birdプラズマテレビの画質

プラズマテレビの画質

考えてみれば、液晶ディスプレイの絵、というのはもう PC のディスプレイとして 10 年以上見慣れたものなわけです。しかし、プラズマテレビについては、そら電気屋の店頭で見ることはあっても、自宅でじっくり見たことはなかったわけで、改めて自宅にやってきてみると、いろいろと新しい発見がありますネ。
そもそもプラズマテレビというのは、ブラウン管や液晶のようにアナログ的に各画素の輝度階調を制御できないため、「パルス駆動」と呼ばれる、各画素を連続的に光らせる (時間積分する) ことで階調を表現する方法を用いています。そのため、特に階調表現においてブラウン管や液晶テレビとの違いが目立ちます。
まず、「プラズマの欠点」として以前からあげられていた (らしい) 擬似輪郭 (前に「マッハバンド」と書きましたが、そういう意味で用いられていることも多いとはいえ、本来の「マッハバンド」は違う意味らしいですね) については、最近のモデルはかなり改善されている…とはいえ、相変わらず動画像としては時々目立つシーンがありますね。特に、そもそもグラデーションがなだらかな部分で目立つせいもあって、人の頬などにくっきり擬似輪郭が現れてしまうことがあります。(あと、画面上本来平板な部分に唐突に妙な影が躍ることがあったりするのが気になります。微妙な階調の変化があるのでしょうが、その「微妙さ」を微妙に表現できずに、必要以上に派手に表示してしまう事が時たまあるのですね。) スペック上は「各色最大 16bit 精度の階調」を誇っている VIERA ですが、特に画像が激しく変化するシーンなどではそこまでの階調が出ている感じはしませんね。落ち着いた絵ではとても綺麗なグラデーションを見せてくれるのですけれど…1
面白いのは、地デジや地アナ、また D 端子接続の PSX での DVD 再生時にはほとんど擬似輪郭や唐突な影が気になることはなく、もっぱら HDMI 接続の PS3 での DVD 再生時に気になるシーンが出てくることです。想像するに、TV に内蔵されたチューナからの映像、またアナログソースからの映像には、Panasonic 御自慢の擬似輪郭低減処理が的確に働くが、HDMI によるデジタルソースの場合、そのあたりの処理がバイパスされてしまって結果的に擬似輪郭が発生してしまっているのではないでしょうか。
また、これも時間積分による階調表現による結果なのだと思いますが、映像がパンする時になどに輪郭部にざわつきを感じることがあります。液晶における残像の代わりなのだと思えば個人的にはモーマンタイ。
もう一つ面白かったのは、画面内に大きな輝度変化を伴うオブジェクトが存在する場合、かつての STN 液晶のように、そのオブジェクトの水平、垂直方向に、微妙に輝度変化を伴う影が見えることがある点です。プラズマテレビってどうやら昔の STN 液晶と同じ、単純マトリックス方式で駆動されているらしいので、たまに誤発光してしまうことがあるのかもしれませんね。
パイオニアのプラズマは予備放電が非常に暗く出来ていることが特徴だそうですが、Panasonic のプラズマはそこまで目立たなくは出来ていない感じ。正常に信号が入っているシーンでの完全な黒の部分に目を近づけてみると、ざわざわとまばらに発光する緑の画素が確認出来ます (緑しか発光していないように見えるのだけれど、それで十分なんですかね?)。テレビから数十センチも離れてしまうともう見えなくなっちゃいますし、それによって黒浮きしたように見えるか、というと、全然そんなことはありません。
7/22 追記。上で予備放電について書きましたが、黒い部分でパラパラと見える発光は、入力信号が本当に全黒 (RGB 全て 0) の時にも見える=予備放電ではなく、単に入力信号が RGB 全て 0 ではないだけかも。というのも、PS3 に 1.80 の時から加わった「HDMI フルレンジ」オプション (8bit 色深度の時ならば 0〜255 まで使い切るオプション。通常 (リミテッド) 時は 16〜235 の範囲しか使わないのです。詳しくはこちらを参照) を「フル」にしてみると、黒の部分が本当に真っ黒に見えるようになったので… (ただ僕にとっては「フル」にしてしまうとちょっと黒の沈み込みが急すぎるように感じるので、「リミテッド」のままで使う予定)。そうなると、いわゆるプラズマの予備放電、というものもすでにほとんど気にしないで済むくらいのものなのかもしれませんね。
とかなんとか、未体験デバイスであるプラズマを堪能する毎日です(笑。

コメント

ちゅー (Thu, 19 Jul 2007 11:27:44)
プラズマにしたんですか。。。
ラグ酷くて,ゲームし辛くないですか。。。少なくともAC4とかは無理め。
あと,ゲーム画面で焼けやすいのが泣き所のような。。。

倍速駆動のとこで,コマの捏造とか言ってるけど,そもそもデジタル放送は,
Iオンリーな100Mbpsとかでは無くて,結局のところENC屋さんが創った画で
しかないから,これが許容できるのであれば,フレーム補間ぐらいどうって
こと無いと思われます。
つうかどんどんやれっ!限界までっ!
でもゲームではスルーしないとラグ大きくなるから,一番流れやすいゲームで
使えないような気もしてます。。。なんか意味ないカモ

主流は,倍速1080で10bitな液晶パネルになるように思うけど,今は高くて買えない
んでしょうね。

うちはただの1080な液晶だけどファン無しなんで静かで快適デス。PS3が無ければ。。。
U/C付きDVDプレーヤとして,コストパフォーマンスがダントツなんだから,静かに
なって欲しいものです。
Digitune (Thu, 19 Jul 2007 11:54:02)
超速お返事失礼します(笑>ちゅーさん
昨今の倍速駆動回路入りの液晶パネルよりはディレイが少ない、とゆーのが定説なようですが (ちなみに日立のプラズマは別、らしい)、そんなことない?あんまりラグが気になるゲームをそもそもまだプレイしていませんが、レースゲームやシューティング等では僕は全く気になりませんでした。鈍いだけかも(^^;。ちょっと気をつけてみようっと。

