへ転送されてくるようになります。すでに 30 通あまりの spam メールがフィルタに引っかかっていますが、そのうち誤検知は今のところ 0 で、やはり Thunderbird のローカルのフィルタに比べると、かなり精度が良いようです。

しばらくこの構成で利用してみる予定。

birdSCE 久夛良木グループ CEO、退任

SCE 久夛良木グループ CEO、退任

すでに旧聞、という感じですが、先月終わりに、これまでずっと SCE、ひいては PlayStation プラットフォームの顔でもあった久夛良木グループ CEO が6月の任期満了をもって退任され、名誉会長となることが発表されました。
世間的には、PlayStation といえば久夛良木さん、ちょっと前にはその成功を持って Sony 本社に凱旋し、副社長まで上り詰めた豪腕経営者、というイメージが強いのでしょうが、僕の中の久夛良木さんの最良のイメージは、実は PS1 発売前の、まだ PSX とそれが呼ばれていたことを語っていた久夛良木さんかもしれません。実は前の前の会社にいるときに、偶然にもかつて久夛良木さんの下で働いた事がある、と言う人と一緒に仕事をする機会に恵まれ、彼からそのアクの強いキャラクターについてはいやというほど聞かされていたので、社長、という会社の顔としての久夛良木さんにはそもそも少し不安があったせいだから、かもしれませんが。
正直、彼が社長という会社の顔になり、ヴィジョナリーとしての責務をその一身に背負いだしてからの SCE の打ち出してきたヴィジョンには、僕としては素直に納得できるものはほとんどありませんでした1。PlayStation BB しかり、e-Distribution しかり2、CELL 構想しかり3。ちなみに PS2 というマシンのアーキテクチャについては僕は世間で言われているほど批判的ではありません。トレンドを外してしまったことは確かだけれど、ああいうトンがったマシンも面白かったと思う。しかも、曲がりなりにも今まで生き残っている、ということは、それなりに懐も深かった、ってことの証左だと思いますし。
久夛良木さんの話に戻すと、つまり僕は、彼は会社の顔として「一人ヴィジョナリー」となるよりも、優秀なトップの元で暴れまくっていた方が良かったのではないかと思っているわけです。
とはいえ、SCE という会社にとっては、久夛良木さんがトップだったこれまでの期間は、間違いなく会社の黄金期だったのでしょう。これからはまさに正念場、これまでの成功体験をある意味覆して4、コンピュータエンタテインメントの世界を更に広げていくためにはどうすればよいのか5、地に足をつけて知恵を絞っていかなければならないだろうと思いました。

bird「マシアス・ギリの失脚」

「マシアス・ギリの失脚」

マシアス・ギリの失脚 池澤夏樹著。ねおんさんお薦めの本。ものすごく中身の濃いお話、という印象でした。面白かった。

マシアス・ギリというのはミクロネシアにあるという3つの島からなるナビダード民主共和国の大統領。南海の島国、とはいえ、近代化の波にもまれ、アメリカや日本という「大国」に翻弄されつつ、しかしまだまだ伝統的な暮らしを失っていない、そんな国が舞台のお話です。バス・リポートがとても可愛くて、少し「南の島のティオ」を思い出したり。

それにしても、このお話も「花を運ぶ妹」でも「すばらしい新世界」でも、池澤さんのお話は究極的なところで「女性」に救われているように感じます。共感するところもとても大きいのですが、そんなところがちょっと気になったりもしました。

birdUbuntu edgy (amd64) で ATOK for Linux を使う方法

Ubuntu edgy (amd64) で ATOK for Linux を使う方法

64bit (amd64、x86_86) 環境の Ubuntu edgy に、32bit バイナリ形態で販売されている ATOK for Linux をインストールする方法をまとめます。まだ一部完璧でない部分があるのですが、とりあえず日常生活には困らない程度にはなったのでここらで報告してしまいます。なお、ここに書かれたことは基本的にはすでにいろいろな人が通ってきた道ではあるようなのですが (Thanks all!)、まとまった情報はまだないようでしたので、少しはお役に立てるかと。

chroot を用いて i386 環境を amd64 環境の下に作る

まず最初に行わなければいけないのが、chroot を用いて本体のサブセットとなる i386 環境を作成することです。i386 環境丸ごとを用意する必要はないのかもしれないけれど、今のところこの手段以外ではまだ成功していません。

amd64 環境下に i386 環境を作る方法については、すでに武藤さんがこちらにまとめられています。基本的にこちらに書かれた「chroot」の項目の手順の通りに行います。

まず、あらかじめ必要なパッケージをインストールしておきます。

$ sudo apt-get install debootstrap dchroot

次に chroot 環境を作りたいパスを決め、そこにディレクトリを作成します。今回は「/var/chroot/i386」としました。

$ sudo mkdir -p /var/chroot/i386

debootstrap コマンドを使って、i386 環境を作ります。武藤さんのページは Debian での例として書かれていますので、Ubuntu の場合は適宜変更します (sid→edgy へ)。

$ sudo debootstrap --arch i386 edgy /var/chroot/i386

上記コマンドが完了したら、dchroot コマンド用の設定ファイルを作ります。/etc/dchroot.conf ファイルに下記一行を追加してください (ファイルがなければ新規に作成してください)。

i386    /var/chroot/i386

次に、今作ったばかりの i386 環境はまだ何の設定もされていない状態ですので、まず /etc から必要そうなファイルをコピーしておきます。

$ sudo cp /etc/passwd /etc/group /etc/shadow /etc/hosts /etc/sudoers /var/chroot/i386/etc/

chroot 環境内の apt の sources.list をとりあえず下記の通りに変更します。

deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy main restricted universe multiverse
deb-src http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy main restricted universe multiverse  
  
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy-proposed main restricted universe multiverse  
  
## MAJOR BUG FIX UPDATES produced after the final release  
deb http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy-updates main restricted universe multiverse  
deb-src http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu edgy-updates main restricted universe multiverse  
  
## UBUNTU SECURITY UPDATES  
deb http://security.ubuntu.com/ubuntu edgy-security main restricted universe multiverse  
deb-src http://security.ubuntu.com/ubuntu edgy-security main restricted universe multiverse  
  
## Japanese pack  
deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja edgy/  
deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja edgy-ja/

i386 環境の /home や /tmp は本体と共用することとし、/proc なども準備するために、本体側の /etc/fstab に下記3行を追記します。

/home           /var/chroot/i386/home   none    bind    0       0
/tmp            /var/chroot/i386/tmp    none    bind    0       0  
proc            /var/chroot/i386/proc   proc    defaults        0       0

上の3カ所をあらかじめ mount しておきます。

$ sudo mount /var/chroot/i386/home
$ sudo mount /var/chroot/i386/tmp  
$ sudo mount /var/chroot/i386/proc

また、本体側の /etc/ld.so.conf に chroot 内のライブラリも解決できるよう、以下のパスを追加します。

/var/chroot/i386/lib
/var/chroot/i386/usr/lib  
/var/chroot/i386/usr/X11R6/lib  
/var/chroot/i386/usr/local/lib

武藤さんの手順では、chroot 側から本体側の X サーバに接続するためには、あらかじめ TCP による接続を許可しておかなければならない、とあります。今回これが必要かどうかはよくわからないのですが、とりあえず設定しておくことにします。Ubuntu の場合、X サーバに TCP による接続も許可させるためには、/etc/X11/gdm/gdm.conf の「DisallowTCP」を「false」にします。

# If true this will basically append -nolisten tcp to every X command line, a
# good default to have (why is this a "negative" setting? because if it is  
# false, you could still not allow it by setting command line of any particular  
# server).  It's probably better to ship with this on since most users will not  
# need this and it's more of a security risk then anything else.  
# Note: Anytime we find a -query or -indirect on the command line we do not add  
# a "-nolisten tcp", as then the query just wouldn't work, so this setting only  
# affects truly local sessions.  
#DisallowTCP=true  
DisallowTCP=false

さて、ここまでの手順を行うと、一般ユーザ権限で chroot 下の i386 環境の Ubuntu edgy へ入ることが可能になっています。以下のコマンドで chroot 環境へ入ります。

$ dchroot -c i386 -d

chroot 環境のパッケージの更新、必要なパッケージをインストールしておきます。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get upgrade  
$ sudo apt-get install ubuntu-ja-keyring  
$ sudo apt-get install language-pack-ja

ATOK for Linux のインストール

引き続き、chroot 環境内への ATOK for Linux のインストールを行います。今回、ATOK のインストールには Debian sid に存在するインストーラパッケージを用いました。ここなどよりあらかじめ deb ファイルをダウンロードしておいてください。このインストーラパッケージを用いて Ubuntu へ ATOK をインストールする手段は、こちらなどに書いてあります。ちょっと古くなってしまっている部分もありますが、基本的にはこちらの手順の通り行います。

以下、すべて chroot 環境内で作業します。

まず、上記インストーラパッケージをインストールしようとします。この時点では依存性の問題から必ずインストールに失敗しますが、気にしないでください。

$ sudo dpkg -i atokx2_17.0-2.1-4_i386.deb

次に、必要なパッケージをインストールしようとします。同じく依存性エラーで終了してしまいますが気にしないように。

$ sudo apt-get install iiimf-htt-server iiimf-htt-xbe iiimgcf

最後に次のコマンドを実行します。これで、すべての依存性情報が解決され、必要なパッケージがすべてインストールされます。

$ sudo apt-get -f install

上記で atokx2 インストーラパッケージも含めインストールされると、途中で ATOK の CD-ROM の場所、より正確には ATOK の CD-ROM 内の atokx-17.0-2.0.i386.tar.gz というファイルのある場所を尋ねられますので適宜答えます。現在のバージョンのパッケージではアップデータも自動的に取得して適用してくれるため、上記手順のページにあるアップデータを適用するステップは行う必要はありません。