焼き付きも気にはしていますが、先日録画したビデオを編集作業してる最中に寝込んでしまい、6時間ばかし同じ画面が表示されっぱなしになったことがあったんですが、それでもその後、焼き付きは全く知覚できませんでした (全白のシーン等で確認したんですが)。そもそもめちゃくちゃ省エネモードにしているせいかもしれませんが(^^;、このくらいの利用状況ではほとんど気にする必要ないのかも。(24 時間同じゲームしまくり、とかだとヤバイのかな…。)

捏造云々については全くの煽り&印象論でしかないのですけど、とはいえそれなりにソースのある MPEG の各フレームと、全くの演算の結果である 120 コマ化したときの中間フレームにはやっぱり大きな差があるような気がしちゃいますけどね…とか書いてると「おまえが言うなっ!」とか言われそうですが(笑。

おっしゃるとおり、この冬のトレンドになるであろう「FullHD、倍速、10bit」な液晶はまだ高いんですよね。40 型以上の世界では、プラズマのコストパフォーマンスは圧倒的。液晶だと今や Full HD でないモデルははっきり「廉価版」的位置づけになっちゃいましたが (BRAVIA J5000 のような例外もありますが)、プラズマではまだ機能的には「普及機」として踏みとどまっているのもありがたかったです。

それに今 Full HD 機を買ってしまうと、10 年後に次世代ディスプレイに買い換える時の感動が減りそうじゃないですか!<バカ(笑
SAK (Fri, 20 Jul 2007 02:23:58)
10年後なんて考えたら、有機EL,4Kx2K,12bit パネルとかが出てくると思われ。
このクラスになると、地デジ画像をどれだけ捏造アプコンできるかが勝負になるな。

………10年じゃ厳しいか。20年はかからんとは思うが。
Digitune (Fri, 20 Jul 2007 10:13:05)
確かに液晶陣営は次なる付加価値として Full HD 以上の解像度を持つパネル+アプコンを持ってきて、解像度競争に持ち込むことはほぼ間違いないだろうね>SAK
10年もかからないんじゃない?後ほんの少しなんじゃないかな。
僕としては液晶もそっち方向ではなくてバックライト制御によるコントラストの改善とか、動画特性のさらなる改善、といった方向に進んでほしいものけど…。
かぴのすけ (Sat, 21 Jul 2007 08:35:10)
> といった方向に進んでほしいものけど…。

裸眼立体視とか、タッチパネルや加速度センサーやCCDなんかが入った妙なリモコン付けるとか、そういう画質と関係ない方向に進んで欲しいものけど…。
Digitune (Sun, 22 Jul 2007 12:59:44)
欲しくねぇぇぇぇ(笑>かぴのすけ
立体視はちょっとイイけどね。
かぴのすけ (Mon, 23 Jul 2007 14:10:26)
アプコンもいーけど、アプコンするぐらいなら最初から放送側がベクタデータで出せばいんじゃねと思うよ。時間方向もベクタデータで。
Digitune (Mon, 23 Jul 2007 17:03:03)
なんじゃあそりゃ〜(笑)>かぴのすけ
しかるに、自然画をナチュラルにベクタ化出来るアルゴリズムなんてものがあれば、そのまま良質なアプコン用のアルゴリズムとして使えそうだ。
かぴのすけ (Tue, 24 Jul 2007 11:38:46)
MPEG圧縮でボロボロにしてからベクタ化するより、ベクタ化しておくっちまったほーがいんだよ。アプコンなんて過去の遺物。

http://ci.nii.ac.jp/naid/110003242017/
Digitune (Fri, 10 Aug 2007 08:10:45)
DCT、Wavelet と来て、今度はベクタ化?>かぴのすけ
しかしぱっと考えると、ベクタ化はいろいろ問題がありそうだがなぁ。映画人がなぜかやたらこだわるフィルムグレインとか再現しようとすると、データ量が爆発しちゃいそうじゃない?同帯域だと細かいテクスチャの表現に限界があるように思えるけれど…。映像が全部ポスタリゼーションフィルタかけたみたいになっちゃったりして。
そういやプラズマの絵作りには、時々それと同じような傾向を感じることがあります。サッカー中継の芝目などで、アニメのような感じに見えることがあるんだよね。階調が足りてないのかな。
かぷぃのすけ (Fri, 10 Aug 2007 19:08:51)
今の演算ハードでHD自然画をベクタなんぞでエンコードしたら一枚ごとに数十秒〜数分はかかるよ。デコードにも数秒/枚はかかるだろう。無理。

帯域に関してはテクスチャやグラデの部分的な一様性を見破ってカラーパラメータ化してやればなんとかなるんじゃん。

> アニメのような感じに見えることがあるんだよね

芝目なんかノイズです。
Digitune (Sat, 11 Aug 2007 15:01:08)
昔、ホワイトノイズ部分をパラメータ化するという冗談のような話があったけれど…>かぴのすけ
つまりあれだ、そういう複雑な部分はフラクタル次元だけ計って全部再生成しちゃえ、と(笑。
マジメな話、自己相似的なデータを効率的に圧縮できるような、重層多重な圧縮アルゴリズム、ってのはないもんなのかね。

  1. ちなみにプラズマテレビがパルス駆動であるがゆえに、人によっては「ちらつき」を感じる人もいるらしいですが、幸いな事に僕は全く感じません。かつてのブラウン管よりも落ち着いているように見えます。 ↩︎