これで chroot 側の作業はほぼ完了です。インストール後、すでに htt_server と atokx2mngdaemon という二つのプロセスが立ち上がっているものと思います。

そこで、OS 起動後にも自動的にそれら chroot 内環境のデーモンが立ち上がるように、amd64 側に起動用スクリプトを準備することにします。

まずは iiimf-htt-server 用として下記内容のスクリプトを「/etc/init.d/iiimf-htt-server」として作成します。(このスクリプトもどこかのサイトに書いてあったものを参考にさせてもらったのですが、オリジナルサイトを失念してしまいました。すみません&ありがとうございます>オリジナルの方)

#!/bin/sh
# iiimf-htt-server i386 kicker  
/usr/bin/dchroot -c i386 -d /etc/init.d/iiimf-htt-server $*

同様に、atokx2 用として下記内容のスクリプトを「/etc/init.d/atokx2」として作成します。

#!/bin/sh
# atokx2 server i386 kicker  
/usr/bin/dchroot -c i386 -d /etc/init.d/atokx2 $*</pre>  

それぞれの起動用スクリプトをシステムに登録します。

$ sudo update-rc.d atokx2 defaults 80 20
$ sudo update-rc.d iiimf-htt-server defaults 20 20</pre>  

amd64 環境側の設定

さて最後に、amd64 側 (クライアント側) の設定をします。

必要なパッケージをインストールします。

$ sudo apt-get install iiimf-htt-xbe iiimgcf

ホームディレクトリ下の、「.xinput.d/ja_JP」として下記内容のファイルを作成します。

# ATOK for Linux
XIM=htt  
XIM_PROGRAM=/usr/bin/httx  
XIM_ARGS="/usr/bin/httx -if atokx2 -lc_basiclocale ja_JP -xim htt_xbe"  
GTK_IM_MODULE=iiim  
QT_IM_MODULE=xim  
DEPENDS=atokx2  
  
export USE_XOPENIM=t  
export HTT_DISABLE_STATUS_WINDOW=t  
export HTT_GENERATES_KANAKEY=t  
export HTT_USES_LINUX_XKEYSYM=t

以上で、OS を再起動しログインしなおしてみると、基本的に ATOK での入力が可能になっているのではないかと思います (変換開始は Ctrl+Space です)。

ただ、この状態では「amd64 環境内の 32bit アプリケーション」(ヤヤコシイ) ではまだ ATOK による変換ができないのではないかと思います。ちょっと調べてみたところ、これは amd64 環境側に、32bit アプリケーション用の GTK immodule、im-iiim.so ライブラリがないことが原因のようでした。そこでちょっと強引ですが、chroot 内の i386 環境からそのライブラリを amd64 環境へコピーして使うことにしました。

chroot 側の im-iiim.so ファイルを amd64 環境側のそれなりの場所へコピーします。

$ sudo cp -p /var/chroot/i386/usr/lib/gtk-2.0/2.10.0/immodules/im-iiim.so /usr/lib32/gtk-2.0/2.10.0/immodules/

(32bit アプリケーション側のものは gtk-query-immodules-2.0 が使えないようなので) /etc/gtk-2.0/gtk.immodules.32 の末尾に下記を追記します。

"/usr/lib32/gtk-2.0/2.10.0/immodules/im-iiim.so" 
"iiim" "Internet/Intranet Input Method" "iiimgcf" "/usr/share/locale" ""

念のため ldconfig を実行しておきます。

$ sudo ldconfig

以上で、amd64 環境側の 32bit アプリケーションでも ATOK が使えるようになると思います。

制限事項

上記手順によってとりあえず ATOK が使えるようになると思いますが、現在のところまだ、ATOK パレットが使えない、という制約があります。そのため GUI からの単語登録等ができません。

その原因をいろいろ調べてみた結果、1) httx を chroot 環境内で立ち上げる、2) /usr/lib/im/locale/ja/atokx2/atokx2aux.so へのアクセスを確保する (amd64 環境側の上記場所にコピーする、リンクを張るなどする) ことで ATOK パレットそのものを出すところまではできたのですが、今のところ結局パレット上の各機能がきちんと動作するところまでは持っていけませんでした。残念!

(2007/04/19 追記) 携帯のブラウザから不用意に更新しようとしたために、一度書いた内容のほとんどが消えてしまいました…。今日になって気がついて、前に書いた内容を記憶から復活させたため、いくつか重要な情報の欠落があるかもしれません。何かお気づきの点ありましたらご指摘ください。

以上です。

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